覚えているだろうか。かつてこの地に「ぷよまん」なる菓子が存在したことを…と、広島県民の伝説として語り継がれてきた幻の銘菓、それが名作落ちものパズル『ぷよぷよ』から生まれた「魔導銘菓ぷよまん」です。『ぷよぷよ』グッズを置く「元祖ぷよまん本舗」で直販され、東京にも出店するほどの人気を博しましたが、なんやかんやありまして、ぷよまんは惜しくも2002年に姿を消してしまいました。
コンパイルの経営破綻後に『ぷよぷよ』の権利はSEGA、その他の諸権利はアイキ、D4エンタープライズに渡り、キャラクターと菓子の権利が分断されるという事態に。一度行方不明になった金型は2006年に発見されていたものの、諸事情により復活はなりませんでした。以降、SEGAからぷよまんをイメージした商品が作られたこともあったものの、「ぷよまん」そのものは長らく日の目を見ることができませんでした。
それから時は流れて2021年、新たに発見された木型から改めて金型を作成し、地元の老舗和菓子店、平安堂梅坪がSEGAよりキャラクターライセンスを受けて当時のレシピを再現、「ぷよぷよまんじゅう」の名称でめでたく販売にこぎ着けました。「ぷよまん」の名称ではないものの、満を持して復活というニュースが全国のファンを歓喜させたのは皆様も知る通り。
以下、本記事では面倒なので省略して「ぷよ(ぷよ)まん(じゅう)」と記述します。
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土産は先に買うべし!ぷよぷよまんじゅうを置いている場所
と、いうわけで…いざ実物入手に出発!平安堂梅坪の店舗が集中する広島市内にやって参りました。現在中心部にある店舗は原爆ドームに近い紙屋町のそごう広島店、本通アーケードの端から近い福屋八丁堀本店、そこから市電に乗って広島駅近辺の広島駅ビル ekie店、福屋広島駅前店の4店です(本通店は昨年に閉店)。
売り出し日の4月29日は開店と同時に即完売で、その後も午前11時には売り切れという状態が続いています。そんな中、広島駅ビルekie店では比較的在庫が多くあるらしく、昼過ぎまで残っているとの情報が。中心部2店舗で買い損ねたので、少々足を伸ばして行ってみると…
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遂にぷよまんを発見!ディスプレイの裏に積み重ねてありました(店員さんありがとうございました)。値段は4個入りで1,001円。入荷日が数日おきの店舗もあるので、毎朝必ずあるとは限らないとのこと。お買い求めの際は当日朝の状況をTwitterなどで調べることをお勧めします。
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本通の元祖ぷよまん本舗跡地は改装済みですが、枠のような部分に名残を見ることができます。何の因果かすぐ隣には元SEGA系列のゲームセンターGiGOが。
パッケージと中身―同社もみじ饅頭とはひと味違う
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パッケージ全体像。現在のキャラクターデザインを元にぷよが積まれていて、上部に大きく「ぷよぷよまんじゅう」のロゴ。裏面には「協力:ぷよぷよを通じて広島を盛り上げるプロジェクト」と書かれています。
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パッケージを開けると、4個入りでそれぞれ違う表情のぷよが並んでいます。比較用に同社のもみじ饅頭を並べましたが、おおよそ同じくらいでしょうか。輪郭で少しぷよまんが大きく見えますね。
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断面で見ると、皮ととこしあんがそれぞれ違うのが分かりますね。あんはぷよまんの方が色が濃く、こし方も目が細かいようです。
梅坪のもみじ饅頭はベビーカステラのような弾力のある皮に、あんは甘さやや控えめで小豆の風味が感じられ、抹茶ともよく合います。
ぷよまんの方は指でつまんでみると「ずっしり」と重く、こしあんと皮の密度が明らかに違います。ぷよの形だけでなく重みを感じられるのが面白いです。ぷよのサイド部分が分厚く歯応えがあり、しっとりほろほろでケーキのような食感。きめの細かいあんはもみじと同様に甘さは抑えめです。割と生地の主張が強いので、洋菓子のようでもありコーヒーや紅茶とも相性が良いですね。
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今回はスタンダードに一連鎖、つまり普通に食べて無事全消し完了です。古の文書によると最大七連鎖まであるとか。しばらくは争奪戦が続きそうですが、間もなく広島で開催されるG7サミット終了後にはオンライン販売が開始されるので、県外の方は今しばらくお待ちください。
広島の名店の下で再出発となった「ぷよぷよまんじゅう」。バリエーション展開も考えているとのことで、今度こそ長く続く「広島銘菓」となれるよう、県民としても是非ともご贔屓の程よろしくお願い致します。