3月9日にBeep Japanより発売されたPoppy WorksとFroach Club開発のアドベンチャーRPG『メロンジャーニー:ビタースイート・メモリー』ニンテンドースイッチ版のプレイレポをお届けします。
本作はうさ耳の主人公ハニーデューが友人のカンタロープと会うために、彼のスーツケースを持ってメロンが違法となっている町ホッグタウンへ向かうも、スーツケースが奪われたことを切っ掛けに、裏に潜む陰謀などが明らかになっていくというストーリー。ゲームボーイ風の緑色ドット絵を基本としたグラフィックを持ち、人型のキャラだけでなく猫や犬、ハムスターなど様々な動物たちと交流しながら物語が進んでいきます。
90年代のゲームを意識したような構成
本作はアドベンチャーRPGであり、プレイヤーはハニーデューを操作し、戦闘が無い2DRPGのように人々と会話や行動をすることでストーリーが進みます。会話の相手は蛇や猫など動物でありメルヘンチックな雰囲気を味わえることや、ハニーデューが物を調べた時に語るコメントも面白いためゲームプレイを楽しい物にしてくれます。
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本作はカンタロープに関わるメインクエストとホッグタウンなどに関わるサブクエストの2軸で構成されており、サブクエストを進めることでより町の内面がわかる構造となっています。特に、町で悪巧みを働くキャビティ団はホッグタウンが様々な問題を抱えていることを雄弁に語っており、個性的な面々との交流がシナリオを豊かにしてくれました。
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メインクエストにおいてハニーデューは、自身が置かれた状況や行動に対して何らかのリアクションをすることから、何も喋らない主人公ではありません。しかし、メインとサイドにおけるリアクションの有り無しに差が多く、喋らない主人公のような側面も強く感じてしまいます。
一方で、ゲームプレイの途中で入手する写真やセーブアイコンでハニーデューの姿を見ると、ユーモラスで可愛らしい一面を覗かせてくれるのがプレイヤーの心を癒やしてくれます。
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今回長時間ゲームプレイを行った上で思ったのは、会話における主人公の発言や内面描写がアドベンチャーゲームとして比較的に少なく、まるでウォーキングシミュレーターを遊んでいるような感覚に襲われたことでした。
他にもプレイヤーが取れる動作は、上下左右の方向キーの他に決定とキャンセルの2種類しかボタンがないことも含め、90年代のゲームを意識した作り(特にゲームボーイ)であることを強く感じます。またローカライズの品質は高く、ユーモア溢れる会話やテキストは本来の雰囲気を損なわずに翻訳されています。
ACTII終盤から本格的に動き出す物語
物語が本格的に動いたと感じたはACTII終盤からでした。ここでは、探していたカンタロープを山小屋で見つけ、事の真相を聞こうとするとカンタロープの様子がおかしく、結果的にハニーデューが殺されかけてしまう事にまで発展してしまいます。
しかし、カンタロープがおかしくなったのは、あのメロンが鍵となっており、カンタロープがその内実を探っていたという場面を精神世界から醒める段階で目撃します。そこからはハニーデュー達の目的がはっきりと明示され物語として緊張感に満ちるため、続きのゲームプレイを引っ張ってくれるのです。
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ACTIをプレイした段階では、ハニーデューの物語がほとんど進行しないことに焦りも感じましたが、ACTII終盤からは目的が明確になるために進めるのが面白く楽しみながらストーリーを追えました。何となくゲームが合わないと感じるプレイヤーもACTII終盤までは踏ん張って欲しいと思える内容です。
また物語を進めて特に思ったのは、キュートなドット絵風グラフィックやユーモアを含んだテキストと裏腹に「真面目な問題を扱っている」ということでした。例えば、警察の汚職に関することや近隣住民とのトラブル、禁止物所持で逮捕されたことによる家族仲の亀裂、誘拐まで実行する地下組織、企業の倫理的問題などなど…。グラフィックに似つかわないシリアスさを感じさせつつも、どこかで真面目に取り組めてしまうのに関心させられます。
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以上が本作のプレイレポになります。プレイヤーが次に行うべき目標リストがないこと、シークエンスを繋ぐ説明が不足していること、ハニーデューの会話や内面描写が少ないことなど、細かな不満点はどうしても出てしまいますが、リッチなドット絵のアニメーションや魅力的な音楽も含め、遊んで損はないタイトルであると思いました。
『メロンジャーニー:ビタースイート・メモリー』は、国内でPS5/PS4/ニンテンドースイッチ向けに発売中。価格はパッケージ版が3,828円(税込)、PS4/PS5向けダウンロード版が2,970円(税込)、ニンテンドースイッチ向けダウンロード版が2,980円(税込)です。PC(Steam)版は4月7日に発売予定です。