■スタッフロールを見て唖然! もしかして、このデータって……

様々なこだわりを見せてくれた『初代FE』の「クライマックスバージョン」ですが、一方でちょっとした疑問もありました。
例えば、シーダをペガサスナイトのまま強くするこだわりを見せる一方で、「パオラ」「カチュア」「エスト」は全員ドラゴンナイトにクラスチェンジ済み。この2人は“ペガサス三姉妹”とも呼ばれており、シーダと同じくペガサスナイトの印象が強いキャラたちでした。

また「リンダ」は、女性で唯一の「魔道士」。そのため戦闘時のグラフィックも、彼女専用の魔導士姿が用意されました。しかし上級職の「司祭」になると、汎用グラフィックに差し替えとなり、独自の見た目は失われてしまいます。
そのためシーダと同じく、リンダを下級職のまま使い続ける人もいたほどですが、「クライマックスバージョン」のデータでは司祭にクラスチェンジ済み。いくつものこだわりが見られる一方で、こだわらない面も少なからずあり、そのアンバランスさが少し気になりました。

ですがその疑問は、エンディングで流れるスタッフロールを見て解消されました。正確には、スタッフロール内にある“各章をクリアしたターン数”の記録を見た時に。
ここで筆者の認識を先に説明させていただきますが、「クライマックスバージョン」のデータはプログラム上で作成したものだろうと、なんとなく決めつけていました。その方が早いだろうし、手間も少ないだろうと思い込んでいたのです。
そんな視点だったので、各章のクリアターン数を目撃して驚きました。それぞれの章ごとに、クリアターンはバラバラ。大半は2桁ですが、1桁のところもあれば、最長で252ターンといった章も。また2桁と言っても、10~20ターンで収まる場合もあれば、57ターンや84ターンなど、かなり高い数字になっているケースもありました。
データを直接作るなら、ここまで極端な数字を設定する必要はないでしょう。また、普通にクリアするだけなら、3桁ものターン数は重ねません。しかし……「チキ」や「シーダ」など、最大値のステータスが並ぶキャラクターを増産するとなれば、この経過ターンも納得できます。

経験値と金が稼げる「闘技場」がある章と、「クライマックスバージョン」のクリアターンを照らし合わせてみると、「4章 252ターン」「8章 84ターン」「11章 28ターン」「16章 57ターン」「18章 53ターン」「20章 116ターン」と、闘技場のある章だとかなりクリアターン数が嵩んでいます。特に、4章の252ターンと20章の116ターンは、かなり偏った数字です。
レベルアップと買い物のために闘技場を長く利用したと考えれば、クリアターン数が嵩んだ理由も分かります。そして同時に、この「クライマックスバージョン」のデータが直接弄って用意されたものではなく、誰かが実際に『初代FE』を通してプレイし、そのセーブデータを元にした可能性が浮上しました。
あくまで憶測に過ぎませんが、しかしデータに直接手を加えたにしては、一部のクリアターン数が飛び抜けていますし、ターン数が多い章に偏りが見られます。闘技場がない章だと、「21章 78ターン」や「24章 143ターン」なども目立ちますが、終盤に向けて追い込み育成を行っていたのかもしれません。
所持欄をよく見ると、使いかけの武器も少なからずあり、ここまでの戦いを潜り抜けてきた気配をそこはかとなく感じます。そして、もし実際にプレイした結果であれば、「シーダ」の見た目にこだわり、リンダをクラスチェンジさせたのも、理由が思いつきます。

シーダと違ってリンダの場合、クラスチェンジすると回復系の「杖」も使用可能になるため、戦力の向上に繋がります。「クライマックスバージョン」で多くの人が遊ぶことを考え、利便性を上げる選択肢を選んだのでしょう。またペガサス三姉妹は、24章までを攻略する中で、戦力的な面からクラスチェンジに踏み切ったのかもしれません。

『初代FE』の最終章を手軽に楽しめる「クライマックスバージョン」。そこには、プレイした人の考えやこだわりが浮かび上がってきそうな、生きたデータがありました。
本当にプレイしたデータなのかどうかは分かりませんが、シリーズ経験者や『初代FE』ファンほど、興味深い内容が詰まっています。時間に余裕がある方は、「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」にある『初代FE』の「クライマックスバージョン」を立ち上げてみてください。
なお、「14日間無料体験チケット」の配布期間は8月20日まで。また、番号の有効期限は8月21日いっぱいまでなので、どうぞお忘れなく。