アメコミ邦訳版の出版などを行っていたフリューの出版事業であるヴィレッジブックスは、出版事業を終了することを発表しました。
発表文によると、事業環境が厳しさを増し、継続の方向性を模索したものの継続が困難であると判断したため、事業の終了が決定したとのことです。ヴィレッジブックスはこれまで16年にわたって出版活動を行ってきました。既刊についてもヴィレッジブックスが出版したものの購入は困難になりますが、一部書店では在庫分に限り購入できるとのことです。
インターネット書店:
Amazon(出荷元がAmazon.co.jpのもの)
Fujisan.co.jp(通販限定商品のみ)
アメコミ専門店:
VERSE COMICS
ブリスターコミックス
コミックスゾーン
これによりアメコミ邦訳版の出版社はさらに少なくなり、小学館集英社プロダクションのShoPro Books、誠文堂新光社のG-NOVELS、フェーズシックス出版などが残ります。
近年はアメコミ原作ゲームも豊作。原作をたどるのが難しくなるかも
近年では、日本語にも対応したアメコミ原作ゲームが多く発売されています。一方でMCU、DCUなど比較的人気の高い映画版をベースにしたゲームは少ないため、邦訳版の一大出版社だったヴィレッジブックスの事業終了によって、原作をたどるのが難しい状態がさらに加速するかもしれません。
最近発売したアメコミゲームとしては、以下のような物が上げられます。
『マーベル ミッドナイト・サンズ』
『XCOM』で知られるFiraxis Gamesが開発し、2Kが12月2日に発売したSRPGです。カードゲームの要素を取り入れたターン制ストラテジーとなっており、マーベル初のカスタマイズ可能なヒーローが登場します。本作のユニバースはゲームオリジナルですが、コミック「Rise of the Midnight Sons」をモチーフにしています。またマジック、ニコ・ミノル、ゴーストライダーなどMCUファンにはあまり馴染みのないキャラも登場します。
『ゴッサム・ナイツ』
バットマン亡き後のゴッサム・シティで、ロビン、バットガール、レッドフード、ナイトウィングの4人が街を守るために戦います。キャラを自由に切り替えながらプレイできることが特徴のアクションRPGです。
操作キャラの4人は有名な映画やドラマなどにはあまり登場しておらず、映像作品のみ追っているファンにとっては馴染みが薄い設定の作品と言えます。
『Marvel’s Spider-Man: Miles Morales』
2020年にPS4/PS5版が発売されたアクションゲームですが、PC版が2022年11月に発売しました。主人公はピーター・パーカーではなくマイルズ・モラレスとなっており、もう1人のスパイダーマンの姿が描かれます。
高評価なアニメ作品「スパイダーマン:スパイダーバース」には登場しているためご存じの方も多いかもしれませんが、MCUなど実写作品にはまだ登場していません。
今後も『Marvel's Wolverine』『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』『Wonder Woman』などの発売が予定されているほか、タイトル未発表のものでは、EAとMotive Studiosの「アイアンマン」やSkydance New Mediaのキャプテン・アメリカやブラックパンサーが登場する作品など、様々なタイトルのリリースが予定されています。
近年リリースされた作品の中では、人気の高い映画版をストレートにゲーム化したものはありません。そのため原作履修という意味でも、精力的にアメコミを出版していたヴィレッジブックスの事業終了は、国内のアメコミファンにとっては非常に残念なニュースとなっているのではないでしょうか。