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ゲーマーならだれもが知るあの潜入方法は、現実世界でも有効なのかもしれません。イギリスのメディアThe Economistの防衛担当編集を務めるShashank Joshi氏が紹介した書籍「Four Battlegrounds」内で、AIの目を掻い潜ることに成功した方法は『メタルギア ソリッド』シリーズでおなじみのステルス手段である、段ボールに隠れることでした。
「Four Battlegrounds」は近年のAI開発競争について解説した書籍で、段ボールが登場したのは軍事用AIの開発において、人間検出のアルゴリズム改善に海兵隊が協力する場面です。8人の海兵隊員がAIに検出されずにロボットに触れるよう指示され、様々な方法を試みるのですが、そのうちの一つが段ボールに隠れるというもの。2人でひとつの段ボールを共有して近づき、見事AIの目を掻い潜ることに成功したといいます。本に登場する関係者には、箱の中の彼らがくすくすと笑う声が聞こえたそうです。
書籍で解説されているように、この時点でのAIは走ったり歩いたりする人間を検出するように開発されていたため、それ以外のイレギュラーな動きには対応できなかったようです。海兵隊員は枝に隠れてゆっくりと移動するという漫画じみたものから、300メートル宙返りし続けるというトリッキーな方法まで駆使して、8人全員が課題をクリアしました。
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人間であれば簡単に見破れそうに思える段ボール潜入も見破れないなど、AIはまだまだ発展途上にあることが伺えるこのエピソード。ですがAIが世の中に普及し、軍事的にも利用されつつある点は、まさに『MGS』で描かれた世界のように思えます。もしかしたらスネークの潜入に段ボールが多用されるのも、これを予期してのことだったのかもしれません…。