非公式ゲームキューブ/Wiiエミュレーター「Dolphin Emulator」開発チームは、本エミュレーターのSteam配信を断念する方針をブログにて発表しました。
米任天堂はエミューレーターが“法的に問題あり”との見解
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本エミュレーターは2023年3月にSteamで配信することが告知されるも、任天堂がデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき、配信差し止めを要請したため同年5月に配信ページが削除されています。
その背景として、Steamを運営するValveが事前にニンテンドーオブアメリカとコンタクトを取った結果、ニンテンドーオブアメリカの弁護士は「Dolphin Emulator」がDMCAに違反する見解を提示。DMCA削除通知の手続きは行われていませんが、Valveはニンテンドーオブアメリカと本エミュレーター開発チーム間で紛争が解決するまで、配信を許可しない方針を示しました。
エミュレーターの設計・制作目的が鍵に
今回ブログでは、本件について“実際に何が起こったのか”という点に焦点を絞った説明がされており、削除までの経緯は概ね前述の通りである一方、Steamでの配信を断念する方針に加え、ニンテンドーオブアメリカの弁護士が主張したDMCAの抵触について、反論が展開されています。
ニンテンドーオブアメリカの弁護士はDMCA第1201条を根拠に、本エミュレーターがWiiやゲームキューブの暗号化を回避するための暗号鍵を組み込んでいるため、それを使用するというのは「不法に“著作権法で保護されている作品へのアクセスを効果的に制御する技術的手段を回避する”ことになる」と主張していました。
しかし開発チームは本エミュレーターが「プロテクトの回避を目的に設計・制作されたものではない」ほか、「Wiiソフトウェアとの相互運用性(互換性)のために暗号化を回避」しているため、第1201条に記述される条項適用の免除対象になるといい、“「Dolphin」が法的な危険に晒されているとは考えていない”と結論付けました。
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