かつてネットミーム的に知られたゲーム講評会「クソゲーオブザイヤー」(以下「KOTY」)が2022年度をもって活動休止となるようです。
2022年度は選評1、大賞無しという寂しい結果に
KOTYは年内に発売されたゲームソフトから、最も「クソゲー」と呼ぶに相応しい作品を決める催しで、「買ったゲームがクソゲーだった悲しみをネタに昇華する」という理念のもと2004年より開催。以来毎年2ちゃんねる(現「5ちゃんねる」)のスレッドにて参加者が議論を重ね、選考が行われていました。
活動休止の告知があったのはKOTYwikiに作成されたKOTY2023用ページ内で、終了では無いものの、選考条件をクリアした「超絶クソゲー」が世に生まれない限りは再開は難しいとしています。また、2024年1月末までに候補作が現れない場合には2023年ページも削除されるとのことです。
こうした状況の背景には「アセットフリップ」と呼ばれるアセット多用の量産ゲームの氾濫や、それらを評価することを嫌い(実際にはアセットの多用 = 低品質なタイトルというわけではありません)選考対象となる作品のレーティング機関を指定したなど選考基準の厳格化が大きな要因の一つとなっていたようです。結果として、日本においても多様なレーティング上でダウンロード販売がなされるのが一般的となった状況に合わなくなっていきました。
それら扱えるタイトルの減少、オンラインアップデートや開発技術の発達により「尖ったクソゲー」が最早産まれなくなったことなどを理由とし、実際に2022年度は選評1、大賞無しという寂しい結果となっています。
また、スレッドへの選評を参加者が評価するというスタイルにおいて、新規選評者が増えないという時流との乖離を指摘する意見も。ある種のゲーマーの「高齢化問題」とも言えるかもしれません。もちろん一般的な5chのスレッド自体が他SNSや映像配信サイトにすっかりその機能を取って代わられてしまったという状況もあるでしょう。
SNSではコミュニティの栄枯盛衰を懐かしみ、KOTYの幕引きを惜しむ声で溢れています。
一時代を築いたネットミームも流れる時代に乗り切れず
古くからのゲーマーなら一度は耳にするネットミームともいえる存在として一時代を築きながらも、流れる時代に乗り切れず一度幕を下ろすこととなったKOTY。このままネットの「歴史」の一部へとその姿を変えたり、まるで地域伝承のように実態を失ったまま恐れられたりすることになるのでしょうか。