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緊迫した状況が続くウクライナ情勢ですがGame*Sparkでも伝えてきましたように各国の課す経済制裁に呼応してゲーム業界でも様々な企業が次々にロシアへの対応をみせています。
ロシアとベラルーシでの販売を停止した企業としてはEA,CD PROJEKT RED、Bloober Team、マイクロソフト、アクティビジョン、Epicgames、テイクツー・インタラクティブInteractive、ユービーアイソフト、ブリザード、Supercell等々枚挙にいとまがありません。国内メーカーでもソニーは発売直後の『グランツーリスモ7』を含む全ソフト及びハードの同地域での販売を停止。任天堂もe-shopのメンテナンスとしてソフトの販売を実質的に停止し、ハードについても物流が不安定であることを理由に出荷を停止しています。
海外メディアのGamesIndustry.bizによると、ロシアにおける2021年のゲーム業界の市場規模は約34億ドル、日本円にして約4,000億円であったとしています。2020年のデータ(「ファミ通ゲーム白書2021」より)によれば日本国内のゲーム市場の規模は約2兆円。日本の約5分の1ほどの市場規模といえます。また、日本国内で4,000億円前後の市場というと電子コミック市場や、オーラルケア市場あたりが近くなります。
ロシアのゲーム市場のジャンル別内訳としては日本市場同様にモバイルゲームの割合が大きく、推定14億ドルがモバイルゲーム。PCが12億ドルで僅差で続き、コンシューマーゲーム機の売上は8億6400万ドルになります。Newzooによると、ロシアは世界で15番目に大きいゲーム市場とされています。また、米国調査会社のSensor Towerはロシアを世界のモバイル収益の13位、ダウンロード数の5位にランク付けており、2021年にはApp StoreとGoogle Play全体で28億件のダウンロードがあったと推測し、モバイルゲームが盛んであることを報告しています。
さらに、Newzooによればロシアには8,000万人のゲーム人口があり、月間アクティブユーザー数がロシアで3番目に多い『Grand Theft Auto 5』のオンライン接続が停止されることは同国でのゲーム収入に確実に影響を与えるだろうと述べています。
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モバイルゲームでもロシア国内のゲーム供給を停止しているメーカーはいくつかありますが、同国のモバイルゲームトップ10の内で販売を停止しているのはSupercellの『Brawl Stars』のみであり、各社対応が分かれているようです。
人道的立場からロシア経済にダメージを与えウクライナ情勢の改善に向けたフォローを行うことは一方で利潤を追及する企業の根本的な活動と裏腹な面があることも否定できず34億ドル規模の市場を切り離すことはそう容易にできるものではないのかもしれません
※UPDATE(2022/03/12 11:12):本文の表現を一部変更しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。