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NY州立大学バッファロー校のAhreum Kangさんら4人の研究チームが、現実世界をMMORPGに置き換えることで「人間は世界の終わりにどのような行動を見せるのか?」という研究論文を発表しています。
研究チームの目的は「終末が近づくにつれ、人間は道徳観念を捨て去るのか?」という古くからの疑問の答えを探るものであり、実験の場に選んだのはMMORPG『ArcheAge』のベータテストでした。プレイヤーたちは、11週間が経過した時点でサーバーが削除され、すべての進行状況とキャラクターが失われることを知らされます。
調査対象はレベルアップやクエストログなど、ゲーム内でのプレイヤーの行動に関する2億7千万件以上の記録で、世界の終わりを知らされたプレイヤーの行動がどう変化するかを分析しています。
世界の終わりは驚くほど穏やかだった
その結果、PKといった反社会的行為に走るプレイヤーはごく少数であり、世界は“驚くほど平和だった”とのこと。また、研究チームは神学者マルティン・ルターの名言「たとえ明日、世界が滅亡しようとも今日私はリンゴの木を植える」という言葉のような行動が終末世界の人々に見られるか?という点について、「実際にはプレイヤーはキャラクター育成を放棄し、クエスト進行やレベルアップの数値は大幅に低下しました」としています。
終末の時が近づくにつれチャット欄の空気は「幸せな感情」に向かう傾向があり「世界の終わりはかなり平和で、時には肯定的でさえあり、終盤には「順社会的」な行動が出現する」と研究論文には記されています。
あくまでMMORPGの世界の話であり、現実の世界の終わりに何が起きるかは誰にもわかりませんが…。