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今回はHumble GamesおよびSummerfall Studiosより、PC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチにて配信を開始した、ミュージカルとアドベンチャーゲームを融合した『Stray Gods: The Roleplaying Musical』のプレイレポをお届けします。
『Stray Gods: The Roleplaying Musical』とは
本作は、演劇とゲームが融合した新感覚の殺人ミステリー・ビジュアルノベルミュージカルです。サブタイトルの「ロールプレイング・ミュージカル」の通り、プレイヤーは主人公グレースのロールプレイング=役を演じてミュージカル『Stray Gods』の演出に変化をもたらすことが可能です。
ギリシャの神々が隠れ住む現代の世界を舞台に、思いがけず女神ミューズとなったグレース。詩や音楽の神とされるミューズの特性を活かして、歌と音楽で相手の感情を揺さぶり本音を歌わせて物語の真相に迫っていきます。なお、日本語にも対応していますが、解説モードに関しては言語設定を英語にした場合のみ有効となります。
『Stray Gods: The Roleplaying Musical』の実内容に迫る!
本作は、現代とファンタジーを融合させた、ギリシャ神話の神々が都会に隠れ住む世界が舞台。ゲームプレイは、ビジュアルノベルの会話パートがほとんどを占めており、全編フルボイスで展開されます。第一幕、大学を中退した主人公グレースは、親友フレディのバンドに誘われ、コミュニティーセンターでバンドのオーディションを開催し終えた場面から物語がはじまります。
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自分の居場所、目標が見つけられず人生の迷子になっている悩める主人公グレース。オーディション志願者達のパフォーマンスが終わり、フレディに後で帰ると伝え、ひとりコミュニティーセンターで考えにふけることに。
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いつの間にか自分の気持ちを歌っていると、歌に誘われて突然カリオペと名乗る女性が現れます。オーディション志願者が遅れて来たのかと思い、オーディションを受けるか尋ねると、彼女は楽器もなしにメロディーと共に歌い始めます。グレースはその歌に引き込まれ、自らの本音が歌として声に出ていることに驚きを隠せません。
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戸惑いつつも彼女に合格を伝えて自宅に戻ったグレースでしたが、カリオペが血まみれの姿で再び現れ、衝撃的な死と共にカリオペの体から眩い光を放つ魂の様なものが出現。グレースの胸に飛び込み一体化し、体が一瞬輝きを放ちます。
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カリオペは、ギリシャ神話の女神ミューズの最後のひとり。神々は死ぬと自分の魂を性質の近い者に渡して何千年もの間存在してきたのです。そのため、グレースはカリオペの力を受け継ぎ、意図せずして新たな女神ミューズになってしまいます。
しかしその直後に、ヘルメスによってオリンポスへ召喚され、コーラスと呼ばれるギリシャの神々アテナ、アフロディーテ、アポロ、ペルセポネによって裁判にかけられることに。そして、グレースがカリオペを殺害したと冤罪にされてしまいます。死刑を言い渡されますが、グレースは無実を証明するために1週間の猶予を与えられ、親友のフレディの助けを借りて真相に迫っていきます。
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本作のタイトル『Stray Gods』という名の通り、これまでも映画やゲームでギリシャ神話の神々は自由奔放な人間味のある描かれ方をされてきました。本作も同様ではあるものの、何かしらの悩みを抱え、正に「迷子の神々」となっています。
現代世界で自分たちの居場所を見つけようと苦悩を抱えており、その原因は何千年もの歳月で起きる悲しみを伴う出来事などの蓄積に耐えられなくなる者、神の掟を現代においても維持させなければともがく者など様々です。そこへ現れた新生ミューズのグレースが、過去に縛られ続けている彼らにミューズの力で新風を巻き起こしていきます。
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相手の本音を引き出すライブ感ありのミュージカルパート
本作の真髄は何といっても、相手から本音を引き出すミュージカルパート。カリオペから、詩や音楽の女神ミューズの力を受け継いだグレース。その力の前では、誰もが歌と音楽で感情を揺さぶられ、本音をミュージカルに乗せて思わず歌ってしまいます。それぞれのキャラクターに合ったジャンルの歌で心情を言葉にする様は正にミュージカル。歌手のパワーを感じずにはいられません。
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また、グレース自身にも特性があり、「魅惑的」「クール」「賢い」の3つの中から選択します。選択した特性によって、会話で特性に基づいた内容が選択可能になります。
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ミュージカルパートも同様に3つの特性に応じた、音楽のジャンルを変化させることが可能です。また、ミュージカルパートでは選んだ特性に関わらず、どれでも選択可能な点がプレイヤーに自由度を与えてくれる上、どれも選択せずに相手の言い分を聴くことも可能となっている点も面白い点です。
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ミュージカルパートの選択はリアルタイムとなっており、プレイヤーはどの特性で歌いかけるかを選択していきます。
特性の「魅惑的」は、思いやりと正義感に溢れるメロディアスな曲調に。「クール」では、無謀で挑戦的なパンクロック調。「賢い」は、思慮深く問題を解明しようと問いかけるジャズスタイルに。選択した特性により、曲のジャンルが変化し、演出とストーリーが変化していくライブ感が味わえるのが本作の魅力です。プレイヤーの選択によりスムーズに又は劇的に変化していくにも関わらず、破綻なく進むのが観ていて飽きさせません。
なお、リアルタイムでの選択が苦手な場合は、オプションから時限設定をオフにもできますが、選択に迷っていると曲が止まってしまうので臨場感は大幅に削がれてしまいます。
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実力者揃いの開発メンバー
本作は、元Dragon Ageヘッド ライターである David Gaider氏が脚本兼監督を行い、グラミー賞にノミネートされた作曲家であるAustin Wintory氏(『風ノ旅ビト』や『Abzu』など)が音楽を担当。ミュージシャンのScott Edgar氏、Steven Gates氏、Simon Hall氏(Tripod)、Jess Cerro氏(Montaigne)が歌のコンテンツに携わっています。ミュージカルの声優も実力者揃いとなっており、『The Last of Us』、舞台や映画俳優が参加しています。
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本作の物語は3幕構成となっており、ミュージカルでは通常2幕構成に対して1幕多くなっています。この点に関しては映画的なストーリー構成で物語全体を「発端」「対立」「解決」の3つに分けて進行する方式がとられており、約7時間のゲームプレイを飽きさせない作りになっています。
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また、マップ選択画面では各キャラクターの解説が随時追加されていくため、さながらミュージカルのパンフレット読んでいる気分になり、グレースがどの様にそれぞれのキャラクターを見ているのか知ることができます。
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ゲームとミュージカルの組み合わせは、実験的で面白い試みになっており、メインのミュージカルパートの出来は素晴らしいと思います。しかしながら、それぞれの分野で突出した何かがある訳ではないのが残念な点です。
ゲーム的な部分で言えば、マルチエンディングを採用していますが、ストーリーの大筋にあまり変化はみられません。また、通常の会話パートの選択でもあまりストーリーに影響しない部分も多々あります。既に知っている物語なのにも関わらず、ミュージカルを観に行くのはその場の空気間と一体感、出演者の演技もさることながら何処かしらに名場面や名曲をもう一度観たい聴きたいという思いがあるのではないでしょうか。
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その点において、プレイヤーが自分でミュージカル全体に変化を加えられる面白さはあるものの、名場面や名曲を生むのが難しい様にも感じます。また、演技に関してもアニメーションはできなくとも、もう少し口や目の表情に変化を与えて、心情を表すると一層臨場感が増すように思います。それらが可能になった時、何世代にも渡って愛され続けられるミュージカルゲームが生まれる可能性も秘めている様に思います。この新たな新境地を開拓し続けて欲しいです。
ここまで紹介してきた『Stray Gods: The Roleplaying Musical』ですが、現状いくつか不具合もあるようで1つはセーブがされない場合がある点と、プレイ中ごく一部で未翻訳又は字幕自体が表示されない場合がありました。また、音声の音量が高くなったり低くなったりする場面があり、字幕はあるものの聞き逃したという気分になりました。ただ、この点に関しては今後修正されることかと思います。
最後に本作は、ミュージカルやライトノベルが好きなプレイヤーにオススメです。ミュージカルとして考えると約3,000円というプライスは非常にお買い得と言えるのではないでしょうか。
ミュージカルとゲームの融合!この新風をどう感じるかはプレイヤー次第!スパ
僕もいつかはミュージカルすぱネ!
対応機種: PC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種: PC(Steam)
発売日: 2023年8月10日
記事執筆時の著者プレイ時間: 8時間
価格: 2,990円