Bohemia Interactiveは、サンドボックス型ミリタリーゲーム『Arma 3』の映像がフェイクニュースとして引用されている件に関して、公式声明を発表しました。
あわせて声明文内では、手ブレや映像の画質など「フェイク映像の見分け方」となるポイントもいくつか指摘されています。
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オープンなサンドボックスのプラットフォームとして機能している側面もある本作では、莫大な量のmodがSteamワークショップ上で公開されており、「シナリオ」として様々な情勢のシミュレーションが可能です。さらには、映像を作るための機能もその性質上充実しており、以前よりゲーム映像を使った数多くのハイクオリティな映画、いわゆる「マシニマ」の撮影にも使われています。しかしその性質と一部の側面におけるリアルな空気感が後述するような状況を招いてもしまったようです。
ロシアによるウクライナの軍事侵攻が2022年2月から始まって以来、開発元はSNSや動画サイトなどメディアにおいて『Arma 3』内の車両、航空機等を用いた映像によるフェイクニュースが共有されている事態について対応を検討しています。
こういった事例はウクライナ侵攻だけに留まらず、以前にはインドとパキスタンの衝突、シリア内戦など「紛争地帯の映像」として、各国の国営メディアや公的機関すら誤った引用をしてきた事例も存在します。
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Bohemia Interactiveはフェイクの映像に対して「戦争のプロパガンダに利用されるのは喜ばしくない」と述べたうえ、FacebookやYouTube、Twitterなどのプロバイダーに注意や警告を発することで対抗してきたものの、「1本動画が削除されるたびに、10本の動画が毎日アップロードされている」といった埒のあかない現状についてもコメントしました。
今後はAFP通信やロイターなど、より大手のメディアやファクトチェッカーと協力していくとのこと。また、声明や動画では「フェイク映像の特徴」となるいくつかの点を指摘しています。
非常に低い解像度
フェイクの動画は解像度がかなり低く、ゲームの映像ということを誤魔化すために、意図的にぼやかされたりしている。カメラの手ブレ
臨場感、リアルさを演出するために、ゲーム映像をキャプチャしたものではなく、ゲーム映像をカメラで撮影し、手ブレしたものが使用されている。夜間など、暗い場所が撮影された映像である
ゲーム内のディテール不足を隠すため、映像は暗い場所で撮影されたものが多い。音声がない
ゲーム内の音声と現実の音声は区別しやすいので、無音にされている。動いている人物が出てこない
軍用車両の動きは比較的リアルに再現ができるが、人の「自然な動き」を再現することは最新のゲームでも難しい。HUDが表示されている
映像の画面端などに、武器や残弾数、車両の状態などを表すUIが表示されている場合がある。不自然なエフェクト表現
爆発や煙、炎などの表現が現実的でない場合がある。特に、小さい雲が"奇妙に"離れている場合は要注意。現実と異なった車両や装備
軍事知識がある人は、その状況において非現実的な装備が利用されていることに気付ける。(例:アメリカ軍の攻撃機A-10が、アメリカ軍の防空システムによって撃墜されているなど)また、本物でない部隊章や迷彩が描かれている場合もある。
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自由度が高く、リアル志向であるがゆえに誤った引用をされる事例がたびたび見られる本作。「クリックベイト(釣りタイトル)」を鵜呑みにせず、ひとりひとりが正しい認識を持ち、むやみにフェイク映像を拡散させないようなリテラシーや意識が求められています。