6月29日から7月13日午前10時まで開催中のSteamサマーセールでは、セガの人気タイトル『龍が如く』シリーズ1~6作目までが75%OFF、計4,511円で買える期間限定のバンドルが販売され、同じく『龍が如く7 光と闇の行方 インターナショナル』も75%¥1,647と非常に購入しやすい価格となっています。
現代日本の歓楽街を舞台に、極道を主人公とした大人に向けた設定や物語が魅力の本シリーズは、2023年11月に『龍が如く7 外伝 名を消した男』、2024年には『龍が如く8』といった新作のリリースを控えており、まさにいまこのタイミングでプレイするのに適したタイトルだといえます。『7外伝』と『8』では、6作目まで主人公を務めた桐生一馬が再び主人公として登場するため、これまでの彼の生き様を追うことで新作をより一層楽しめることでしょう。シリーズ未経験者はもちろん、かつてコンソール版を楽しんだプレイヤーも改めてプレイしてみるのも良いかもしれません。本稿では、シリーズをひと通りクリアしてきた筆者が、今回のセール対象となっているナンバリングタイトル各作品の特徴を紹介していきます。
『龍が如く 極』
『龍が如く 極』は「堂島の龍」と呼ばれた伝説の元極道・桐生一馬が初めて登場した『龍が如く』のフルリメイク作品。
組長を殺害した親友の罪を被り、「親殺し」の汚名を引き受けた桐生一馬。彼は刑務所に服役する最中、自身の所属する団体・東城会から破門を言い渡されます。それから10年後、刑期を終えた桐生は古巣である神室町で100億の価値を持つといわれる少女・遥と出会います。彼女を巡って繰り広げられる極道の熾烈な抗争、そして桐生がかつて親殺しの罪を被った旧友・錦山彰の変貌とその陰謀……組織と人々の間に渦巻く様々な思惑が桐生たちに襲い掛かります。
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本作の舞台となる歓楽街・神室町は新宿・歌舞伎町をモチーフとしたリアルな造形がプレイヤーに非常に大きな存在感を残し、後のナンバリングシリーズでも毎作登場する本シリーズの代名詞となりました。俳優・渡哲也氏をはじめ、ゲームの出演者としては異例のキャスティングも大きな話題を呼んだほか、ゲーム中に登場するアイテムや施設には実在のものが使用されており、その当時の日本のトレンドを感じさせるフィクションと現実を織り交ぜた手法が特長となっています。また神室町にはキャバクラやゲームセンターといった数々のプレイスポットが充実。シリアスなストーリーの合間に歓楽街を思い切り楽しめるエンターテイメント性の高さも魅力のひとつです。
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これらの要素はすべて後のシリーズにも引き継がれており、『龍が如く』らしさはこの時点で完成されています。桐生一馬という男と神室町を最もよく表す『龍が如く』の原点をいま一度プレイしてみてはいかがでしょうか。
『龍が如く 極2』
『龍が如く 極2』はシリーズ2作目『龍が如く2』のフルリメイク作品です。前作から1年後、桐生は遥とともに暮らしていましたが、弱体化した東城会の隙をつき、関西の極道組織・近江連合が関東進出を狙っていることを知らされます。両団体の抗争を止めるべく、敵地である大阪に足を踏み入れた桐生は、そこで「関西の龍」と呼ばれる極道・郷田龍司と相まみえることになります。
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今作では神室町に加え、大阪・蒼天堀が新たな舞台として登場。プレイスポットもさらに充実をみせており、ゲームセンターでは『バーチャファイター2』や『電脳戦機バーチャロン』といった往年のセガのアーケードゲームを遊ぶことができるようになりました。ナンバリング6作目の後にリリースされた本作は、最新作でも開発に使用されているゲームエンジン「ドラゴンエンジン」を使ってリメイクが行われており、原作である『龍が如く2』から大幅に遊びやすくなっています。また、シリーズの名物キャラクターである嶋野の狂犬・真島吾朗を主役に据えたシナリオが追加され、前作から本作にかけての彼のエピソードが描かれます。
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大阪府警の警察官・狭山薫とのロマンスや、もう一人の龍である郷田龍司との激突など、桐生と対置されるキャラクターとの関係を通じて、1作目では知りえなかった桐生の新たな一面が描かれています。特に郷田龍司は多くのファンから桐生のライバルとして認知されており、その後も数多くのスピンオフ作品で登場するなど確固たる地位を築いています。
『龍が如く0 誓いの場所』
『龍が如く』からさかのぼること17年。『龍が如く0 誓いの場所』はバブル景気に沸く1988年の神室町と蒼天堀を舞台に、桐生一馬と真島吾朗のふたりを主人公に据えた、彼らの伝説の始まりを描いた作品です。神室町の再開発に端を発した「カラの一坪」と呼ばれる権利者不明の土地を巡る抗争に、東城会堂島組の構成員である桐生と、東城会から追放されキャバレーの支配人として雌伏の日々を過ごす真島が巻き込まれていきます。
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戦闘では「ベース」「スピード」「パワー」の三種類から戦闘スタイルを切り替えることができ、状況に応じてスタイルを変えることでバトルを優位に進めていくことができます。シリーズで最も古い時代を扱っていることもあり、初代『龍が如く』に登場したキャラクターの若かりし頃が見られるのも魅力のひとつです。本作のストーリーはシリーズ内でも高く評価されており、メインキャラクターが『極2』に登場するなど後の作品にも影響を与えています。そのため、本作からプレイを開始して、『極』や『極2』をプレイするのも面白いかもしれません。
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ギラギラとしたネオンサインが輝く街並みやバトルの度に舞い散る紙幣など、昭和末期の熱気がデフォルメされた本作の表現は、さながら異世界と化した日本に入り込んだかのような唯一無二のものとなっています。
『龍が如く3』
『龍が如く3』は初めてPlayStation3向けにリリースされたナンバリングタイトルです。なおSteamで販売されている本作から5作目までのタイトルは、元となるPS3版にHDリマスターを施したバージョンとなっています。前作『2』のストーリーの後、遥とともに沖縄に移住した桐生は「アサガオ」という児童養護施設を営み、子どもたちと暮らしていました。しかしそんな穏やかな生活は、施設の土地買収という新たな火種によって脅かされることになります。自分と子どもたちの生活を守るべく土地買収を阻止しようとした桐生は、やがて国家を揺るがすほどの陰謀に巻き込まれていきます。
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本作はPS3初のナンバリングタイトルということもあり、現代的なゲームほど操作体系は洗練されていないものの、シリーズで初めて自由な視点操作が可能となり、街を探索するという楽しみがより深まりました。シリーズでも沖縄が本格的な舞台となっているの本作のみで、那覇市の国際通りをモチーフにした琉球街は、内地にある街とはまた異なった文化を感じさせる独特の雰囲気を醸し出しています。プレイスポットでは釣りやゴルフといった観光地としての側面を感じさせるものが追加され、特にゴルフは一本のゲームとして本格的なものに仕上がっています。
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以前のシリーズであまり表現されてこなかった桐生の生活を描きつつ、そこにリゾート開発や米軍基地といった現実の沖縄に即したテーマを重ねた本作は、『龍が如く』シリーズのみならず日本国内のゲームとしても稀有な作品だと言えるでしょう。
『龍が如く4 伝説を継ぐもの』
ナンバリングタイトル4作目の『龍が如く4 伝説を継ぐもの』では、桐生を含め4人の主人公が登場し、それぞれの主人公で異なるゲーム体験と複数の視点から展開されるストーリーが味わえるようになっています。
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主人公は、神室町の街金融・秋山駿、極道18人殺しの脱獄囚・冴島大河、“神室町のダニ”と呼ばれる汚職刑事・谷村正義、そして桐生一馬。この出自も職業も異なる4名がひとつの街に集い、再び動乱を迎える神室町を守るべく奔走します。『2』以降は神室町以外にも新たな街が登場しゲームの舞台となってきましたが、本作は改めて神室町のみにフォーカスすることでひとつの街の様々な側面を見せています。ビルの屋上や地下街が新たに登場し、主人公によって入ることができる場所が変化するなど、既にシリーズの顔となっていた神室町の裏側を覗けるのが本作の特長です。
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戦闘スタイルも四者四様に変わり、スピードで翻弄する秋山、圧倒的な怪力の冴島、捕縛術に長けた谷村、オールマイティーな喧嘩殺法を用いる桐生…と章が変わるごとに新鮮な気持ちでプレイできるのも面白い点です。本作から、スピンオフ作品『龍が如く 見参!』で用いられていた俳優のフェイスキャプチャーをナンバリングタイトルとして初めて導入。現実とフィクションを織り交ぜる手法はより進歩を迎え、以後シリーズの恒例となっていきました。
『龍が如く5 夢、叶えし者』
『龍が如く5 夢、叶えし者』は福岡・名古屋・大阪・札幌・東京という5大都市を舞台とし、シリーズでも随一のスケールの大きさを持つ作品です。本作では前作の複数主人公という要素を推し進め、5人の主人公が登場します。前作からは秋山と冴島そして桐生が続投し、これまでシリーズのヒロイン的な存在であった遥、元プロ野球選手の性風俗ライター・品田辰雄が新たな主人公として操作可能となりました。
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本作のテーマは「夢」。芸能界でアイドルとして活動を始めた遥を中心に、過去に失った野球への夢を持つ品田、そして元極道という出自ゆえに子どもたちや遥から距離を取ることを決意した桐生の本当の願望、異なる地で始まったストーリーがやがてひとつの結末へと向かっていきます。
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本作では各地の主人公ごとに「アナザードラマ」と呼ばれる本編とは別のストーリーが存在し、冴島は雪山での狩猟(シューティング)、桐生はタクシードライバー業務(ドライブ&レース)、遥はアイドルとしての活動(リズムゲーム)といった、まったく異なるジャンルのゲームとストーリーを楽しむことができます。これまで逃れえぬ運命に立ち向かってきた桐生のどこかくたびれた姿や、バトルが発生しない遥編など、本作は物語とシステム両面でシリーズ中でも異彩を放つ作品と言えるでしょう。
『龍が如く6 命の詩。』
「桐生一馬伝説、最終章」と銘打たれた『龍が如く 命の詩。』は、広島・尾道仁涯町をメインの舞台に据え、これまでのシリーズにひとつの区切りをつけた作品です。前作の後、子どもたちのもとへ戻るための禊として刑務所に入った桐生は、3年の刑期を終えて養護施設に帰るも、遥は行方不明となっています。彼女の足取りを追った桐生は、神室町で遥が意識不明の重体となっていること、そして彼女の息子とされる赤ん坊・ハルトの存在を知り、深い動揺を憶えます。はたしてハルトは本当に遥の実の子なのか、なぜ遥はこのような状態になったのか。真相を追い求める桐生は、遥が滞在していたという尾道仁涯町に足を踏み入れます。
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ゲームコンソール上ではPS3世代からPS4世代に移行し、「ドラゴンエンジン」という新たなゲームエンジンを用いて開発された本作は、グラフィックやキャラクターの挙動が一新、バトルも完全シームレス化されたことでこれまでのシリーズよりもオープンワールドに近いゲームとなりました。
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本作は冒頭からの衝撃的な展開や、広島の極道である広瀬一家の総長・広瀬徹役にビートたけし氏を起用するといったサプライズなどが話題を呼びました。桐生の最終章を描いた本作のストーリーは、『龍が如く7 外伝 名を消した男』に連なる要素を多分に含んでいると思われるため、新作をプレイ予定であれば是非ともチェックしておきたいところです。
『龍が如く7 光と闇の行方』
新主人公を迎えた『龍が如く7 光と闇の行方』は、名実ともに新たな『龍が如く』の幕開けと呼べる作品です。主人公の交代だけでも大きなニュースでしたが、本作はこれまでのアクションアドベンチャーからRPGへとゲームジャンルを変更したことで、シリーズファンの度肝を抜きました。
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所属する極道組織・荒川組の存続のため、無実の身でありながら罪を被った春日一番は、18年間の刑務所生活を終え神室町に戻ってきます。しかし神室町は彼の知るものとは一変し、荒川組は東城会から近江連合に鞍替えしていました。かつての親分・荒川真澄に真意を問う春日でしたが、荒川に銃撃され気絶。目を覚ますと、そこは横浜・伊勢崎異人町のホームレス街。ここから何もかも失った「どん底の男」春日一番と仲間たちの冒険が幕を開けます。
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街中で敵とエンカウントするとシームレスに戦闘に移行し、コマンド選択式の「ライブコマンドRPGバトル」が発生します。戦闘では街にあるオブジェクトを戦闘に利用するなど、これまでの龍が如くらしさも備えつつ、ハローワークで転職することで使える技が変化するなど、既存のRPGの要素もうまく取り入れています。ストーリーやシステム上の意味でも「RPG」というテーマが強く意識されており、桐生とは異なる陽気な春日の性格やコミカルな描写、そして社会の暗部を描きつつも熱いストーリーは多くのファンから支持を受けました。
2024年発売予定の新作『龍が如く8』では春日一番と桐生一馬の両者が主人公となることが発表されており、こちらにも期待が掛かります。
なお、今回のセールではスピンオフ作品である『龍が如く 維新!極』』や、神室町を舞台に木村拓哉氏が主演を務めるリーガルサスペンスアクション『JUDGE EYES』シリーズもセール中です。こちらもあわせてチェックしてみてください。
※UPDATE(7/9):『龍が如く7外伝 名を消した男』のリリース日が誤っていたので修正いたしました(誤:9月→正:11月)。コメント欄でのご指摘大変ありがとうございます。