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東京ゲームショウ2022のインディーゲームコーナーを歩いていたら、大変に興味深いコピーを掲げたところが見つかりました。「忙しいおとなに贈る、10分で楽しむRPG」。そうだな……この仕事やっていると東京ゲームショウの間って大量のレポートやインタビューを引き受けてしまってまったく時間が取れない……イベントが終わったってその他の仕事が口を開けて待っている……もはや子供のころみたいに何百時間もRPGを遊ぶことなんてできないんじゃないか……。
そんな思いが去来し、「じゃあ……10分ならきっとクリアできるんじゃないか」と考えた瞬間、気が付いたら筆者は『サマーロード』の試遊コントローラーを手に取っていました。
オートで進む子供たちの冒険
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コントローラーを手に取って驚きました。主人公の子供たちが勝手に動いてる! そう、本作はオートでゲームが進むという、新機軸のRPGなのです。ゲームを始めると現代アメリカの田舎風な街のなかを、主人公の子供たちがどんどん先へ進んでいき、物語もバトルも自動で進行してゆくのです。
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「し……しかしオートは興味深いがこれでは昔のRPGで不満だった “プレイヤーの気持ちと関係なくゲームで主人公が勝手なことをしゃべる。ボスバトルで勝ったと思ったらムービーだとストーリー上はボスに負けてる”みたいな哀しい車輪の再発明なのでは?」と思い始めたあたりから、本作ならではのプレイヤーが取れる戦略のゲームデザインが顔をのぞかせます。
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子供たちが敵を倒していくと、次々とアイテムがインベントリに追加されていきます。麦わら帽子やスカート、時には猫耳ヘッドホンなどがどんどん集まっていきますが、これは子供たちが装備する武器や防具の模様です。そう、本作の戦略性とはオートで進むバトルの中を、全滅しないようにプレイヤーは高速で武器や防具を付け替えていくことになるのです。
さらに武器や防具を3つ合成することで、あらたなアイテムを生み出すことも。特にある程度ゲームが進むと敵も強くなっていき、アイテムも装備を付け替えていくうちに弱くなった武器や防具が余ってくるので、合成を使うチャンスも多くなります。このようにオートで進むRPGという意外性とシンプルなゲームプレイを魅力に、「時間がない大人が10分で楽しめるRPG」へと今後は仕上げていく模様です。
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ところで、「時間がない大人」が多いのはわかるんですが、SNSなどではいい大人が100時間とか掛かるゲームを結構クリアしてるような……? つい酷い偏見と妄想で「無職なんだろ!」と結論づけてしまいそうになりますが、意外にちゃんと仕事している人がクリア報告していることが多く……。
もしや時間がないのは「大人になったから」は関係ないのか? 単に自分の時間の整理が下手というだけだったのか?永遠の謎かもしれません。
そんな筆者の疑問はさておき『サマーロード』はシンプルにして面白い一作です。時間の整理が苦手な方も空いた時間で楽しめるRPGとして開発が進められているのは確かだと思います。
『サマーロード』は現在、Steamでのリリースが予定されています。開発者にお話を伺ったところ、現在の完成度は30%ほどのこと。完成にはまだ時間がかかりそうですが、どのようなゲームに仕上げたいかの方向性には確信があると感じる一作でした。