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大作ゲームの「当たり年」と言える、この2023年。その中でも存在感を発揮しているのは「久々の新作」というものです。そして本作『Forza Motersport』も、実は前作『Forza Motersport 7』から6年ぶりという、かなり久々な新作になっています。つきなみな言い方になりますが「6年」って小学1年生が中学生になっちゃうわけですから、まあ結構な年月ですよね。
実際には中間にスピンオフである『Forza Horizon』シリーズが2本出ているので、なかなか「久々」とも感じにくかったりもする今作。しかし、リアル志向で操作感が実車寄りな『Motersport』と、カジュアルかつオープンワールドで自由気ままに遊べる『Horizon』は「Forzaという名前がついている」という点を除いてはかなりの別物だったりもします。
筆者は『Forza Horizon 4』にかなりハマり、続く『Forza Horizon 5』も大変楽しんでプレイしてきましたが、Xbox360 バリューパックに『あつまれ!ピニャータ』と一緒に同梱されていた『Forza Motersport 2』にはあまりのストイックさに挫折した経験があるカジュアルなレースゲームプレイヤーです。それ以降いわゆる「シミュレーター」のような側面を持った、リアル系(という言い方が正しいかどうかわからないですが、仮にそう言わせてください!)のレースゲームは避けてきました。
今回の記事は、そんな『Horizon』は結構プレイしているが『Motersport』に苦手意識がある筆者による『Forza Motersport』事前プレイレポートとなっております。事前プレイはXbox Series Xで行いました。画面はすべて開発中のものであるので、製品版とは一部異なる場合があることをご留意ください。
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事前プレイではイントロダクション的なレースに加え「ビルダーズカップ イントロ」という3つのレースからなるシリーズをプレイできます。(もちろん繰り返して遊べますが)総プレイ時間は大体1時間ぐらいです。クルマは2018 Ford Mustang GT(以下、マスタング)、2019 SUBARU STI S209、2018 Honda Civic Type R(以下、シビック)の三種類から選べました。見た目がかっこよかったので筆者は最初シビックを選択していきます(記事の後半でマスタングを使ったスクリーンショットも出てきます)。
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マシンを選択し決定すると、これでもかってぐらいに映り込みと反射表現によってテラテラしているボディの映像とともにクルマの説明をしてくれます。さすがXbox Series Xといった美麗なグラフィックスですが、ハイスペックなゲーミングPCだったらこれ以上に綺麗になるのだとおもいます。ちなみに本作はPC版の理想スペック(推奨スペックの更に上)がRTX 4080/RX 7900 XT相当とかなりスゴめなことで一部で話題になってました。てか、推奨で既に結構すごい!
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レース開始前に、まずは難易度の設定ができます。ライバルの速さ(というか運転のうまさ)と、「ルールセット」を「クラブルール」「スポーツルール」「エキスパートルール」の3つから選ぶことができます。これにより僕のようなリアル系のレースゲーム初心者が遊びやすいうえ、上級者はより難しくしたことによってがより多くの報酬をもらえるというWin-Winなシステムになっています。最初は無理なく「クラブルール」を選んでいきます。
シリーズ最初のコースは「GRAND OAK RACEWAY」。名前から受ける印象どおり、自然が多く、気分のよいコースです。本番のレースの前に、まずは「練習」としてコースを下見することになります。筆者がいままで遊んできたようなカジュアルなレースゲームだと新規コースはぶっつけ本番というのが当然でしたので、これは新鮮でした。といっても、現実に即して考えた場合は当たり前な気もします。
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レースでは目標のラップタイムを提示してくれるので、不安な場合は目標を安定して達成できるまで練習してもよいのだと思います。ですが、「クラブルール」「スポーツルール」では巻き戻し機能である「リワインド(最近のレースゲームではおなじみとなったシステムですね)」を無制限に使うことができるので、あんまり気にしなくても大丈夫です。
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実際にプレイしてみると、確かに自動車の制御は滑るし重いし難しく感じるのですが、難易度設定やリワインドの妙もあり、事前に想像していたハードルの高さを一切感じさせない作りになっていました。あれ……? なんかできるぞ、このゲーム。っていうか、面白い気がする……! 初心者でも、普通に楽しめてる!
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「初心者でも楽しめる」というのは大げさではありません。今作は先述した難易度設定に加えアクセシビリティやドライブアシストをはじめとした設定項目がすさまじく多様で、がんばって設定さえすれば好みの塩梅を見つけることができます。
アシスト設定にはプリセットがあるため、そんなにめちゃくちゃがんばらなくても大丈夫。筆者は最初は「アシスト(中)」でプレイしました。「アシストあり(最大)」も試しましたが、こちらはほぼアクセルをベタ踏みしてるだけでゴールに辿りつけちゃいそうな感じでした。この設定項目の多さは『Horizon』と同様なので知ってはいたのですが、『Motersport』のような敷居の高そうなゲームで、より活きてくるなとも思いました。
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おそらく本作の最大の売りであろう「グラフィックの美しさ」も、気分をかなり盛り立ててくれます。ドライバー視点にすると窓ガラスの映り込みなどが細かく描写されているのがわかり、コンソール版でも充分な美しさがあるように見えます。
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ボンネットカメラにすると、こんなにピカピカに他のクルマなどが映り込みます。床に鏡を置いてるみたいでなかなか面白いです。
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何度かプレイしているうちに筆者は「アシスト(最小)」のシフトチェンジをATに変え、「スポーツルール」にする、というのが自分にとって心地良い難易度だということがわかりました。
アシストを(最小)にするとクルマが滑りまくり、ものすごく操作感が重くなるのですが、スポーツルールでリワインドができるためミスはすぐに挽回できます。リアル系のレースゲームっぽい「自動車運転の難しさ、それによって生じる面白さ」とカジュアルなやりやすさが同居していて大変よかったので、初心者の方は試してみてください。
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スポーツルール以上の項目では、タイヤの摩耗や燃料の概念がありました。ピットインをすることでどちらも回復可能です。給油しても満タンにしないのは、もしかして車体が重くなっちゃうからでしょうか? 詳しくないのでわからないですが、なにやらリアルっぽいです。事前プレイで体験したようなコースではピットインが必要になることはなかったですが、おそらくもっと長丁場のレースが含まれるシリーズや、よりタイヤを酷使する高速な車も登場するのでしょう。
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総じて、リアル系レースゲームに苦手意識のあった筆者でもとっつき安く、充分な楽しさを感じられた事前プレイでした。特に、車体が滑っているときなどの「ままならなさ」「うまくいかなさ」が楽しく、制御できたときの喜びにも繋がっているとおもいます。思わず一緒に身体が傾いてしまったり、コントローラーを握る手に力が入りすぎるようなときもあって非常に楽しかったです。そのあたり、グラフィックの美しさが臨場感に繋がっているのだと感じます。
筆者のようなカジュアルなプレイヤーでも没入して楽しめたのは、やはり本作がとびきり親切だからというのが大きいです。リアル系レースゲームにはまだハードルがあるように感じるものの、少なくとも『Forza Motersport』は全然大丈夫。というかとても面白かったです。筆者と同じようにリアル系レースゲームに抵抗感のある人も、まずはXbox Game Passなどでちょっと触ってみたら、意外とハマってしまうかも……?
『Forza Motorsport』はXbox Series X|S/PC向けに、2023年10月10日リリース予定。Xbox Game Passにも対応し、リリース初日から対象作品となっています。