ハードコアなゲーマーの皆さん!ゲームを遊んでいる際、こんなことを思ったことはありませんか?「このアイテムよく見るけど、どんな味しているんだろ?」と。私はしょっちゅうあります。
そこで、本記事ではこの疑問を「解消」すべく、名前だけはよく聞くくせに実際の味はよくわからない筆頭である「例の食べ物」を購入&調理、その実態に迫るべく調理していこうと思います。
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お待たせしました。前々回にチラっと紹介したこちらの本『The Elder Scrollsオフィシャル・クックブック』を参考に『TES V: Skyrim』でおなじみ、スイートロールをはじめとした、あの世界で食べられている料理を作ってみよう!の企画です。
今回調理にチャレンジするメニューは、盗まれたかと聞かれるでおなじみのスイートロール。そして、スカイリム地方の海岸に生息する海獣「ホーカー」の肉で作る、ホーカーのローフです。
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ところで、今回使用するレシピ本は日本語に「翻訳」されたものです。スイートロールに必要な材料として予備発酵が必要な「アクティブドライイースト」や(日本のスーパーで売られているドライイーストはだいたい予備発酵が不要なタイプ)、普段まずスーパーでは見ることのない「中力粉」など、ある意味でレアな素材を要求され、少しだけ冒険感がありましたね。
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しかし、結局中力粉は見つけることはかなわず。日本だと「うどん粉」として売られてたりもするのですが、それも見つからずじまい。ネット通販では最低でも2kgから、など、今回のレシピではまず使い切れない量での購入しかできなかったため、やむなく薄力粉と強力粉を1対1で混ぜて代用しました。アクティブドライイーストも同様で、スーパーを5~6件回るも影も形もなかったため、やむなく普通に手に入る予備発酵不要タイプのドライイーストで代用。スイートロールの調理は製菓や製パンに近いので、代用品でレシピから離れてしまうとふっくら仕上がるか若干不安。ハードモードでのスタートとなりました。
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まずは温めた牛乳、溶かした無塩バター、はちみつを用意します。
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3つをよく混ぜ合わせたらドライイーストを投入。
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卵も入れて溶いたら、中力粉(代用)を少しづつ加えていきます。
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なめらかになるまで混ぜ合わせたらOK。
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そして、今回の調理にはある意味一番大事な「クグロフ型」を用意します。クリスマスシーズンだと店頭に置いてることも多いようですが、真逆の時期すぎるため、製菓材料や道具を扱っている富澤商店さんに注文して入手。クエスト進捗が1個進みました。
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生地を型に流し入れます。1個目はちょっぴりヘタですね。2個目で急成長を遂げたと考えましょう。180度に予熱したオーブンで15分ほど焼いていきます。ちゃんと膨らんでくれるといいのですが……。
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5分ほど経過した段階で確認。おお!膨らんでる!しかも思ってた以上に!
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15分経ってオーブンを開けてみると……しっかり焼けてる!
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奇跡の一発成功。レベルアップ時のスキルポイントを製菓の星座に注ぎ込んだかのようにキレイに仕上がりました。この連載を通して成長している……!
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続いては上にかかっている白いヤツ、フロスティングを作っていきます。粉砂糖にクリームチーズ、無塩バターを混ぜて固めのペーストを作ったのちに、少しずつ生クリームを加えていき、いい感じの「もたっ」とした状態にしていきます。
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「もたっ」感のあるフロスティングをかけてみると……すごい!スイートロールだ!!!みたことある!!!
今すぐスイートロールにかぶりつきたい欲を抑え、もう1品のホーカーのローフの調理に移りましょう。まずはレシピで要求されるスパイスの調合から始めます。
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すり鉢にドライディルウィード、マスタードパウダー、フェンネルシードを入れてすりつぶします。さらに「グレインズ・オブ・パラダイス」と呼ばれるスパイスも必要らしいのですが、そもそも初めて聞くスパイスすぎてどういったモノかすらわかりません。名前が大仰すぎて本気でゲーム内アイテムのことかと勘違いしてましたが、実在するそうです。レシピ本には「黒こしょうで代用できる」と書いてあったのでそちらに従います。
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黒こしょうを入れる前ですが、すりつぶし後。これで「ストームクロークのシーズニング」ができました。
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すりおろしたにんにく、あらみじんにしたニンジン、そしてこちらの燻製牡蠣の缶詰をまとめてフードプロセッサーに入れて細かくしていきます。
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こんな感じ、これはミートローフの混ぜものとして使うようです。細かくされた牡蠣の香りが一気に広がります。なんて食欲をそそられる香り……。
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大きなボウルに移して、ここでついにホーカーのひき肉を……用意したいのですが、スカイリム地方に住んでいない人も作れるように牛ひき肉を用意します。レシピには680gと書いてあるため、かなりの分量です、ソロでの挑戦はおすすめしません。パーティを組みましょう。
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先程作ったストームクロークのシーズニング、パン粉、卵、塩コショウをボウルに加え、とにかく混ぜ込みます。
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オーブンの天板にクッキングシートを敷いて、ラグビーボール状にタネを盛ります、こんもりと。てっぺんにはホーカーの特徴的な3本牙をにんにくで再現。
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ベーコンでタネとてっぺんのニンニクを覆い、焦げないようにしたら準備完了。220度に予熱したオーブンで40分ほどしっかり火を通します。
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加熱中の写真がこちら。すごい勢いでベーコンが焦げていく……ニンニクは無事でしょうか。そして脂の溶け出し具合がすごい。
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40分後、すごいことになったぞ……。
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周囲のコゲと脂を掃除しててっぺんのベーコンを剥がしてみると……ニンニク生還!
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ということで、2品完成しました!こちらが筆者がドヴァーキンとしてお出しできる限界のスカイリムおもてなし料理、スイートロールとホーカーのローフでございます。
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スイートロールは薄力粉で作るケーキと強力粉で作るパンのまさしく中間、もっちり、むっちりとした食感で、焼き立てはイーストの香りもあいまって最高。生地自体の甘さは控えめで、上にかけたフロスティングのほんのり感じられるクリームチーズの香りと甘さが際立ちます。スカイリム地方で盗まれるものとしてジョークになっているのも理解できる美味しさ。
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ホーカーのローフはお肉のガツンとした旨味にくわえ、ストームクロークのシーズニングの非常に爽やかな香りに包まれます。普段ミートローフを食べる際にはありえない、「かなり脂っこいモノを食べてるのに後味がさっぱり」という不思議な体験をしました。きっと、ホーカーの獣肉はかなり臭みが強いのでしょう、それをどうにか美味しく食べるために考えられたのかなと思うと、あの世界の調理人の努力が伺えます。
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この他にもオフィシャルクックブックには多数の料理のレシピが載っています。TESの世界観を味わう読み物としても、ちゃんとレシピ本としても使える楽しい1冊でした。ドヴァーキン諸兄にオススメです!
でも、ドリンクのページのハチミツ酒だけは(酒類製造免許が無いなら)作っちゃダメだぞ!アルコール度数が10%前後になって法律に触れるからね!ルールを守って楽しく調理!