「中華ゲーム見聞録」第115回目は、時を操る力を持つ少女とともに戦う、アニメスタイルのアクションRPG『ソウル オブ クロノス』（中国タイトル『時霊：星辰愚者』）をお届けします。
本作はFUTU Studioが開発し、Astrolabe Gamesによって2023年2月14日にSteam/PS5で配信されました（ニンテンドースイッチ版は2月16日）。FUTU Studioは中国・上海を拠点にするデベロッパーで、2018年に設立。2021年に『妖詩』（英語タイトル『Yaokai's Poetry』）という恋愛ADVを海外ニンテンドースイッチでリリースしています。
『妖詩』の日本語版はありませんが、FUTU Studioは日本語サポート作品として、2作品のリリースを発表しています。一つが今回配信された本作。もう一つは『シャンハイ サマー』という、2003年の上海を舞台にした科学幻想ADVです。ノスタルジックな雰囲気の漂うこちらの作品も面白そうですね。
本作の内容ですが、JRPGにインスパイアされたクォータービューのアクションRPGです。巨大な災厄「大崩構」を生き延びた主人公の少年・シドが、大崩構で生まれた種族「時霊」の少女・トリとともに戦う王道ストーリーとのこと。マルチエンディング制を採用しており、プレイヤーの行動で4種類のエンディングに分岐するそうですが、一体どんな作品なのか、早速プレイしていきましょう！
権謀術数渦巻く港町「アステラ」
巨大な災厄「大崩構」から15年が経った世界。災厄で生まれた時の精霊「時霊」は、「糸者」と呼ばれる人間と契約し、その時を食して人間社会に紛れていました。ヴェイロバ帝国の首都から離れた港町「アステラ」に住む主人公の少年・シドも、トリという時霊の少女と契約している糸者です。
アステラは交易や観光によって栄えた港町で、その利権を巡って様々な組織が対立しています。大崩構を生き残ったシドは、「ハイエナ組」というギャング組織の一員となり、借金取りなどの仕事を請け負って日々を過ごしていました。
シドの幼馴染で、「ハイエナ組」の一員でもあるビトウ。生真面目で神経質なところがあります。みかじめ料を払わない商人に対し、これから懲らしめに行く相談をシドとしていました。
会話中に選択肢が出てくることがあります。選択結果によってシドの特性ステータスが変化し、今後のストーリーやエンディングに影響してきます。特性ステータスは「ヤンキー」「取引」「理性」「感知」「窃盗」「熱血バカ」の6種類。ステータス値によっては、会話の選択肢も増えます。
取り立てに行く前に、まずはシドの武器「ニードホーク試作1号機」の修理。マップはエリアごとに別れており、別エリアや建物に入る場合は、その入り口でAボタンを押します。とりあえず「武器工房」へ行きましょう。
武器工房の店主で獣人のリス。背中に見えるのはしっぽで、紫色のエネルギーが流れていることから発光しています。リスは顔に似合わず一人称が「俺」で、言葉遣いも乱暴。「俺にゴミを直させるな。貧乏人を相手にしたくない」とのことですが、ビトウが上手く交渉して修理してもらいました。
武器工房の2階では、動かない敵を相手に模擬戦闘を行えます。シドの武器は、射程は短いですが、ショットガンのように範囲攻撃が可能。攻撃はオートエイムで、Ｘボタンを押すと射撃します（押しっぱなしで連射）。またＡボタンで緊急回避が行えます（回避中は無敵）。
試し撃ちも終わり、ビトウに「ぐずぐずするな」とせっつかれながら、取り立て先のビーストという商人の家へ向かいます。しかしノックをしても、誰も出てきません。その時、いかにもなチンピラたちがやってきました。
有無を言わさず戦闘開始。本作の敵は、HP以外に「刻」と呼ばれるアーマーを持っています（HPバーの上がHP、下が刻）。攻撃するとまず刻が減り、刻が0になってからHPが減少します。チンピラたちはあまり強くないので、サクッと倒して勝利。「ビーストは酒場へ向かった」との情報を聞き出せました。
時霊の少女
酒場へ向かおうとしたところ、ハイエナ組の組員・デニーがやってきました。「ボスが読んでいる」とのことです。ここでシドはビトウと別れ、一人で取り立てに向かいます。
酒場の前で、青髪の小柄な少女が吐いていました。「医者に連れていこうか」と聞いたところ、少女は気を失って倒れてしまいます。そこへ、武器工房で働いていたイールという獣人がやってきました。イールは少女を工房へ連れていきます。
イールが解毒薬を飲ませると、少女の吐き気は治まったようです。何でも賞味期限のパンを食べたのが原因だとか。イールは錬金術師見習いで、材料があれば薬剤の調合ができます。今はまだ開店準備中だとか。また後で来ましょう。
取り立て相手であるビーストを発見。アステラの住民ではなく、外から来た商人のようですね。お金を払うように言いますが、「息子の医療費だから渡せない」と抵抗されます。ここで「信じる・信じない」の2択。
信じたものの、よく考えてみればビーストが結婚したという話は聞いたことがありません。それを突っ込むと、「見逃してくれればお礼はたっぷりする。カモシカ組にも紹介してやる」とのこと。「カモシカ組」はハイエナ組と対立しているギャング組織です。「組を裏切るわけにはいかない」と言うと、ビーストは「ならば死ね」と発砲してきました。
死を覚悟したシドは、これまでのことを回想します。15年前の「大崩構」によってシドの両親が亡くなった後、シドは「狂犬」と呼ばれるショテという男に出会いました。シドはショテに憧れ、兄貴として慕っていました。しかしある時、ショテはハイエナ組から追放されてしまいます。シドはショテに再び会うことを夢見ていました。
シドの死の寸前に現れたのは、時霊の少女・トリです。大崩構後に生まれ、糸者であるシドと契約をしました。人間を越えた身体能力を持っており、時を止める能力もあります。トリはシドを救い、反撃に出ます。
トリとともに、ビーストの雇ったチンピラたちとの戦闘。トリは自動で戦ってくれます。またYボタンで、トリの攻撃ターゲットを指定することも可能。2人掛かりなので、あっと言う間に片付いてしまいました。
戦闘後に軽口を叩いてくるトリ。好物は「焼き栗」で、一人称は「おいら」という濃いキャラです。ビーストに逃げられてしまったので、ハイエナ組に報告へ行かなくてはなりません。ここからはトリも一緒に行動することになります。
カモシカ組との抗争
ハイエナ組支部の建物前まで来たとき、新入りの組員・マルコが駆け付けてきました。組員のジュードがカモシカ組に殺され、その遺体がゴミ捨て場に放置されていたとのこと。ハイエナ組員たちは殺気立っており、一触即発の雰囲気です。
支部の中にいたジョウム。組長・ボルドーとともに組を興した人物です。ボルドーは組のさらなる繁栄のため帝都へ向かいましたが、ジョウムはその誘いを断り、地元に残って事務や会計など裏方の仕事をしています。ジュードが殺されたことを知り、心を痛めていました。
建物の2階にいた支部長のセーガ。ヘビースモーカーのようで、トリは「煙臭いから2階に行きたくない」と言い、1階に残りました。セーガは忙しく、40時間ほど不眠不休で働いているとのこと。「ビーストの件についてはジョウムに報告してくれ」と言われます。
トリとともに行動していると、その頭上に吹き出しが現れることがあります。その時にRBを長押しすることで、トリに話し掛けられます。特性パラメータが変化する質問もあるので、こまめに話し掛けましょう。
シドのステータス画面。装備の変更ができます。「ポケット1～3」にはアイテムを配置でき、戦闘中に十字キーでクイック使用が可能。武器はメイン以外にサブ武器（RTで使用）も装備できます。サブ武器には遠距離攻撃用の銃や、設置型の爆弾などがあります。
広場へ向かうと、組員が何者かに斬り殺されていました。シドは「あいつがジュードを殺したくそ野郎だ」と言い、仇を討とうとします。しかし、相手が段違いの強さであることを感じ取りました。
突然、相手がトリに向かって斬撃を放ってきました。トリは時間を止めてかわしましたが、その後にシドが倒れてしまいました。相手は無駄な戦いを避けたいのか、去っていきました。
酒場の2階の部屋に運ばれたシド。何とか意識を取り戻しました。トリのレベルが上がり、スキルポイントが入ったので、ステータス画面からスキルツリー（画面下中央）をアンロックできます。それとトリの「お菓子」スロットに食べ物を装備させておくと、戦闘中に消費して様々なバフが得られます。
依頼を受けて下水道を探索。敵を倒し続けると「刻能」が貯まっていき、一定値になるとトリの時間停止能力をLBで発動させられます。時間停止中はトリを動かすことができ、Yボタンででダッシュ、Xボタンで攻撃可能。トリの攻撃は、相手のアーマーを無視して、直接HPにダメージが与えられます。
下水道の奥にいたボス敵の巨大ネズミ。HPもアーマーもやたらとありますし、周囲では子ネズミが無限湧きしてきます。果たしてシドとトリは勝つことができるのか、続きはぜひ自身の手でプレイしてみてください。
ADV要素の強いアクションRPG
本作はアクションRPGですが、会話時の選択肢が多く、その結果や特性ステータスによって選べる会話も変わってくるなど、ADV要素の強い内容になっています。マルチエンディング方式なので、シドにどのような運命を歩ませるのかを考えながらプレイすると良いでしょう。
それと本作は日本語サポートされていますが、キャラの一人称や名前・口調などが統一されていなかったり、機械翻訳のような文章もあったりと、きちんとした日本語でプレイしたい方には厳しいものがあるかもしれません（意味がまったくわからないというほどではありませんが）。この辺りはアップデートで改善されることを期待したいと思います。ゲーム自体はキャラも可愛く、とっつきやすい内容になっています（ダークな展開もありますが）。「気軽に遊べるADV的なRPG」をプレイしたい方は、本作を試してみるといいでしょう。
製品情報
開発・販売：FUTU Studio、Astrolabe Games
対象プラットフォーム：Windows/PS5/ニンテンドースイッチ
リリース日：Steam/PS5 2023年2月14日、ニンテンドースイッチ 2023年2月16日
サポート言語：日本語、中国語（簡体字・繁体字）、英語
通常価格：Steam 1,800円/PS5 2,530円/ニンテンドースイッチ 2,490円
ストアページ：Steam、PS5、ニンテンドースイッチ
