いよいよ事前登録が始まった、HoYoverseからリリース予定の新作RPG『崩壊:スターレイル』。『崩壊』シリーズファンも、『原神』ファンも注目している本作のファイナルベータテストがついに幕を開けました。
本記事ではベータテストを通して『崩壊:スターレイル』を遊んだ筆者からのインプレッションをお届け。世界観からバトルシステム、プレイフィールを紹介していきます。
「星穹列車」を取り巻く壮大な世界観と、王道で直球勝負なストーリー!
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本作のキーとなるのは「星穹列車」という星々を渡る列車。インパクトのあるキービジュアルを覚えている方も多いのではないでしょうか。しかし、そんな「空飛ぶ列車」がどのように物語を支えていくのでしょうか? まずは実際に遊びながら掴めた世界観とストーリーを、簡単に紹介していきましょう。
プレイしてすぐに分かるのが、「星穹列車」は主人公たちのホームと言える場所であり、あえて言うならば“重要な移動手段”であるということ。シンプルに述べれば、本作の物語は「星穹列車」に乗って世界に点在する「星核」がらみの事件を解決していくというものです。
『崩壊』シリーズ、『原神』を手掛けているHoYoverseは、「新世紀エヴァンゲリオン」ファンのメンバーが立ち上げたというmiHoYoが抱えるブランド。『崩壊:スターレイル』がどれほど影響を受けているかは未知数ですが、その設定やゲーム内用語は「エヴァ」さながらに複雑です。しかし一度走り出してしまえば、王道かつ直球勝負な展開であることが分かるでしょう。
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ゲームは「星穹列車」が停車している宇宙ステーション「ヘルタ」から始まります。本作はSF要素が強いと同時に、かなりファンタジー寄りな雰囲気。物語の中に現れる惑星は中世ヨーロッパを彷彿とさせるところもあり、本作は「ストレートなSF作品」というよりむしろ、宇宙を舞台とした冒険活劇という意味で「スペースオペラ」と認識すると分かりやすいでしょう。
先述したように、本作の設定は超濃厚です。調べれば調べるほど世界観を補完する大量の用語や文書、そして解き明かされていない謎が現れます。
一部抜粋するなら『崩壊:スターレイル』世界の上位存在「星神(アイオーン)」、「ヘルタ」で言及される“天才”と言われる超人たちの組織や、敵となる「反物質レギオン」などなど。そして主人公を目覚めさせた謎の人物「カフカ」「銀狼」など、序盤では明かされない謎や設定が盛りだくさんでした。
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主人公たちが一番初めに到着する惑星「ベロブルグ」は『崩壊:スターレイル』世界の上位存在「星神(アイオーン)」と「星核」によって深刻な問題が進行中でした。「星穹列車」の面々は「星核」の影響を取り除くため、この「ベロブルグ」を奔走することになります。
この「星核」「星神」は膨大な設定の中でも特に重要なキーワードです。作品全体が大きな謎に満ちていますが、筆者の感覚ではまずはこの2つのキーワードを押さえておけば、ざっくりと序盤の展開を理解できると感じられました。
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本作は『崩壊』シリーズだけあって、見慣れた名前のキャラも多く登場。「星穹列車」の主は「姫子」ですし、「ベロブルグ」では「ブローニャ」「ゼーレ」らも現れます。
これらの人物たちは、現時点で『崩壊学園』『崩壊3rd』などと直接的な関わりは示唆されておらず、別人と考えたほうが良さそうです。しかし本作で語られるのは、数多の世界を股にかける冒険譚。もしかすると、スターシステム(関連作のキャラクターを、姿・名前だけ登場させるもの)ではなく、どこかで繋がってくるのではないかと期待させてくれますね。
やっぱり主人公は変人……? やたら熱量のあるゴミ箱テキストも追いかけずにはいられない
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そして忘れてはならないのが、ゲームプレイを牽引するディティールの数々。サブクエストや主人公・仲間たちの掛け合いが面白く、作中世界に関心を持たせてくれます。
主人公は基本的に喋らないのですが、選択肢には決まってふざけたものが用意されているのもツボ。かなり個性の強いキャラクターです。選択肢で遊びまくるというのはHoYoverseらしさを強く感じてしまいますね。
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そんな小ネタの数々はディティールとして間違いなく本作を輝かせていますが……中でも特筆に値するのは「ゴミ箱」です。
数あるゲームでも定番なネタ「ゴミ箱をあさる行為」ですが、本作ではゴミ箱を調べれば調べるほど、別テキストが出現。「複数のテキストが用意されたゴミ箱」がひとつ置かれているだけならともかく、とてもじゃないけど追い切れない量の“ユニークゴミ箱”がプレイヤーの興味を惹き続けるのです。
ゴミ箱から現れるテキストはメタな文章や哲学的な問いなど、やけにバリエーションが豊か。社内で「ゴミ箱テキスト文学賞」でも開催されているのかと思うレベルです。「ゴミ箱」の異常な存在感に気付いてしまったプレイヤーの多くは、きっとその後も「ゴミ箱文学」に執着してしまうことでしょう。
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爽快感あるバトルシステム
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気になるバトルシステムでは、『ペルソナ』などを思わせるシンボルエンカウントのコマンド式を採用。やはりHoYoverseと言えば『原神』や『崩壊3rd』のイメージから「アクション」が連想されがちですが、『崩壊:スターレイル』では正統派コマンドバトルを打ち出してきました。
筆者が感じた印象を直球で示すと、「『原神』で培ったノウハウをコマンドバトルに落とし込み、別ベクトルで強化してきた!」といったところ。キャラクター強化要素など様々な面で『原神』と共通している点が多く、同作を遊んでいた方なら親しみやすいシステムです。
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本作に登場する「属性」は多岐に渡り、虚数・量子・雷・炎・風・氷・物理の7種が存在します。これらを上手くいかして敵の弱点属性を攻撃すればシールドが割れ、HPに大きなダメージを与えられます(シールド無視のゴリ押しも可能)。しかし、編成できるパーティメンバーは4人。当然ながら数が足りません。
シンボルエンカウントゆえ、弱点属性を突ける仲間がいなかったら、万全の布陣を整えていても一転窮地に追い込まれます。初見殺し感もありますが、敵の弱点が分かっている二度目のチャレンジはぐっと容易になるのも良い点です。『原神』などと同様に「強キャラだけでプレイし続けること」が出来ない要素が、シンプルなコマンド戦闘に緊張感を与えています。
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そして、属性だけでなく味方の戦闘スタイルもこれまた膨大! 属性同様、7タイプの「運命」という種別が存在します。主人公が持つバランスの良い「壊滅」スタイルから単体攻撃に特化した「巡狩」、バフの「調和」、回復の「豊穣」、守りの「存護」などなど……あらためて、パーティメンバーは4人ですので、やはり数が足りません!
バランスと汎用性重視で「アタッカー・ヒーラー・タンク・バフ」で埋めたとしても、それから先の考えがなければむしろ弱くなってしまうのが面白いところ。各キャラは「仲間との相乗効果で真価を発揮するタイプ」が非常に多く、特性にあった編成を意識する必要があるでしょう。
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例を挙げると、「三月なのか」の天賦はバリアを持つ味方が攻撃された際、カウンター攻撃を仕掛けるというものです。
自ら味方にバリアを付与することも可能で、それだけでも優秀な守りとはなるのですが、星魂(同キャラを複数入手した際に開放できる要素)で4段階目まで解放すると「戦闘開始時、HPの低い味方にバリア付与」という性能が追加。さらに組み合わせ次第で、敵からの全攻撃にカウンターを発動できるポテンシャルを秘めています。
「高レアでゴリ押し!」が通用しないのは『原神』同様ですが、本作はコマンドバトルRPG。プレイヤーがアクションでどうにかできる要素がない分、『崩壊:スターレイル』では“最適解”がダイレクトに結果に繋がります。自分で組み立てた戦法が上手くハマっていく快感はたまらないですね。
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“優等生なゲーム”に留まらない粋な演出。「好き」を詰め込む意欲に ありがとう と言いたい
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ここからは執筆者を変え、本記事の編集担当からお送りします。記事冒頭で述べたように、HoYoverseをブランドとして抱える中国・上海のゲーム開発企業「miHoYo」には「新世紀エヴァンゲリオン」の大ファンのメンバーが在籍しています。かつて『崩壊3rd』では「エヴァ」コラボが実施されたこともありますし、TV版エンディングでも知られるジャズスタンダードをもじった『fly me 2 the moon』なる作品も過去に制作していました。
そして『崩壊3rd』も『原神』も、プレイヤーを圧倒する世界観設定の量が特徴的な作品です。筆者はそんな設定の複雑さからも「エヴァ」らしさを感じていて、まさに“チルドレン”な印象を受けていました。
『崩壊:スターレイル』でも「エヴァ」らしさを感じられるかどうか。miHoYo/Hoyoverse作品ファンでありつつ「エヴァ」も大好きな私の身勝手な期待に、本作は冒頭から応えてくれました。
『崩壊3rd』『原神』という人気作品に続く新作にもかかわらず“壮大な雰囲気のオリジナル楽曲”ではなく“パッヘルベルのカノン”をもって開発者の愛情をオープニングからぶちかましてくる演出には、いちゲーマーとして大変痺れます。どれだけビッグタイトルであろうと「やりたいこと」を盛り込んでいくmiHoYo/HoYoverseの姿勢には、芯の通った強い信念を感じました。物語や作品展開が進むにつれて広がるであろう『崩壊:スターレイル』のこれからには、大いに期待できます。
幻想的なSF冒険譚を楽しめる新作RPG『崩壊:スターレイル』は、事前登録を受け付け中。iOS/Android/PC(Epic Games Store)向けにリリース予定です。