先日行われたTGA2022で大きな話題を呼んだ、フロム・ソフトウェアによる10年ぶりの『アーマード・コア』シリーズ新作『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』。シリーズのファンはもちろんのこと、今年様々な賞を総なめにし、Steamでは40万件越えの好評を得る『ELDEN RING』を開発したフロムの新作だけあって、国内外から大きく期待を寄せられています。本記事ではそんな『AC6』の門出を占うべく、現在Steamで販売中の同系統ロボアクションタイトルの現状とこれまでを振り返ります。
ロボアクションヒット作の一つ『DAEMON X MACHINA』は『アーマード・コア』の一部作品のプロデューサーとして知られる佃健一郎氏も関わった、今回の検証にはぴったりと言える作品です。『アーマード・コア』のような、日本のロボアクションのスタンダードを志向したような内容でもあります。当初スイッチ向けにリリースされた本作ですが、後に発売されたSteam版ではグラフィックやPCならではキーボードマウスによる操作性の向上で評価を得ていました。そんな本作のSteamでのレビュー数は5,221件、好評はその9割程度となっています。
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海外産のタイトルでは『MechWarrior 5: Mercenaries』が代表的と言えるでしょう。本作はボードゲームを祖とし、小説やアニメといったメディア展開もなされた「バトルテック」フランチャイズの系譜に連なる巨大ロボットシミュレーター最新作です。前作となる『MechWarrior 4: Mercenaries』からなんと約20年もの間をあけて発売された、待望の一作であった点も『AC6』に類似している部分と言えるでしょう。内容的には日本のロボアクションとは大きく速度感などが異なりますが、ランダムなミッションの攻略を中心とした、育成要素や攻略自由度の高いゲーム進行は特徴的です。1年間のEpic Gamesストア時限独占を経てSteamでも販売を開始し、現在では5,554件のレビューで85%の好評を集めています。
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以上のように日本産と海外産、それぞれのトップクラスタイトルを紹介しましたが、これらのヒット作でもレビュー数は6,000に届かない程度という現状が見えます。基本プレイ無料のオンライン対戦タイトルまで目を向ければ『MechWarrior Online』や『War Robots』といったレビュー数10,000件越えのタイトルもありますが、シングルキャンペーンが存在せず比較対象として疑問が残り、好評割合も前の作品に比べ1段落ちる面があります。
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『DAEMON X MACHINA』、『MechWarrior 5: Mercenaries』ともに(『MechWarrior 5』については、Steamから突然Epic時限独占へと切り替わったという経緯もありますが)ローンチ時にSteamが含まれていないタイトルであることにも注意が必要です。そもそもTPS形式のロボアクションともなるとその数はかなり絞られることからも、Steamにおいて、狭義でのロボゲーがそれほどメジャーなジャンルでないことが伺えます。
余談ですが、同じく“AC”かつパブリッシャーをバンダイナムコが務めるなど、何かと共通点のある『ACE COMBAT』シリーズ最新作『ACE COMBAT 7: SKIES UNKNOWN』もナンバリングタイトルとしては約10年の時を超えての発売でした。こちらは先日販売本数400万本を突破する大ヒット作となり、Steamでのレビュー数も24,134件中86%に好評と良好な結果を残しています。ゲームとしては別物であることは重々承知していますが、独特の硬派な格好良さを持つ、ファンが長く続編を待ち望んだゲームという点でこちらも一つの参考となりそうです。
近年の大型ロボアクションタイトルとしては、初めてSteamを含めたローンチとなると思われる『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』がどれ程の人気となるかはやはり未知数ですが、TGAでの発表後の反響の大きさに期待が高まる一方、ここまで述べたような事情もあり、不安も入り混じるというのが正直な感想です。メジャーと言えるほどの土壌が未だロボACTに育たないSteamで、本作は既存タイトルがぶつかるレビュー6,000件の壁を無事越えられるでしょうか。