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CD projekt REDから『サイバーパンク2077』が発売され、1年が経ちました。良くも悪くも、2020年で最も話題になった一作であることは間違いないでしょう。度重なる発売延期(しかも最後の延期はマスターアップの発表後でした)には不穏な空気を感じたものの、元々の開発期間が長大であることから、きっと万全を期してリリースしてくれるだろうと筆者は予想していました。しかし結果はご存知の通り、大荒れとなってしまったのですが……。
今年10月末には改訂されたロードマップが公開され、無料DLCの配信は来年に伸びてしまいました。しかし本作は発売日から不断と言えるほどの頻度でアップデートを行い、少しづつではありますがバグフィックスや仕様改善を重ねてきたことも事実です。(ごく一部の車や装備の追加などのアイテムを除きコンテンツは追加配信されていません)この記事では発売当時から『サイバーパンク2077』を振り返り、リリース一年後の現在のプレイフィールや筆者の展望をお伝えします。
頻発するフリーズ。でもやめられなかった
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まず、発売当時の状況を振り返ってみましょう。『サイバーパンク2077』は発売初日から多数のバグやフリーズが報告され、炎上状態に。更に、PS4版とXbox One版のパフォーマンスとグラフィックについて周知が足りなかったことを開発元であるCD projekt REDが認めました。こうした事態を受け、開発元や各プラットフォーマーは希望者に返金対応を行うという異例の事態になったのです。
発売当時、筆者は頻発するフリーズやバグに悩まされながらも、全エンディングを達成しました。「その気になれば全額の返金ができる=急いで中古品として買取に出す必要がない」ということは大きな要因ではありましたが、それ以上に『サイバーパンク2077』の世界をもっと知りたい――タイトル通りのサイバーパンクな世界を自由に暴れまわりたいというモチベーションはたしかにあり、それは世界中のゲーマーも同じだったのではないでしょうか。それ故に、攻略情報のやりとりもかつて無い熱量でやり取りされていたと記憶しています。
熱狂から離れて――改善されたナイトシティはどうなった?
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発売されたばかりの大型タイトルというのは、否応なく盛り上がるものです。そして、たとえそれが問題作であっても、買ってしまった以上は知恵を絞ってクリアしたくなるというのが筆者の性分でした。『サイバーパンク2077』もそんな一作です。できる限り一人で黙々と攻略していましたが、問題作ほどゲーマー同士で情報交換したくなるもの。幸い本作は大きな話題になっていたので、情報交換には事欠きませんでした。その盛り上がりはまさに「熱狂」であり、そうしたコミュニケーションはゲームそのものよりも面白く感じてしまうことすらあるのです。
あの熱狂から一年。無数のパッチが施された本作を、改めてプレイしてみました。環境はノーマルのPS4です。バグフィックスの成果と、ゲームプレイの楽しさに分けてレポートしたいと思います。その前に、1年前特に気になっていたバグや仕様を列挙しておきましょう。初日に45GBのパッチを適用した、当時のプレイヤーの方々に懐かしんでいただければ幸いです。
1時間に1度の頻度でゲームが突然終了
光の反射で3Dモデルの描画が乱れる
車運転時の視点変更(一人称→三人称)がたまにできなくなる
クエスト進行が分岐した後、選んでいない側の展開が同時に起こることがある
イベント中の各挙動が不安定。エンディング中でも会話中にキャラや車がワープ
完全ではないが、大幅に改善されたプレイフィール
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キャラを新しく作成し、10時間ほどプレイしてみました。PS4での安定性やプレイアビリティという点について紹介していきます。まず、突然エラーが発生し強制終了するということが「ほぼ」無くなりました。ほぼ、なのです。10時間プレイした所で、一度だけ強制終了が発生してしまいました。クエストのイベントなどは発生しておらず、また多数のキャラの行動や描画もなかったので、処理の重さやハード性能に起因するものではないと考えています。(発売当時のエラーも前触れ無く発生していました)おそらく、RED engine(CD projektの内製ゲームエンジン)の不具合なのでしょう。
操作バグ
起動安定性だけでなく、操作不具合も大きく改善されました。車の視点変更は即座に行われ、その他のキーレスポンスも良くなった気がします。しかしこれも完全に解決には至っていないのではと筆者は感じています。車の操作時に視点変更ボタンを押しても反応がない(あるいは大きく遅れる)ことが10回に1回程度あり、△ボタンを押しても武器選択ホイールが出現すべき場所で出現しないことが稀にありました。まだほんのりと「β版ぽさ」が残っている感触です。
グラフィックス
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PS4版のグラフィックについては文句はないのですが、割り切るところは割り切っているなという感想でした。ナイトシティのネオンに照らされる街は、現世代機と比較しても指折りの美しさです。光の反射によってオブジェクトは乱れるような描画バグはもう見当たりませんでした。雑多な雰囲気を出すための多くのオブジェクト配置やスモークを利用した光源処理は本作のユニークな空気づくりに寄与しており、世代相応以上のグラフィックだと思います。
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一方で、最適化というよりパフォーマンスを重視した、ざっくり過ぎる割り切りを行っている箇所があります。人物のLOD処理です。一般的にはカメラから遠いオブジェクトを低解像度版に切り替えて処理を軽減するものですが、本作では独自の優先度をオブジェクトに設定しているようです。筆者はリパードクの元に通い詰めてこまめに身体改造を行うプレイをするのですが、クリニックの奥にいるリパードクはLOD優先度が低いのか、まるで溶けた蝋人形のような不気味なモデルの状態で対面することが多々ありました。これは超高速の車を入手して遠方のオブジェクトを観測するような例外的なプレイではないので、引き続き改善して欲しいポイントですね。
イベントの挙動
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イベント中の挙動の安定度は大幅に向上しました。進行がおかしくなることは一度もありませんでした。同じセリフを二度言ってしまったり、人物が一瞬ワープしてしまうといった一年前の「あるある不具合」は、10時間のプレイ中1度だけ発生。バグ頻度は低いですが、問題のシーンは単純な会話中であり、しかも自キャラを動かさないというバグリにくい操作を行った上での結果です。なので、ここ数年に出た大作ゲームの安定感と比べると見劣りするなと感じました。
問題のないプレイが可能になったが、最新作としては見劣りする安定感
以上、一年間に渡りバグフィックスを続けてきた本作の安定性のレポートでした。総合すると「最新のゲームにはまだ及ばない」ということに尽きると思います。PS3の頃のオープンワールドゲームとまではいかないまでも、それに近い不安定さはあります。大きく進行が巻き戻ることはないですし、プレイが中断されるようなことはありませんが、「快適」と太鼓判を押すことはできないでしょう。とはいえ、ロード時間や画面遷移そのものはPS4でもつらく感じなかったので、細かいプレイアビリティにも今後さらなる改善の手が入るかもしれません。
ゲームプレイを再評価する――面白さは文句ナシ!
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次にゲームプレイについてです。実のところ、この部分については筆者の感想は一年前とあまり変わっていません。もちろん悪い意味ではなく、今回の再訪は、本作のメインクエスト、サイドクエストともよく練られており楽しかった、ということの再確認でした。サイバーサイコシスを狩り続ける一部のクエストを除いて、展開の分岐が沢山あります。善人、悪人、変人。プレイヤー自身によるロールプレイの余地が大きく、リプレイ性が高いです。クエストのクリア手段も多彩で、重武装のキャラはもちろんサイバーパンクならではのハッカーキャラ、ステルス特化のキャラなど様々なビルドのキャラクターが活躍できるでしょう。
ボリュームは十分だが、レベルアップ手段としてサイドクエストがもっと欲しい
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しかし、ビルドに要求されるレベルやクレド、お金の制約はなかなか厳しく、思い通りのビルドを振り回す頃にはあまりクエストが残っていないのでは……と感じました。一年前にクリアした際のハッカーキャラプレイでは、サイバーウェアを入れ替えることで戦術を変化させることができたので、パーク取得の遅さやレベルアップの遅さは気になりませんでした。しかし、今回のプレイで目指した近接特化ビルドは戦法を変化させるまでかなり時間がかかってしまいました。この問題は「コンテンツ不足(クエスト不足)」というよりも、レベルアップの成長曲線についての筆者と調整の好みが合わなかったのだと思います。レベルアップについて現状の調整が開発コンセプトであるのなら、細かいストーリー付きのサイドクエストがもっと増えてくれれば嬉しいです。これをクリアすればレベルやクレドが上昇し、メインストーリーの盛り上がるポイントまでにキャラのビルドが間に合ったり、ロールプレイを楽しみながらビルドを強化していくことができるのではないか……と感じました。
無料DLCは2022年!ナイトシティの魅力はまだまだ深まるはず……
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最後に、2022年登場予定の無料DLCに期待したいポイントを挙げておきたいと思います。まずは、ライフパスの活用です。ゲーム開始時に主人公の過去設定としてライフパスを選択できるのですが、これがゲームプレイにほぼ影響しなかった点が筆者の不満点でした。あまりにゲーム中活用されないので、自分のライフパスを忘れてしまうほどです。できればクエストの進行を変えてほしいですし、変えなくてもせめてクエストを有利に進行できるものがあっても良いはずです!DLCの追加クエストではライフパスが活用されることを期待!
次に、クエストが少ない地域や勢力の補強です。全てのクエストをクリアしても、あまり訪れない場所があります。ノーマッドが蔓延る砂漠地帯バッドランズ、工業地帯、州境検問所などです。全く新しい地域が来るのも悪くないですが、本作の魅力であるナイトシティの密度が、クエストだけでも全地域に行き渡ったら嬉しいですね。ハミ出し者の集まるナイトシティから、さらにハミ出してしまった人たちの生活をもっと見たくないですか!?もちろんナイトシティにもっとイベントが増えるのも大歓迎ですよ!
以上、発売一年後の『サイバーパンク2077』でした。ゲーム外でも、返金後パッケージの回収がおざなりになってしまっているような話を小耳に挟んだりと、まだメーカーが考慮すべきことがある気配ですが、それでも大きく前進しているのを感じていただけたでしょうか。筆者は十分楽しませてもらったので、DLCが配信されるならもちろん買って、メーカーを支えたいと考えています。厳しいことも書きましたが、退廃的な年末を過ごしたい方は、是非ニ年目のナイトシティへとようこそ!