気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Zachtronics開発、PC/Mac/Linux向けに7月5日に早期アクセスが開始されたミニゲームパズル集『Last Call BBS』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、レトロなPCを使って様々なミニゲームをプレイするパズルゲーム。プラモデルを組み立てるものや、700年後の世界で20世紀のように食品工場を運営するものなど、合計8つのゲームが収録されています。記事執筆時点では日本語未対応。
『Last Call BBS』は、2,050円で早期アクセス配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Zach Barth氏&Matthew Seiji Burns氏(以下Zach&Matthew)こんにちは。Zach BarthとMatthew Seiji Burnsが一緒に質問に答えさせていただきます。Zachは本作のクリエイティブ・ディレクター兼リードデザイナー。Matthewはライター、サウンドデザイナー、作曲家を担当しました。
2人とも一番好きなゲームというものは存在しませんが、Matthewは最近『ELDEN RING』を楽しんでおり、Zachは『Rocksmith』というゲームを遊んでいますよ。(どちらも私たちが作るゲームとはかなり違うタイプのゲームですね!)
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
Zach&Matthew私たちは90年台のパソコンの世界を探求する、というのに興味がありました。素晴らしい可能性と将来性があったこの時代に、2人とも懐かしさを感じるのです。未来ははっきりしておらず、新しいコンピュータを手に入れると、目の前に新しい世界が開けたのです!これこそが、私たちのテーマでした。
パズルゲームとしては元々、食料、電化製品、生活用品などの様々な製品を扱う工場ゲームというアイデアに興味がありました。しかし食料という部分以外、面白いパズルにすることが難しかったのです。そのため、私たちは食料部分にフォーカスし、本作内の「20th Century Food Court」が出来上がりました。他のゲームは他のアイデアをベースに作っていきました。
――本作の特徴を教えてください。
Zach&Matthew本作は90年代のデスクトップコンピュータを使って遊ぶ8種類のゲームコレクションです。その多くは難しいパズルゲームで、以前私たちがZachtronicsとして作ったタイプのものに似ています。ソリティアカードゲームは2つあり、アクションパズルゲームも1つあります。
また、ロボットプラモデル(ガンプラ)を作るタイプのゲームもありますよ。それぞれのゲームをプレイすることで、作った人のストーリーを知ることができ、ナレーターがどのようにそのゲームに出会ったか知ることができるのです。
――本作はどのような人にプレイしてもらいたいですか?
Zach&Matthew当時実際にコンピュータに触れていた方か、ただ当時のことをどこかで読んだことがあるかに関わらず、90年代のコンピュータに興味がある人に本作を楽しんでもらいたいですね。
また、本作はアクションゲームではありませんし、難しいことを考える必要もそれほどありません。よく私たちがジョークとして言うのは、私たちのゲームは「家に帰っても自分の仕事をやめることができないプログラマーやエンジニア向け」だと言うことです。過去のZachtronicsゲームのような難しいパズルが好きな人は、本作にも満足してもらえることでしょう。
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――早期アクセスはどれぐらいの期間を予定していますか?今後どのような要素が追加されるのですか?
Zach&Matthew短期間を予定しており、9月の始め頃には早期アクセスを終了したいと思っています。新しいゲームを追加する予定はありませんが、人気があるものは拡張するかもしれません。例えば、ロボットプラモデル(ガンプラ)を作るゲームである「Steed Force Hobby Studio」がこんなに人気になるとは思っておらず、驚きました。
――早期アクセスとしてリリースしてみた感想を聞かせてください。
Zach&Matthew私たちは基本的に、自分たちのゲームでは早期アクセスを実施しています。開発中に見つけることができなかったバグをプレイヤーの方に見つけていただけるので、役に立ちますね。また、それぞれのパズルの難易度調整のためのデータを取ることもできます。しかし、私たちは基本的に、早期アクセス前にゲームの基本部分は完成させるようにしています。すぐに早期アクセスを終わらせ、正式リリースするためですね。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Zach&Matthewアクションパズルゲームの「HACK*MATCH」は、『マネーアイドルエクスチェンジャー』や『マジカルドロップ』から影響を受けましたが、本作に収録されている他のゲームは特に何か特定のものを参考にしたりはしていません。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Zach&Matthew現時点で日本語には対応していませんが、希望があれば追加したいと思っています。ご協力いただけるのであれば、こちらまでご連絡ください。(すいませんが、英語でお願いします)
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Zach&Matthewはい、ありました。私たちは5人チームなのですが、以前はオフィスで一緒に仕事をしていたのです。開発の中盤、私たちは自宅から作業をするようになりました。これにより、様々な調整が必要になり、予定よりも長く時間がかかることも増えてしまったのです。
実はこれが、一つの大きなゲームではなく、本作という小さなゲームのコレクションを作ろうと思ったきっかけでもあります。それぞれのゲームに対して、小さなチームで開発に取り組めますからね。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Zach&Matthewはい、もちろんです!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Zach&Matthew本作は90年代のパソコンに影響を受けました。そこにはPC-98のような日本のコンピュータも含まれています。私たちの目的は、それらをしっかりと再現することではなく、存在しなかったもう一つの歴史を体験するような感覚をプレイヤーにしていただくことなのです。楽しんでいただけると嬉しいです!
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。
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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)