
Game*Sparkライターと編集部が過去に取り上げた作品からピックアップし、今冬のセールでオススメのゲームを紹介していく「Steamセールのマストバイ」。今回は、シューティングゲーム『溶鉄のマルフーシャ』をご紹介します。
筆者はTGS2022にて、開発者のhinyari9さんへインタビューを実施。実は本作のディープなファンだったので、思いの丈を込められることに興奮を隠せませんでした(インタビュアーの著しく高いテンションは、記事中ではカットしました)。そんな筆者ですが、「Steamウィンターセール」にてマストバイと思う本作の魅力を語っていきたいと思います。
「戦争」ではなく、「徴兵された少女たちの抗い」を描いている。

筆者が考える『溶鉄のマルフーシャ』の素晴らしい点は、なんといってもその世界観と、数多くの魅力的なキャラクターたち。本作では、隣国と戦争を繰り返す独裁国家で戦禍に投じられた少女たちの物語が描かれます。
本作では主人公の「マルフーシャ」をはじめとし、魅力的で可愛らしいキャラクターが多く登場。多様な少女たちは、どこかプレイヤーの心に共感を残すでしょう。あるいは「推せる!」という方面で共感を迫るかもしれません。どこか社会になじめないキャラクターたちが織りなす人間模様は必見です。

特筆すべきなのは、これは戦争を通じて戦果をあげていくといった「戦争物」ではないということ。あくまで「徴兵された/つまはじきにされた少女たちの抗い」なのです。ドット絵で可愛らしく動くキャラたちはもちろんですが、この「残酷な世界」の描写に筆者はやられました。
「バッドエンド多し」と言われる本作……戦場という状況はどんな人間にも救いがあるとは限りません。ディストピア世界における最大の苦痛は、住人が受ける“理不尽”と言えます。そしてそれは国家の暴走の果てに様々な形で顕現していきます。『溶鉄のマルフーシャ』では、その理不尽が戦禍そのものではなく「徴兵」という姿で現れました。
あくまで主体となるのは「徴兵された少女たち」。戦争における正義、戦意、そして全体的な勝敗などというものには一切関係がありません。ただ“生きるためにあがく”しかないのです。どのような悲惨な過去や想いを背負っていても、「マルフーシャたち」を圧し潰す鉄の世界は容赦がありません。

筆者はこのバッドエンドの多さを、(SFであろうと)現実的な描写と感じています。その現実感の中で少女たちが、それでも前に進もうとすることは一般人の“あがき”であり、人々の心に残ることでしょう。これは単なる“理不尽なバッドエンド”ではなく、“理不尽なバッドエンドに逆らった人間たち”の物語なのです。
そして忘れてはならないのが、本作にはトゥルーエンドも存在しているということ。こちらの条件を達成するためにはハードな条件をクリアする必要があります。プレイしたもののトゥルーエンドを見ていないという方は、ぜひこの冬にチェックしてみてはどうでしょうか。
『溶鉄のマルフーシャ』はSteamにて発売中。ニンテンドースイッチ/PS4/PS5/Xbox向けにおいてはPLAYISMより今冬リリース予定となっています。
「Steamウィンターセール」にて30%オフとなる553円で販売中です。
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