筆者はレースゲームがあまり得意ではありません。ドリフトやカーブ、シフトチェンジなどの操作が苦手で、いつもフラフラ運転になってしまうためです。さらに最大の問題として、「クルマ」に全くと言っていいほど興味がないため、モチベーションが上がらないということも挙げられます。
そんな中で筆者は、『Hot Wheels Unleashed』のビジュアルに惹かれなんとなく手に取りました。その結果、筆者は本作が持つ独特の魅力に射抜かれてしまったのです。
そもそも本作の発売日は“2021年”の10月1日と、発売から約10ヶ月も経っていますが、なぜ本作を手に取ったのか。それは、PCゲーム定期便サービス「Humble Choice」の対象タイトルであったためです。
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「Humble Choice」は、毎月8本のPCゲームが入手できるサービス。最新ゲームが並ぶことはあまりないのですが、少し前に話題になったゲームをSteamキーなどで入手できることが多いのです。ラインナップは配布開始まで公開されないため、月1回の更新が楽しみになります。2022年8月度は本作の他にも『プレイグ テイル -イノセンス-』『Gas Station Simulator』『アセント』といった、過去に話題を呼んだタイトルが多めのラインナップでした。
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本作は、アメリカのおもちゃメーカー・マテルが1968年より販売する、“世界で最も売れているミニカー”「ホットウィール」を基にしたレースゲーム。開発元は『MotoGP』シリーズ、『RIDE』シリーズといったレース系ゲームを得意とするMilestoneです。同開発元はリアル系の作品も多くリリースしていますが、『Hot Wheels Unleashed』は操作感やシステムを含めシンプルなため、カジュアルに遊べます。
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レースでの操作は、左スティックでのハンドリングに加え、左トリガーで行うドリフトとAボタン(Xbox配列)で発動するブースト操作のみ。ブーストを使って加速するとゲージが減りますが、コースに敷かれた特定のレールの上を走行する、もしくはドリフトを行うことでチャージできます。ドリフトは左トリガーを軽く押すだけで適度に曲がることができ、基本的にコースの外側にはみ出ないようになっているため、あまり難しくありません(もちろん車の性能にもよります)。
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「ホットウィール」がミニカーということもあり、車体は軽め。ちょっとした段差を飛び越えた際にも車体が傾きやすいのですが、操作できる猶予が大きいので着地に失敗することはあまり多くないように感じます。とはいえ、下り坂や段差でブーストすると思わぬ方向に車体が吹っ飛んでしまうことには要注意です。
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使用する車は毎回レース前に選択可能。もちろん、車はそれぞれスピードやハンドリング等のステータスが異なります。車はミッションクリアで獲得でき、ゲームを進めていく中で入手する通貨を使って「お楽しみボックス(ルートボックス)」を開けることで、ランダムに手に入れることもできます。定期的にラインナップが更新されるストアでも購入可能ですが、こちらはレア度に応じてゲーム内通貨が500~2,000枚必要で、少々割高です。
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モードにはシングルプレイヤーキャンペーンとコースを選んで遊べるクイックレース、そしてマルチプレイヤーモードが用意されています。シングルプレイヤーはコースごとにミッションが設けられており、様々なフィールドで上位を目指してレースを行います。クリアすると、ゲーム内通貨やアイテムなどの報酬を獲得できます。
一方、マルチプレイヤーはオンラインや分割画面でコースなどを決めて対戦可能です。とはいえ、本作はシンプルであるがゆえに逆転要素に乏しく、一度の些細なミスが大きな差を作ってしまうように感じました。フレンドとワイワイプレイするのはともかくとして、オンラインで見知らぬ人と競うとなるとシビアなプレイになるかもしれません。筆者としては、1人でCPU相手にダラダラレースするのもオススメです。
本作の魅力はミニマルなコースにあり!部屋を走るミニカーにワクワク
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本作最大の魅力はなんといってもコースにあるでしょう。フィールドに敷かれたプラスチックのレールの上でレースを行うのですが、背景グラフィックの品質が高く、ミニマルな世界でレースしている感じが非常にワクワクします。時々コースを外れて床を走ったり、ソファの下をくぐるようなシーンがあったりするところも「ミニカー」らしい雰囲気を引き立たせています。
フィールドは地下室やガレージ、建設中の高層ビルや大学キャンパスなどベースゲームだけでも6種類の舞台でレースに挑めます。コースにはプレイヤーを妨害する柵や自動ブーストがかかるパネル、360度ループ地形や、巨大クモが糸を吐いて車を捕まえるといったさまざまな仕掛けがあり、リアル系レースゲームとは異なった体験が楽しめます。
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また、操作する車に関しても他のレースゲームとは一味異なったものがラインナップ。ビジュアル的にカッコいい車やバン型の車両もありますが、「スヌーピーが小屋の上で座っている車」や「ホットドッグとホットプレートがモチーフの車」など、おもちゃらしいちょっとヘンテコな車種があるのがユニークです。
これはあくまで個人的な興味の話なのですが、筆者は車に対してあまり興味が無いため「なんかデカい」「なんか車体が細い」程度の認識しかなく、あまり“カッコいい”と感じることがありません。そんな筆者でも、『Hot Wheels Unleashed』でおもちゃらしい車を走らせるのは楽しく感じます。
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カスタマイズ要素も豊富で、車のカラーリングも変更できます。カスタマイズを始めると未塗装の状態になり、パーツごとに好きな色を細かく指定可能に。ツヤっとしているかザラザラしているかなど、細かな質感まで指定できます。その後ステッカーなどでデコレーションすれば、オリジナルのカスタム車両の完成です。カジュアル路線ながら、自分が決めた色で他のプレイヤーと差別化でき、さらにユーザー制作のデザインをサーバーからダウンロードして導入できるところも面白く感じました。
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コース周りもエディット可能。フィールドを選んでコースを引き、自分の思うままにスリリングなレース場を作成できます。それだけでなく、プレイヤーの秘密基地となる「地下室」のフィールドまでメニューから個別にカスタマイズ可能。設置するオブジェクトや家具の色などをカスタマイズして、自分仕様にアレンジした部屋に作られたコースを爆走する……という体験はなかなか珍しいのではないでしょうか。
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多彩なDLCも配信中。バットマンとのコラボDLCを導入してみた
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本作は、バットマン(DCコミックス)やルーニー・テューンズ、TMNTなどといった様々なコンテンツとコラボしたDLCが配信中。今回はバットマンとのコラボDLC(1,550円)を購入してみました。このコンテンツは「HOT WHEELS Pass Vol. 1」(3,100円)でも入手できます。
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導入すると、シングルプレイヤーキャンペーン用のバットマンエリアが解禁。バットマンの基地「バットケイブ」の中にコースを引き、そこでレースに挑んでいきます。バットマンのスーツや武器が飾られている施設の中で爆走する様はちょっとシュールです。機械の間を通り抜ける場面やコース分岐、ジョーカーをモチーフにした妨害オブジェクトに遭遇する場面もあり、スリリングで仕掛けに富んだコースを体感できます。
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DLCのその他の特典として、ジョーカーやペンギンといった有名なヴィランやバットマンリバース、アーマードバットマン、相棒であるロビンなどバットマンのキャラクターをモチーフにした車も入手可能。パスを購入すると、ワンダーウーマンや「TMNT」のレオナルド、『ストリートファイター』のバイソンやブランカをモチーフにしたものも手に入るようです。
現在「HOT WHEELS Pass」は第3弾まで発売されていますので、プレイしてみて本作を気に入ったら購入を検討してみると良いでしょう。
『Hot Wheels Unleashed』は、PC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/ニンテンドースイッチ向けに配信中。Humble Choiceは、11.99ドルで入会可能ですので、『Hot Wheels Unleashed』を始めとしたタイトルをゲットしてみてはいかがでしょうか。