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ファンタジーであれ近未来であれ、その世界をどれだけリアルに描き、臨場感を演出するか。それは、多くのゲームが挑むテーマのひとつです。
特に現代を舞台にする作品は、プレイヤーがいる世界の再現にも繋がるため、寄せられる期待も自然と上がりがち。だからこそ、リアリティを強く感じさせる要素や小ネタをゲーム内に見つけると、ちょっとした喜びや感慨深さを味わうこともできます。
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3月25日発売の『Ghostwire: Tokyo』は、現代日本をモチーフとした作品。ゲームプレイは、有名な渋谷のスクランブル交差点から始まり、多くの方が見慣れた街並みがそこに再現されています。
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そうした背景やオブジェクトの作り込みも見事ですが、ささやかながらも今の世相をリアルに反映している演出も盛り込まれています。
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その描写が見られるのは、最初の目的地となる「渋谷中央病院」。入り口には、診察可能な曜日と時間が提示されるなど、こうした描写もリアリティさを感じさせます。
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異変に襲われた後なのでロビーや病院内に人影はなく、見つけていた洋服などが散乱。人気のない病院は、それだけで不気味な気配を漂わせています。
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壁を見ると、「防災対策訓練の実施について」などの張り紙が。確かに、こういう告知もよくあります。ですが、“まさに今この時代”を感じさせるのが、「新型ウイルス感染防止」に関する張り紙の数々です。
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新型ウイルスについて触れた張り紙をよく見ると、流行警報が基準値に近づきつつあるため、防止対策や禁止事項などを告知している模様。
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まず全病棟で面会が制限されており、「原則同一世帯の家族のみ」「15歳以下の面会は原則禁止」「マスクの着用と手洗い・手消毒の徹底」などを促しています。
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また、発熱や咳・息切れなどの症状がある場合は、一般外来ではなく特別外来で受け付けるといった案内も。ちょっとした小ネタながらも、現代日本の状況を反映したリアルな描写と言えるでしょう。
ウイルスを扱ったゲームはこれまでも複数ありましたが、パンデミックの原因として扱うことが多々。ですが、この『Ghostwire: Tokyo』で起きている異変は、超常的な現象によるものなので、張り紙にある新型ウイルスは関係なく、あくまで世界観を演出するフレーバーのひとつに過ぎません。
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世界を描写する要素のひとつとして、新型ウイルスにまつわる張り紙がゲームの世界に上陸。これまで、時代の変化を常に取り入れてきたゲーム業界ですが、『Ghostwire: Tokyo』でその歩みを更に進めていました。
なお、作中の表現はあくまで「新型ウイルス」としており、“新型コロナ”や“COVID-19”といった表記などはありません。『Ghostwire: Tokyo』で流行の兆しを見せているのはどんなウイルスなのか、少し気になるところです。