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先日ZA/UMからの解雇が報じられた『ディスコ エリジウム(Disco Elysium)』のアートディレクター・Aleksander Rostov氏とゲームディレクター・Robert Kurvitz氏は、現CEO・オーナーを告発する声明文を発表しました。
この声明文は、現在のZA/UM(Zaum Studio)のCEOであるIlmar Kompus氏が新聞に対して答えた内容(内容は後述)がきっかけで発表したとされるものです。ZA/UM立ち上げ当初はMargus Linnamäe氏という人物が株式の大半を所有し初期資本を提供したものの、同氏は2021年に少数株主であった企業・Tütrekeによって買収。この企業は現在ZA/UMを所有しているTõnis Haavel氏とIlmar Kompus氏からなるものです。
しかし、Rostov氏とKurvitz氏の両名は、TütrekeがZA/UMの経営権を得たのは詐欺によるものであると告発しました。株式の過半数を買うために使用した資金はZA/UM自体から不正に取得したものであり、本来であれば続編の制作に充てられるべきお金が1人の利益のために使用されたとしています。
両名やその弁護士の見解ではこの行為は3年以下の懲役に相当する犯罪行為であり、Tõnis Haavel氏とIlmar Kompus氏に加え、それを支援したとされる少数株主のKaur Kender氏の3名を告発。そのうち同氏が2007年に投資家への詐欺で有罪判決を受けていることから、Haavel氏が首謀者ではないかと推測しています。
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Linnamäe氏が大株主であった際はすべての株主が平等に扱われていましたが、Haavel氏、Kompus氏が大株主になった途端Rostov氏とKurvitz氏は日常業務から外され、会社の情報へのアクセスも遮断。その後文書や財務データを求めていましたが数週間後に解雇され、データは現在も隠されたままであるようです。両名はZA/UM(Zaum Studio)の少数株主として『ディスコ エリジウム』に関するすべての権利を所有しているものの、現在それらの権利が制限されています。
現在両名は、エストニアおよびイギリスで民事請求と刑事告訴といった法的措置を検討しているといいます。両名は、まだZA/UMで働くスタッフへの配慮や自らの精神的な健康を考えて声を上げるのを控えていましたが、疑惑の大きさや持っている証拠の重大さを考えると、そろそろ何が起きているのか知ってもらっても良いのではないかという考えから、ここ最近の提訴や声明といった行動に踏み切ったそうです。
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一方で、Kompus氏がEstonian Ekspress(エストニアの週刊新聞紙)に語ったところでは、Korvitz氏は過去に女性や同僚への差別を行っていたことを解雇理由として説明。このような行為を許容することは成長中の国際企業として非常に短絡的であると述べています。また、Kurvitz氏らが『ディスコ エリジウム』IPの所有権について「誇大妄想」をしていたとし、「業界の他の場所に行こうとしたものの、誰も興味を示さなかった」といったことを主張しています。
加えて、PC Gamerに対してはさらに詳しい理由を説明。解雇理由として、「ほぼ2年間まったく仕事をしていない」「責任と仕事への関与が少ない、あるいは全くしていない」「暴言や男女差別」「ZA/UMのIPを違法に販売しようとした」といったことを挙げています。
いずれの主張の真偽も現在のところは不明。現地時間11月28日より開始される裁判にて、実際の内容が明らかになっていくかもしれません。