今回は、GameZoo Studioが開発を手掛け、Pixmainから発売されたPC向けソフト『SCP:極秘ファイル』です。
皆さんは、SCP財団ってご存知ですか?
SCP財団とは、自然法則では計れない超常の物体や現象などを「確保、収容、保護」することを目的とした架空の団体です。そして、SCP財団の目的に関連するエピソードが綴られた共同制作コミュニティ・サイトのことでもあります。
本作は、そのSCP財団の職員となり、さまざまな超常現象と関わっていくオムニバス形式のホラーアドベンチャーです。

SCPの中には、書物に入り込み、平均的な中年男性の姿で端役として登場する存在がいるんですけど、なんか僕みたいですね。
今回は、そんなSCPみたいなおっさんが、SCPのゲームをプレイしてきました!
就職先はSCP財団?ブラック企業並みに危険だぞ!

主人公のカール・アスタナは、とある街のダイナーで卒業論文を書いていたところ、謎の黒スーツの男に話しかけられる。

黒スーツの男は、「君にぴったりな仕事がある。神秘的で崇高な仕事だ」とだけ告げ、名刺を渡してきた。
その名刺は両面とも真っ黒で、片面には大きくも小さくもない3つの文字が印刷されていた。SCPと……。
いやいや、カールくん。もしやそんな怪しげな財団に就職する気じゃないだろうな。両面真っ黒な名刺の会社って、ブラック企業の暗喩か、クセが強い意識高い系の会社だぞ!(筆者の偏見です)

以前、ハローワークで職探しをしていた時、職員でもなんでもない怪しげなおじさんに「兄ちゃん仕事探しとるんか?」と話しかけられたことがちょくちょくあった。
もしあのおじさんの誘いに乗っていたら……行き先はSCP財団か、ペリカが普及する地下強制労働施設か……。

ほどなくして、一通の手紙が届く。その手紙には、SCP財団入職の案内が記載されていた。
おいおい、マジでSCP財団に入っちゃったのかよ……。主人公、危機意識なさすぎる。

そして入職当日、主人公はSCP財団施設内のエレベーターに揺られ、地下へ地下へと降りていた。
エレベーターの外には、数字が書かれたコンテナが並んでいる。そのコンテナに入っているのがSCPなのだろうか。

積み重ねられたコンテナの中には、SCPと思しき物体のほかにも、オレンジのつなぎを着ている人たちがいる。おそらく彼らはDクラスと呼ばれる職員だろう。
財団の職員たちは複数のクラスにわけられており、Dクラス職員は、危険なSCPに対する実験台として、使い捨ての消耗品のように扱われることが多い。

って、奇遇にも僕のTシャツもオレンジ色なんですけど!?
やっぱ僕、使い捨てにされちゃうのかな……。
新人研修は楽しいビデオ鑑賞……だよね?

エレベーターから降りると、とある部屋に通された。ここが僕の仕事部屋だろうか。
机の上のPCを立ち上げると、チャットルームが開いた。

チャット画面では、発言内容を選択して同僚とコミュニケーションを取っていく。
チャットルームにいる同僚は、ゾーイとスチュアート、ゲントの3人のようだ。
ゾーイは周囲に気を使える性格で、スチュアートは突然アニメの話をぶっ込んでくるおちゃらけた性格のようだ。そして、ゲントはMIT卒の主人公に対して、少々トゲのある物言いをしてくるな~。

そこで舐められないように強気な選択肢をチョイスしたけど……いきなりすっげー嫌なヤツになっちゃったな……。
どうやら同僚とのチャットでのやり取りは、後述する調査ファイルを見ながら時折行うようだ。

そうこうしている内に、新人研修が始まった。
新人研修では、過去に行われた実験の映像を見るようだ。

映像の実験の被験者であるジョン・カーターは、元死刑囚だ。釈放と引き換えにこの任務を引き受けたらしい。コードネームはD-503。使い捨てにされるであろうDクラスの職員だ。

彼の任務は、砂漠の中に落ちているゴミを回収し、焼却炉に捨てに行くことだ。
一応、過去の映像という体だが、プレイヤーがジョン・カーターを操作し、レーダーに表示されているゴミの場所まで車を運転する。

ちなみに本作は、コントローラーでの操作に対応していない。僕は、本連載を始めるまで、PCでゲームをプレイする習慣がなかったので、未だにキーボードでの操作に不安があるんだよな~。
激しいアクションがないことを祈ろう。

僕の祈りが届いたのか、激しいアクションはなかった。これならマウス&キーボードでも大丈夫だな。

仕事を終えて居住区に戻ると、精神検査として、枠内に図形を移動させる簡単なパズルをプレイする。
何事もなく仕事をする日々が続いていたが、8日目あたりから徐々に異変が現れる。

ゴミの回収を終えたD-503は、突然の砂嵐に巻き込まれて帰り道を見失い、超常現象の一端に触れてしまった。
その後、精神に異常をきたしたD-503は居住区を抜け出し、姿を消してしまうのだった。

映像はここで終わる。
ちなみに、現在までに砂漠を無事に離れることができたDクラス職員はいないらしい。まさにモルモット!

これにて新人研修は終了だ。
そして、今回の研修の満足度アンケートを書かされるんだけど、低評価をつけたら上司の機嫌を損ねてDクラスに落とされちゃうかもな。

ここはおべっかおべっか!
オムニバス形式で語られる、色んなSCP調査ファイル

先程の新人研修では、トラックの運転やミニゲームの操作はあったものの、懸念していた激しいアクションはなくて胸をなでおろした。

次から正式な職員として調査ファイルを見ていくことになる。SCP-701「ブラックボックス事件」では、ポニーステーションと呼ばれる施設に問題が発生し、財団との連絡が途絶えたという。
プレイヤーは、エージェントのベラ・ローレンスを操作し、調査に乗り出す。

今回は、ステージを探索し、落ちているアイテムを見つけて仕掛けを作動させてゲームを進めていく。プレイ感覚はよくあるサバイバルホラーという感じだ。

また、別の調査ファイルでは、童話に入り込んだような可愛らしいタッチで語られる。調査ファイルによって物語の内容だけではなく、作風も変わってくるのか。
プレイ前は、不条理で恐ろしげなバケモノに襲われるホラー展開を想像してビビっていたけど、これならホラーが苦手な人でも安心だな!なんて油断していたら……

ヒェッ!

バケモノから逃げるシーンもしっかりあるぞ!
5時間ほどでクリアできました。
調査ファイルの中には、一人称視点で施設内を探索するものや、襲いかかってくる超常現象から逃げるものなどがありましたが、基本的には指示された方向に進むだけなので難易度としては低かったように思います。調査ファイルによってゲーム性がガラリと変わることもあり、飽きずに一気に最後までプレイできました。
SCPについての事前知識があればより楽しめるのは間違いないですが、僕のように「SCPってなんか不思議で怖いやつでしょ?」程度の知識しかなくても、オムニバス形式のホラーゲームとして十分楽しめますよ!
『SCP:極秘ファイル』はPCを対象に配信中です。
吉田輝和のプロフィール:自画像の絵日記を20年以上書き続けている謎のおじさん。近年、「先輩がうざい後輩の話(一迅社)」や「吸血鬼すぐ死ぬ(秋田書店)」、「からかい上手の高木さん(小学館)」などの人気漫画のモブキャラとして登場している。何故こんなに漫画に登場しているのか、描いた漫画家も吉田本人もよくわからないらしい。吉田輝和個人のTwitterはこちら。
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