不要になったハードドライブの処分にはゲーマーであってもなくても頭を悩まされるものです。一般消費者の間でもデータの流出を嫌って穴をあける処分方法が周知されている他、データセンターなどの企業で利用されている物はシュレッダーにかけられる場合も多いようです。そんな中、海外ゲームニュースメディアPCGamerによる記事ではその処分方法への注意点が示されています。曰く、たった3mmの破片からでもデータが読み取れるのだとか。
たった3ミリの破片からデータ流出の危機!?
記事によると、最新のハードドライブは1平方インチ(約6.5平方cm)当たり50万トラックのデータが含まれ、高度なデータ復旧技術を持つ人の手にかかればたった3mmの破片からでも情報を取り出すことが可能だそうです。にもかかわらず世界中で何百万台ものハードドライブがシュレッダー処分されているといいます。
イギリスの代表的なニュースメディアBBCによる、ストレージ再利用促進企業Circular Drive Initiative(CDI)財務担当Jonmichael Hands氏へのインタビューでは、IT資産処分会社へ安全なデータ消去を伴うハードドライブの再利用を提案したところ、「古いドライブはシュレッダー処理しなければならない。顧客はそんなことはさせてくれない。」と回答を受けたことが明かされています。彼らはゼロリスクポリシーの下この方法を取っているといいますが、前述の通り実際にはリスクを完全に排除できる方法ではありません。
最新の安全なストレージ廃棄方法とは
記事では工業における様々な基準を定めるIEEE Standards Associationで承認された、データの3つの処分方法についても触れられています。それらはそれぞれ、データの削除を行うだけの最も手軽な方法ながら復元が可能なため安全性が低い「クリア」、最も確実な一方その素材すら再資源化できない焼却、溶解を伴う完全なドライブの破壊、そしてデータの破壊を伴う消去を行う「パージ」と呼ばれ、CDIはこの「パージ」の普及によりドライブの再利用を推進しようとしています。
パージには容量全てのデータを上書きする方法と暗号化によるものの2種類があり、前者は容量次第で2日近い時間がかかる場合もありますが、後者であれば数秒で済み、暗号化キーを削除するだけで誰にもその内部のデータは読めなくなります。これらの方法の下でデータ消去を行えば安全な再販が可能ですが、実際にはその普及はまだまだ小規模にとどまるようです。Hands氏によれば、一顧客のために500万台のドライブをシュレッダーにかけているという企業もあるといいます。
環境にも配慮する「パージ」の普及は急務か
たった3mmの破片から情報が抜き取られてしまうとなっては、ただ穴をあけるだけでは無意味にすら思えてしまう今日のストレージ廃棄事情。HDDやSSDといったストレージパーツにも様々な希少金属が利用されていることも考慮すれば、安全で環境に優しい廃棄方法の普及は急務と言えそうです。