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NEOWIZは11月17日、韓国・釜山で開催中のゲームショウ「G-STAR 2022」の会場にて、アクションRPG『Lies of P』メディア合同インタビューを実施しました。
既報の通り、同社は『Lies of P』の50台の試遊ブースのほかフォトゾーンなどを設けています。メディア合同インタビューにはRound8スタジオ長 パク・ソンジュン氏、『Lies of P』総括ディレクター チェ・ジウォン氏、アートディレクター ノ・チャンギュ氏の3名が登壇。開発の中心人物であるチェ・ジウォン氏はゲーム企画から始まる15年のキャリアを経て、現在の総括ディレクターとなり、これまでに『DarkBlood Online』の企画総括、『LostArk』では戦闘企画統括などを務めた人物です。
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今回のインタビューでは『Lies of P』開発に至るきっかけや、「ピノキオ」を題材に選んだその理由、本作の特徴である嘘システムや武器合成システムなどゲームの詳細を語っていただきました。
──有名な童話「ピノキオ」をゲームのモチーフにしようと思った理由を教えてください。
『Lies of P』開発チームコンソール向けゲームの開発はNEOWIZとして初であり、同時にソウルライクというジャンルへの初挑戦でもあります。そのため、テーマとして誰にもなじみのある概念を借り、ユーザー認知度を高めることが必要だと考えました。しかし、みなさんが知っている「ピノキオ」のストーリーではなく、あえて大人向けの残酷童話に仕立てあげました。
『Lies of P』には原作のキャラクター達も登場します。サーカスの団長は「ParadeMaster」として、嘘をついて薬を飲まないピノキオのもとへお棺をかついでやってくる4匹の黒兎たちは「BlackRabbit Brotherhood」と、少し形を変えてキャラクター化しました。
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──本作の大きな特徴の「嘘システム」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
『Lies of P』開発チーム童話のピノキオは「嘘をついてはいけない」という教訓を与えますが、ゲーム内では嘘をつくことで人間性を獲得します。いくつの嘘をついたか、どれくらいの人間性を獲得したかによりエンディングは3つに分岐していきます。
──嘘によるペナルティは存在しますか? 主人公“P”はヒトではなく人形なのですか?
『Lies of P』開発チーム嘘はペナルティとはなりません。ペナルティとはユーザーのプレイに不利に働くわけで、話の展開を知りたくて選択したユーザーにマイナス影響を与えれば、良い体験にならないでしょう。公開されている情報の通り、本来の主人公“P”は人形であり、だんだんと人間になっていきます。これ以上は実際にゲームをプレイしてのお楽しみということで。
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──「ベル・エポック時代」を意識した世界観を舞台にされていますが、実際に参考とされた都市はフランスのどの街でしょうか。
『Lies of P』開発チーム実際の「ベル・エポック時代」は明るく楽観主義に満ちたものであり、中心となったパリといえば美しくロマンチックなイメージがあるでしょう。しかし我々は温かい街並みではなく、冷たく重く、そして暗い「Gotham Paris」として表現しています。コロナ禍で現地に行けませんでしたが、モンマルトル近郊街/市庁舎前の広場街/シテ島近郊街/南部地域モンサンミシェルなどからインスピレーションを得ています。
──次に「武器合成システム」について教えてください。
『Lies of P』開発チーム合成は武器を「刃」と「柄」の部分に分離し、異なるもの同士を合成できるシステムです。ゲーム内には約30種類の武器が存在し、それぞれを組み合わせると100種類を超える新武器を合成可能になります。例えばナイフを使っていて「性能は好みだがリーチが短い……」と感じたら、別の槍の柄と合成することで、攻撃力も有効範囲も満足できる武器ができあがります。
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従来使用していた武器の長所だけを取り、欠点を解消できる合成システムは「楽しい悩み」をユーザーに提供できるはずです。武器の種類は、剣、刀、両手槍、ハンマー、斧だけでなく奇妙な形の武器もあります。できるだけユーザーに多様な個性を感じさせられるデザインを施しました。
──もうひとつの異なる武器システム「Legion Arm」には様々なギミックがありそうですが、何種類くらい用意されているのでしょうか。
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『Lies of P』開発チーム人形というピノキオの設定を活かして、“P”の左手は義手です。全8種の義手による「Legion arm」システムで、よりダイナミックかつエキサイティングな戦闘が楽しめます。Legion armを強化すれば、さらに新しいスキルも使用できます。
──レベル以外でキャラクターの成長要素はありますか。
『Lies of P』開発チーム成長要素は3つあり、ひとつはソウルライクなレベルアップシステム。武器の合成やLegion armの強化も成長要素に含まれます。また、キャラクターの戦闘スタイルを進化させていく「Pの機関」というシステムも採用しています。
──ソウルライクというジャンルを選んだのはなぜですか?また、ソウルシリーズをリスペクトした上での『Lies of P』にしかないオリジナリティはどこにありますか。
『Lies of P』開発チームソウルライクなゲームは今やコアゲーマーだけが楽しむジャンルではなく、一般ユーザーでも楽しめるものと言えますし、結果として販売実績にも結び付いています。韓国を代表するメーカーとして、ソウルライクなタイトルを送り出したかったからです。
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ふたつめの質問については、ソウルライクというジャンルの作品は「操作が素早い、コントロールがうまい」だけでクリアできるものではありません。ユーザーの判断力、選択、プレイの経験値を重ねてうまくなっていく、という部分を重要視して開発しました。
──原作の童話は、キリスト教と教会への批判や社会風刺などを多分に含んでいます。『Lies of P』には、どのようなメッセージが込められているのでしょうか。
『Lies of P』開発チーム社会風刺とまではいきませんが、ゲーム内ではユーザーが嘘を選択する場面があり、その中には相手を傷つけないための小さな嘘「白い嘘」もあるでしょう。ユーザー自身の中のモラルと照らし合わせ、一度立ち止まって考えてほしいという気持ちで作りました。
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──ゲーム内に登場するNPCにも個別のストーリー展開はありますか。
『Lies of P』開発チームはい。“P”のつく嘘や選択肢により主要なNPCの運命も変わっていきます。
──現時点での完成度を教えてください。
『Lies of P』開発チーム8月のgamescom出展の時点で進捗は70%で、今は開発そのものはほぼ終わっており、バグフィックスや完成度を高めるための調整を行っています。
──本作の開発にあたり、これまでの開発経験が活きていると言える部分はどんなところですか。
『Lies of P』開発チームキャラが死んでも「自分のプレイが悪いことが死因だった」とユーザーが納得できるプレイを作ることが大切だと思っています。開発経験を活かせたのは、「こうすればよかった」と失敗の理由を考えさせるアクション構築でしょうか。また、特に打撃感については世界最高レベルのものを作ってると言えます。
──エンディングが3通りありますが、コンプリートを目指して2周目、3周目のプレイには1周目で獲得した成長要素をそのまま引き継げるのでしょうか。
『Lies of P』開発チームはい。成長要素は引き継いで2周目以降もプレイできます。
──日本語ローカライズについては、字幕部分のみなのでしょうか?それともボイスも含めて日本語化されるのでしょうか。
『Lies of P』開発チーム世界観維持のため、基本は英語ベースとなります。多言語へのサポートは字幕のみと考えています。発売は全世界同時を予定してますので、日本語版だけ遅れるようなことはありません。
──「この人に『Lies of P』をプレイしてほしい!」という方はいますか?また、日本のゲームプレイヤーやゲームファンに向けて、メッセージをお願いします。
『Lies of P』開発チームあまりにも尊敬する宮崎英高さん(フロム・ソフトウェア)に、ぜひ遊んでみていただければと思いますし、レビューも聞いてみたいです。また、アクションゲームの宗主国といえる日本のプレイヤーからも高評価をいただけるよう最善を尽くします。おおいに期待していてください!
──本日はありがとうございました。
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