2022年もいよいよ終わりに近づき、Steamではウインターセールも開催中です。Game*Sparkでは、新作ゲームのリリース後すぐのプレイレポートをお伝えする「爆速プレイレポ」を定期掲載しています。しかしレポート掲載後に早期アクセスから正式版リリースへと移行したり、幾度の大型アップデートを行い、紹介時とは大きく変わっている作品もたくさんあります。
それを紹介して、あのゲームの“今”を伝えたいという企画、それが今回の「再訪・爆速プレイレポ」です。今回は2020年4月20日に爆速プレイレポを掲載したオープンワールドRPG『Drug Dealer Simulator』の“今”をお伝えしていきます。
違法で地道な商売シミュ『Drug Dealer Simulator』とは
デベロッパーByterunners Game Studioが手がけ、パブリッシャーMovie GamesおよびPlayWayから2020年4月17日にPC(Steam)向けにリリースされた「お薬売買シミュレーター」。プレイヤーは小さな売人から経験を重ね、自分だけの犯罪組織を目指していきます。
ゲーム内に登場するお薬はヘロインやコカイン、マリファナやエクスタシー、フェンタニルなど多彩な種類が用意されています。これらのお薬や他の材料をラボでミックスすることも可能で、有名なドラッグカクテルはもちろん、自分だけのオリジナルな商品を作り出すことも可能です。
ゲーム内ではインターネット裏サイト「shady Comm」を通じて薬を注文したり、顧客からのリクエストに答えることが可能。自身の名声が上がれば子分の売人が登場したり、販売エリアが増えたり、新しい隠れ家を購入できるようになります。もちろん、エリアを拡大すれば新たな顧客や土地を仕切るマフィアとの関係も構築できるのです。
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もちろんお薬の取引は秘密でなければなりません。本作の舞台となる町は封鎖状態で、道路は警察が巡回している状態。警察にお薬を持っていることがバレると逮捕されてしまいます。いかに安全な取引ができるようにするのかが商売のコツ。また、資金洗浄しなければ取引で怪しまれるなどの要素も豊富です。
取り扱っているテーマは思い切り違法な本作ですが、ゲームとしては非常に堅実な商売シミュレーション。薄利多売で顧客を喜ばせるか、多少のリスクを含む商売で大きく稼ぐかなどはプレイヤーの自由で、通行人に“サンプル”を渡して顧客開拓する営業も可能です。地道でコツコツ違法商売、これが楽しい作品なのです。
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ちなみに、本作はリリース前に無料体験版を配信しています。その名も『Drug Dealer Simulator: Free Sample』。筆者はこのネーミングセンスに惚れ込んでいます。
リリース後6つの大型アップデート!続編も来年登場
現在の『Drug Dealer Simulator』のバージョンは1.2.23です。本作はこれまで6回の大型アップデートを配信して商売の世界は大きく拡がってきました。ここでは、その6つのアップデートを紹介していきます。
◆2020年5月28日【Weed Growing Update】
本作初の大型アップデート「Weed Growing」は、その名の通り植物の栽培システムを追加するもの。ゲーム内で商人からマリファナの種子を購入して育てられるようになりました。
また、このアップデートで待望の日本語が追加されます。しかし日本語では一部の単語が表示されない不具合があるため、基本的には英語でのプレイがおすすめです。
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◆2020年9月30日【Super Duper Update】
天候や月の動きなどの環境変化に対応。マップ上のオブジェクトや通路の見直し、「shady Comm」のUI調整など、ゲームプレイの質を大幅に上げるアップデートが行われました。
また、ゲーム内に新システムとしてロックピックが追加され、マップ内に鍵の付いたフェンスやドアが登場するようになります。鍵を開けて比較的安全な通路で取引現場に向かうことや、空き家に隠れることができるようになりました。
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◆2021年1月26日【Harty Pard】
このアップデートでは街に新しいマフィアが追加され、彼らに関するクエストラインをプレイできるようになりました。それに伴いゲーム内に新たなお薬「サイケデリック」が登場したほか、商品を大きなパッケージで扱えるようになるなど、商売の幅がさらに広がっています。
新しい家具や装飾品の追加や各種システムの改善、ドラック使用時の効果や影響の変更など、ゲーム内の各要素も変更・拡張されています。ゲームの最適化も行われ、パフォーマンスも大幅に向上したようです。
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◆2021年5月28日【Sewer Dealer Bro】
ゲーム内に下水道エリアが登場。本作のマップはセクターごとに分かれていて、セクター間の移動には警察による持ち物チェックがあります。セクター間での取引のためにはチェックを抜ける必要があるので、比較的安全に移動できる下水道の登場はゲームに大きな変化を与えました。
一方で警察の捜査も強化され、夜の外出禁止期間での行動がより困難になっています。しかし下水道の存在は移動や取引、隠れるなど、プレイヤー側にとって便利でとてもありがたいアップデートです。
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◆2022年2月2日【Uptown Kings】
ゲーム内に新たなセクターが追加されたことで、販売エリアや購入できる隠れ家の種類が大幅に増加。新しい資金洗浄システムが導入されたほか、顧客やギャングの調整、環境変化などが行われています。
さらにプレイヤーが特定のアイテムを入手することで建物の電源を落とせるようになるなど、プレイスタイルの幅がさらに広がっています。
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◆2022年12月1日【Endgame Update】
「Endgame」の名の通り、本作の最後の大型アップデートです。ゲーム内に最後のクエストラインが追加され、このクエストを通じて新しい取引方法や別荘の購入、部下の売人にラボを与えるシステム、仮想通貨「Pitcoins」の販売機能など、多くの新機能が登場します。
また、各種フィルタリング機能を含むゲーム性の改善も実施。ゲームバランスも大幅に調整されているほかSteam実績に対応するなど、さまざまな変更点があります。
なお、本作の大きな更新はこれで終了になりますが、2023年には続編の『Drug Dealer Simulator 2』がリリース予定です。続編の舞台は2000年代初頭のカリブの島イスラ・ソンブラ。前作よりも広大なオープンワールド世界には汚職警官や敵対ギャング、地元の民兵などの危険がいっぱいです。
前作同様の取引方法に加え、新たな入手方法や部下への仕事指示なども可能に。また、島には地元通貨とUSドルの2つのお金が流通している独自の経済システムで、プレイヤーに新たな遊び方が提案されそうです。
地道ながらよりダイナミックな商売も可能に!
爆速プレイレポで紹介したリリース直後の『Drug Dealer Simulator』は、すでに取引や調合、マネーロンダリングなど多くの要素が用意されていました。しかし、発売前に紹介されていた植物栽培などの要素は実装されておらず、基本的には購入と販売の繰り返しになることが基本でした。
もちろん「地道にコツコツ」が面白く、調合でオリジナルな作品を作ったり、スキルで取引に有利な専門的な能力を身に付けたりと、プレイヤーごとのスタイルが楽しめる魅力的な作品です。しかし、この6回のアップデートを経て、本作はコツコツ遊ぶだけでなく、少しアクティブなプレイもやりやすくなった印象です。
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特に顕著な変化としては「Sewer Dealer Bro」で登場した下水道の存在。下水道はとても作り込まれていて、マップに慣れるとあらゆる場所へ簡単に移動できるようになります。ゲーム内ではセクターを超える取引は名声やクエストのために必須なので、下水道を使えるようになることで一気にゲームプレイが変わると言っても過言ではありません。
マフィアとのクエストを進めるためにはレベルや名声を上げる必要があるため、取引に関するシステム向上は、そのままゲームを遊びやすくすることに繋がっています。細かな修正やバランス調整も多い本作は、開発の姿勢も「破天荒な内容ながら堅実」なゲーム性をそのまま表している印象です。
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なお、ゲーム内の取引で顧客は正式な薬品名ではなく「スピードちょうだい」「グラスある?」「チャイナホワイトくれよ」など、いわゆる隠語で注文してくる人も。勉強になりますね!
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ここまで紹介してきた『Drug Dealer Simulator』の“今”。リリース直後のプレイレポで筆者は「少しイリーガルな世界観の人間として、じっくり遊べるオープンワールドを楽しみたい人にはオススメ」と書いています。6回の大型アップデートを重ねた本作ですが、依然としてその魅力の根幹は変わっていません。
商売でお金と名声を稼ぎ、少しずつ縄張りを拡げていくのは経営ゲームとしてもオープンワールドゲームとしても醍醐味の部分だと思います。本作はその楽しさを最大限活かし、決して親切なヘルプがあるわけでもないのですが不思議なほど遊びやすい作品です。
最終アップデートが配信されたことで、ついに完成を迎えた『Drug Dealer Simulator』。長く遊べる作品なので、今のうちに遊んで2023年の続編に備えておくのもいいかもしれません。.