気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Odencat開発、スイッチ/PC/Mac/Linux/iOS/Android向けに6月2日にリリースされたフィッシングRPG『フィッシング・パラダイス』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、南国でのんびりとした時間を過ごすことができるフィッシングRPG。魅惑的なロケーションを探索し、個性豊かなキャラクターたちと仲良くなりながら、釣りの達人を目指します。開発者は日本人のため、もちろん日本語にも対応済み。
『フィッシング・パラダイス』は、1,500円で配信中(Steam)。(モバイル版は基本プレイ無料)
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
daigoOdencat株式会社の代表取締役社長をしています、daigoと申します。会社といっても社員はいないので、個人開発者と大差ありません。ゲームを昔から作るのが好きで、スクウェア・エニックスのような大手のゲーム会社に所属していたこともあります。数年前に独立して以来インディーゲームを開発しています。
一番好きなゲームというのは存在しませんが、好きなゲームはいろいろあります。今ぱっと思いついたのは『ロマンシング サガ3』ですね。他にも、『幻想水滸伝2』、『クロノ・トリガー』…日本のRPGが多いですね!自分にとっていいゲームというのは思い出に残っているゲームのことなのかもしれません。もちろん、『マリオカート』のような友達と遊ぶゲームも大好きなのですが、好きなゲームが何かと言われると、やはりそれはRPGなのかなと思いますね。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
daigo『くまのレストラン』という作品を開発していたのですが、ビジネス的な思惑と、『くまのレストラン』の世界観を広げたいという気持ちがあり、スピンオフとして本作の開発が始まりました。
『くまのレストラン』に釣りのミニゲームがあるのですが、そのミニゲームを単体のゲームに仕上げたらどうだろう、というところから企画のアイデアが固まりました。日本のRPGによくある釣りのミニゲームが好きで、そこを抽出してRPGにしたら面白いのではないかという発想です。「釣りRPG」といえば、本作とは少しゲーム内容が異なりますが、過去に『ぬし釣り』シリーズが好評を得ていました。そこに着目し、隠れた需要があるのではないかと思ったのも開発を始めた理由の一つです。
トロピカルな気分を味わおうと実際にハワイに一ヶ月くらい行って本作の開発をした時期もありました。当時の楽しい気分が伝わるといいなと思います。
――本作の特徴を教えてください。
daigo本作は、基本的に「釣り」をこなして「ストーリー」を進捗させていくゲームです。シンプルな釣りのゲームプレイに加えて、釣りの過程で手に入るインテリアで拠点をデコレーションしたり、魚図鑑を埋めたり、釣り竿をパワーアップしたり、くまの経営するくまのレストランで友達に魚料理をふるまったりできます。
最大の魅力はやはり多彩なキャラクターたちでしょう。総勢24名の友達と仲を深め、フレンドレベルを上げていくのが大きな楽しみになっています。メインストーリーのボリュームも相当あるのですが、フレンドとのサイドエピソードがそれぞれ3つずつ、合計72個ありますので作り込むのが大変でした。シナリオ担当のヒロセ氏と分担して開発していて、くまのレストラン関係のキャラクターのエピソード(くまの誕生日のエピソードなど)は一部私が担当しました。
『くまのレストラン』からも多数のキャラクターが登場するので、プレイ済みの人には嬉しいサプライズがたくさんありますよ。逆に、本作を遊んでから『くまのレストラン』を遊べば、より作品に深みを感じられることでしょう。
本作で使用されているXion氏のBGMは、長時間聞いても聞き減りしない、作業に最適なリラックスBGMとなっています。自分でもときどきサウンドトラックを聞きながら作業しています(笑)。ボサノヴァがメインBGMになっているゲームってほかにあるんでしょうかね?
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――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
daigo本作は、『Stardew Valley』や『牧場物語』のようなほっこり日常ライフが好きな人や、ストレス無くゲームをプレイしてリラックスしたいひとに向いていると思います。ストーリーのボリュームが多いのでクリアしたときの達成感は大きいと思いますよ。
釣りのゲームですが、釣りの知識は全く必要ないので、ビジュアルは好みだけど釣りのことはよくわからないという方も安心して遊んでいただきたいです。
天国が実際に存在するかどうかはわかりませんが、天国はどんなところなんだろうか、と想像しながら楽しく開発いたしました。ゲームをプレイすることでポジティブな感情になってもらえれば嬉しいです。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
daigo釣りのミニゲームがあるRPGといえば、自分にとっては『ブレス オブ ファイア』シリーズなので、やはりその影響が強いです。特に『ブレス オブ ファイアIV うつろわざるもの』の釣りシステムが好きでしたね。本作の釣りシステムもあのくらい複雑にしていいのかも、と思ったのですが、気楽に遊べることを重視して現在のバランスになりました。
開発時に『Stardew Valley』を遊んでいたこともあり、そこからもヒントを得ています。どういう魚を登場させるべきか、ネット情報を見て研究もしました。『Stardew Valley』では、主人公の性別を選べるのでそれも参考にしたかったのですが、実装コストが高く、本作では主人公を性別不詳なキャラクターとして描くという方法をとっています。性別に関係なく楽しんでほしいという気持ちが強かったからです。
本作の最大の魅力であるフレンドシステムにおいては、『ファイアーエムブレム』と『ペルソナ』シリーズの影響を大いに受けています。フレンドレベルを上げていくと、特別なエピソードが見られて、MAXにすると特に力の入ったエピソードが見られるというようなものです。
なお、シナリオ担当のヒロセ氏によると、ストーリー全体のテーマは『ベアルファレス』というゲームのキャラクター、イヴのとある台詞に強く影響を受けているそうです。ネタバレになるので直接紹介できないのが残念とのこと。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
daigoもともとリモートワークでDiscord上でチームとやり取りをしていたので、影響は特にありませんでした。ただ、移植版開発時はコロナ下で、常夏の島に行きたい気持ちがあったので、それをゲームにぶつけていたかも。皆さんも本作を遊んでトロピカル気分を味わってみてはいかがでしょうか。あぁ、ハワイ行きたいですねぇ…
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
daigo大丈夫です!ウェブサイトに配信ガイドラインがありますのでそちらをご覧ください。実況の範囲に制限はありません。作品の魅力を思う存分伝えていただければと思います。ぜひ、配信を見ていただいた方が当作品についてご興味を持って頂き、できれば購入頂けるようご宣伝など頂ければ大変うれしく思います。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
daigo本記事をここまで読んでいただいてありがとうございます。本作に少しでも興味を持ってくださった方はSteamに無料のデモ版もありますし、広告を見て遊べるモバイル版もありますのでぜひ手に取って見てください。
Odencatは、今後も思い出に残るハイクオリティなドット絵ゲームを作っていこうと思っていますのでぜひよろしくお願いします。次の作品は『メグとばけもの』です。Steamですでに予約可能ですのでぜひチェックしてみてくださいね!
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。