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日本時間2021年11月25日より、PCゲーム配信プラットフォームSteamにてオータムセールが開催中です。さまざまなストラテジーゲームが大幅に割引されているこのセール。何を買えば良いのか悩む人も多いのではないでしょうか。
本稿では、数ある作品の中から日本の歴史ストラテジー界に大きな影響を与えたシリーズ作品をピックアップ。その歴史的意義をひも解きながらシリーズ最新作を紹介します。ハードコアゲーマーならすでに遊び尽くしている作品も多いと思いますが、あわせて関連する別作品も紹介していきますのでお楽しみに。
『Sid Meier’s Civilization VI』
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本作でプレイヤーが操作するのは国家や人物ではなく文明です。戦争や外交を通じて他の文明と競い合いながら、古代から近未来まで人類の歴史を駆け抜けましょう。中毒性が高いことでも有名で、「あと1ターンだけ」とプレイを続けるうちに夜が明けてしまうことも。
本シリーズは歴史4Xストラテジーの元祖にして金字塔です。4Xとは、未知なる領域の探索(explore)、自勢力の領土の拡張(expand)、拡張した領土の開発(exploit)、敵対する勢力の殲滅(exterminate)の4つの要素を兼ね備えたストラテジーゲームを指す言葉。4Xの代名詞として語られることの多い本シリーズですが、第一作から技術ツリーやランダム生成マップを採用していたことも注目に値します。これらの要素は現在でこそ当たり前ですが、当時としては斬新な特徴でした。
今年8月、文明を率いる歴史4Xストラテジーという同じテーマの別作品『HUMANKIND』が登場しました。こちらにも要注目です。
『Age of Empires IV』
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本作は『Sid Meier’s Civilization』シリーズをリアルタイムにしたような作品です。プレイヤーが率いるのはやはり文明ですが、こちらはターン制ではなくRTS(リアルタイムストラテジー)。戦略と戦術を同時に考えながら個々のユニットに素早く命令を出していきます。
本シリーズは日本にRTSというジャンルを普及させた立役者です。海外では『Warcraft』や『Starcraft』といったRTSが有名ですが、日本でRTSと言えばこのシリーズ。登場したばかりの最新作(IV)を別にすれば、日本では第二作(II)のマルチプレイが一番盛んでした。最新作と第二作は同じ時代を舞台にしており、ルールにも多くの共通点があります。
マルチプレイを楽しみたい方には今が旬の最新作をお勧めしますが、第二作のリマスター版で昔を懐かしむのも良いでしょう。
『Europa Universalis IV』
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これまでに紹介した作品は歴史上の文明をモチーフにしていますが、舞台となる世界は史実と無関係。それに対して本作は、現実の世界地図の上で歴史上の国家が興亡を繰り広げます。ヨーロッパ諸国でも日本の戦国大名でも、マップ上のすべての国がプレイ可能です。
本シリーズは歴史グランドストラテジーゲームの代表作です。グランドストラテジーとは、国家の目的を達成するために戦争だけでなく、政治・経済・外交などあらゆる手段を用いる戦略のこと。自分の国を繁栄させるためには、持てる国力をすべて利用しなければなりません。本作のデベロッパーは他にも数多くのグランドストラテジー作品を手掛けていますが、本シリーズはその基礎となった最初の作品です。
一連のグランドストラテジー作品の中でも、日本で特に人気があるのは第二次世界大戦を舞台にした『Hearts of Iron IV』でしょう。最近では同時接続者数が過去最多になったことで注目を集めました。
『Total War: THREE KINGDOMS』
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これまでに紹介した作品は戦略と戦術のどちらかに比重が置かれていて、もう片方は抽象化されています。一方、本作では戦略も戦術も同じように重視。戦略マップ上で戦闘が発生すると個々の戦場がクローズアップされ、大軍勢同士の戦闘をプレイヤー自身が指揮します。
本シリーズはそれまで別々に扱われることの多かった戦略と戦術を融合させ、大規模戦闘の再現という要素を加えて独自のスタイルを生み出しました。取り上げられている題材も幅広く、その舞台は古代ローマ、中世ヨーロッパ、三国志、さらにはファンタジー世界にまで広がっています。あまり知られていませんが、本シリーズの第一作は日本の戦国時代を舞台にした『Shogun: Total War』でした。現在も使われているロゴの騎馬武者はその名残りです。
来年2月には「WARHAMMER」三部作の完結編である『Total War: WARHAMMER III』の発売が予定されています。前作を購入して予習しておくのも良いでしょう。
『三國志14』
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日本のストラテジーゲームの歴史を語る上で、日本の作品を無視するわけにはいきません。本シリーズは同じく「三国志」をテーマとする『Total War: THREE KINGDOMS』などの海外作品と比較して、人物の能力がプレイに大きな影響を及ぼすのが特徴です。
歴史上の人物の能力を細かく数値化することで、プレイヤーがその値の大小にまで一喜一憂するという仕組みは本シリーズの第一作で確立され、その後『信長の野望』シリーズをはじめとする他の作品に広く受け継がれました。また、歴史ストラテジーに与えた影響だけでなく、小説や漫画と並んで日本人の間に「三国志演義」という文学作品を普及させた功績も無視できません。
来年には『信長の野望』シリーズの最新作『信長の野望・新生』の発売が予定されています。そのベースである『信長の野望・創造』を改めてプレイしてみるのも面白いでしょう。
『大戦略パーフェクト4.0』
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一般的なストラテジーゲームはユニットを定義するときに師団など軍隊の部隊編成を単位としますが、本シリーズでは戦車や軍用機など兵器を単位とします。いわば本作は兵器に感情移入するゲームであり、兵器の性能は『三國志』シリーズにおける歴史上の人物のように細かく数値化されています。
本シリーズは日本のストラテジーゲームの黎明期を牽引した名作です。ヘックス(六角形のマス)で構成されたマップや、ZOC(Zone of Controlの略。ユニットの影響力が及ぶ範囲)といったボードゲームに由来する概念を、日本のストラテジーゲーム界に浸透させた功績は非常に大きなものがありました。
兵器を主役にした同系統の作品は海外でも開発されています。第二次世界大戦を舞台にした『Panzer Corps 2』は本シリーズのファンにもお勧めしたい作品です。
Steamオータムセールは日本時間12月2日に終了予定です。この機会に“歴史ストラテジーの歴史”に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。