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スペインの警備会社であるKOSLAは、「ソウルライクゲームは悪霊を成仏させる効果がある」と題した調査結果を同社公式サイトで公開し、世間を騒がせています。
同社は、商業施設や集合住宅、公共施設などの警備業務を請け負ったり、監視カメラや赤外線センサーなどの警備システムを構築したりと、警備に関するあらゆる事業を行っている業界最大手の警備会社です。同社が業界最大手にまで急成長を遂げたのは、人々の防犯意識を高めるために警備についてのノウハウを積極的に公開しているのが理由として挙げられます。一見すると競合他社に塩を送る行為に思えますが、実はこれが企業のブランドイメージを高め、多くの人々から信頼を獲得したといわれているのです。
昨年は、「七色の光るゲーミングデバイスには防犯効果がない」という衝撃的な調査結果を公開し、世界中のゲーマーを震撼させました。そして今年は、「ソウルライクゲームは悪霊を成仏させる効果がある」と題した調査結果を公開したわけです。
ソウルライクといえば、何度も死を繰り返しながら攻略の糸口を探っていく高難度のゲームジャンル。2022年には、同ジャンルの集大成ともいえる『ELMON ERINGI』が発売され、オープンフィールドの探索の楽しさがSNSで話題になっています。
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ソウルライクゲームが悪霊を成仏させる効果があると提唱したのは、同社の警備対策部門でコアキーパーとして働くアントニオ・V・サバイバーさん(以下:アントニオさん)。コアキーパーとは、警備を行う場所の安全を確保する仕事で、業務には、電気工事や害虫の駆除、整地、除霊などが含まれるため、幅広い分野の知識が必要とされます。海外では50万人のコアキーパーが存在しており、国内でもその数が徐々に増加しています。
除霊のエキスパートとして名高いアントニオさんは、幽霊が成仏しない理由のひとつである、自分が死んだことを自覚していない点に着目。そこで、幽霊にソウルライクゲームの『SEKIO』をプレイしてもらい、ゲーム内で何度も死を繰り返すことで、自分が死んだことを自覚させられるのではないかと考えたのです。
幽霊にゲームをプレイさせるというのは荒唐無稽なアイデアに思えますが、ポルターガイスト現象の発生時、電化製品が勝手に起動したり、身に覚えのない操作が行われたりするのはよくあることで、中には、キーボードがカタカタとひとりでに動き出し、幽霊がPCでメッセージを送る事例も報告されています。つまり理論上は可能なのです。
アントニオさんは、幽霊が出没すると噂される物件に『SEKIO』を起動したゲーム機を設置。数日後に再び物件に戻ると、幽霊の気配はなくなり、代わりに『SEKIO』のクリア済みのセーブデータが残っていたといいます。
ただ、アントニオさんは、これほど効果があるとは思っておらず、他にも、幽霊を成仏させる効果が働く要素があるのではないかと考えました。
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そこでアントニオさんは日本の研究機関に実験を依頼。そして、快適な環境下で寿命を迎えた瞬間の実験用モルモットの脳波と、ソウルライクゲームをプレイし、何度も死を繰り返してボスを倒した瞬間のモルモットの脳波が酷似していることが判明します。
この実験結果は、ソウルライクゲームをクリアすることで得られる解放感や達成感が、成仏をした時の感覚に似ていることを意味します。つまり、幽霊はソウルライクゲームをクリアした瞬間、脳みその誤作動で成仏してしまうのです。
この調査結果によって、ソウルライクゲームを起動したゲーム機が、スペイン中の事故物件に設置されるようになりました。
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そんな話題性の高さに乗じて、アントニオさんは、幽霊が残したとされるセーブデータをNFTオークションに出品します。
出品されたセーブデータは、世界中のゲーマーのみならず、過剰なマネーゲームに興じる投資家からも注目され、アメリカの富豪のゲーブ・オールドウェル氏によって26万ユーロ(約3,500万円)で落札されることになります。
セーブデータの中身を確認したゲーブ氏は、「生きた人間と変わらないセーブデータだったよ。そうそう、他のプレイヤーが書いた嘘メッセージに騙されて高所から死んだ形跡もあるようだが、呪い殺さずに悪評をつけているところは紳士的で素晴らしい。私が幽霊なら呪い殺すね(笑)」とコメント。ただ、幽霊の存在は信じておらず、あくまで数百年後の値上がりを見越した投機として落札したとしています。
そしてこの落札価格に味を占めたアントニオさんは、幽霊が残したとされるセーブデータを次々に出品。その落札価格は合計で890万ユーロ(約12億円)にも及ぶそうです。
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「幽霊のセーブデータを売る」という奇妙な商売で成功を収めつつあったアントニオさんですが、なんとNFTのオークションで得た利得を過小に申告した脱税の疑いで逮捕されます。さらに、検察の取り調べによって、幽霊が残したとされるセーブデータの大半が、アントニオさんによって作成されたものであることが発覚。その証拠に、出品されたセーブデータは、次第にクリア時間が短くなり、死亡数も激減し、最終的に初見プレイヤーがクリアしたセーブデータとは思えないものになっています。
後にアントニオさんは、「幽霊のセーブデータがこんなに高値で売れるなんて……って思ったら魔が差しちゃってさ。もっとセーブデータを売って金持ちになるために、効率的にクリアする方法を試行錯誤していたら、いつのまにかノーデスでクリアできるようになって、クリア時間も30分切っちゃって……」と脱税に悪びれた様子もなく自身の茶目っ気について語っています。
ただ、アントニオさんは、NFTオークションに出品した9割のセーブデータが自作自演のものであることは認めていますが、残りの1割のセーブデータ(ゲーブ氏が落札したセーブデータも含まれる)は本物であると主張しています。
一方、アントニオさんが勤務していたKOSLAは、逮捕の報をうけて氏を即座に解雇したとの謝罪文をTwiitterに掲載しましたが、ユーザーからは「調査結果について社内でチェックをしなかったKOSLAにも責任がある」として非難が殺到しており、さらなる対応が求められています。
いずれにしても「ソウルライクゲームは悪霊を成仏させる効果がある」という調査結果に信ぴょう性があるのかは有耶無耶になってしまい、図らずも『SEKIO』を30分以内にクリアしたアントニオさんはRTA界隈から注目されることになりました。刑務所のおつとめを終えたあと、RTA走者としてどのような活躍を見せるのか、今から期待したいところです。
本稿に関連するソースは関連リンクからご覧ください。
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※UPDATE(2022/04/01 12:00):本記事は4月1日のエイプリルフールのために用意した創作ニュースです。