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インディーゲーム開発は3年から5年はかかってしまうもので、ひとりの作家や少数のチームはなかなか多くのゲームを生み出せるものじゃありません。そんななか、なんと90本以上ものゲームを作り続ける異常なインディーゲーム開発チームがオランダに存在しております。それがSokpop Collective(以下、Sokpop)です。
リリースのペースは実に月1~2本という信じがたいスピードであり、いずれも独特のアートとゲームデザインの水準をある程度は保つという、化け物のようなチームとして、インディーゲームファンを唸らせつづけているのです。過去にGame*Sparkでも彼らについて取り上げており、その多様なタイトルについて触れています。
しかしそんな謎のチームは、いったい何者なのか? なぜこんな大量のゲームを作ろうとしているのか? なんと彼らは東京ゲームショウ2022にて新作『Stacklands』を出展しており、そのタイミングで同チームの一人であるAran Koning氏にお話を伺いました。
膨大なゲームの開発の理由はなんと大学を卒業後にお金を稼ぐためだった
ーーはじめまして! Sokpopさんは僕の中でレジェンダリーなゲーム開発チームのひとつです。いきなりですが、どうしてあなたたちはここまで膨大なゲームを作っているんですか?
Aran:実は大学を卒業したあと、「どうやって稼いでいったらいいんだ」と悩んだんですよ。そこで「待てよ? ゲームを毎月作っていったらいいんじゃないか? サブスク形式で!」ということで始めたんです。
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ーーえっ、何か深遠な背景があるのかと思ったら、そんなシンプルな理由だったとは! 同じオランダのゲーム開発者、元vlambeerのRami Ismailさんが「1週間でゲームを1本作る」という開発メソッドを掲げており、その影響があったのかと思いました。
Aran:特にRamiさんからの影響はあったわけではないです。うちは初めて毎月ゲームを出すということを始めたところだと思ってます。サブスクの大手のNetflixも最近ゲームを配信していると思うんですけど、そこと違ってうちは自分たちでゲームを作って自分たちで毎月ゲームを配信しております。
ーーそれでも大量のゲームを作り出すことを続けているのはすさまじいですよ。アイディアは枯渇しないんですか?
Aran:特にアイディアが出なくて困ることはありません。逆にたくさんアイディアを出して、「どのアイディアがいいゲームになって、かつ売れるものになるか」と精査するほうに時間をかけています。
ーーSokpopさんのゲームは膨大なゲーム群のなかでも、アートスタイルやゲームデザインにどこか一貫性があります。どのようにアートやゲームデザインを学んできたのでしょうか。
Aran:チームでビジュアルを担当しているTomがアートの学校で勉強してました。彼から影響を受けたり、あとはメンバーそれぞれで刺激し合ってゲームデザインを考えています。特にそれぞれの要素を勉強してきたわけではないんですよ。
ーーでは最後にですが、最初の質問の解答に合わせるかたちなんですけど……大学卒業後の悩みはなくなるくらいゲームでお金は稼げたのでしょうか。
Aran:そうですね、これまでのゲームを総計して60万本は販売できています!
ーーおおお、すごいですね!今後の活躍も期待しております。
というわけで、膨大なゲームを作る背景は極めてシンプルな理由だったのですが、そこで独自のビジネスラインを打ち立て、そして何年も継続してゲームを作り続けるということを続けられる彼らのクリエイティブの力は本物です。これからもSokpopは独自のゲームをひょうひょうと作り続けるのだろうなあ、と感じさせるインタビューとなりました。