秋が深まりつつある今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は秋の夜長に遊ぶのにピッタリな、大ボリュームのメルヘンホラーDRPG『神獄塔メアリスケルターFinale』のSteam版のプレイレポをお届けします。
『神獄塔メアリスケルターFinale』とは
『神獄塔メアリスケルター』シリーズは、コンパイルハートと電撃文庫のコラボレーション作品として2016年より展開されているシリーズです。本シリーズは日本では家庭用機で、海外では家庭用機とSteamを含むPCで展開されていました。しかし、最終作となる『神獄塔メアリスケルターFinale』はSteam版も日本語に対応。日本から購入できるようになりました。後述しますが、最終作となる本作からゲームを始めても問題ありません。
希望が絶望に変わるところから始まる物語。過去作の物語も一挙閲覧可能
地下深くから地上に向かって伸びる、「メルヒェン」や「ナイトメア」と呼ばれるモンスターたちが徘徊する「監獄塔」。穢れによる暴走の危険性を孕むが、モンスターたちと戦う力を持つ「血式少女」たち。その血式少女たちの穢れを払う事の出来る「血式少年」。血式少女たちと血式少年の活躍により「監獄塔」は沈黙し、地下の人々が地上を目指すところから物語は始まります。
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数多の困難と迷宮を潜り抜け、希望をもって新天地である地上へと向かう彼ら。しかし――地上で待っていたものは希望ではありませんでした。
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そこにいたのは、次々と人間を屠っていく「処刑台少女」と呼ばれる4人組。さっそく血式少女たちとの戦いになりますが、監獄塔を制覇した血式少女たちをもってしても、処刑台少女たちにはまったく太刀打ちできません。一行は持てる力を振り絞り、なんとか処刑台少女たちから逃げ出すことには成功します。
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……が、彼らが目覚めたのは見知らぬ監獄塔の中。血式少女や同行者の一行も皆散り散りになってしまったようです。こうしてすべてを失ったところから、『神獄塔メアリスケルターFinale』は始まります。
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本作を何の前知識もなくゲームスタートした人は、開始直後からいろんな固有名詞の頻発や既に仲間が揃っているような状況で何が何やら?と思うかもしれませんが、本作ではタイトル画面の「BEFORE STORY」から過去2作のストーリーシナリオをすべて読むことができます。この2作のストーリーを読んでおくと、本作のオープニングにしっかり繋がっていることがわかるようになっています(但し、読み方の順番に工夫が必要。「1」の9章の終わりまで読む→一旦「2」をすべて読む→「1」の余章を読む……という順番をおススメします)。なお本シリーズは電撃文庫とタイアップしていることもあってかストーリー部分のボリュームもかなり充実しており、筆者は過去2作のストーリーを一通り読むのに8時間かかりました……。
「ザッピング」を駆使して迷宮の隅々まで探索せよ。ナイトメアやブラッドスケルター化の恐怖も健在
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本作の独自性の高い部分は「ザッピング」システム。これは複数のキャラクターの視点を切り替えながらゲームを進める事ができる……というもので、選んだキャラクターによって踏破するダンジョンや仲間になるキャラクターが違ってきます。また、あるキャラクターで先に進むための道が見つからない!という場合にも、同じ監獄塔にいる別のキャラクターにザッピングしてダンジョンを探索することで元のキャラクターが先に進むための道を開けることがあります。前作までは基本的にお気に入りのキャラクターのみでパーティを組めばよかったのですが、本作ではこのザッピングシステムの導入によって全てのキャラクターに使い道が生まれているように思います。
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監獄塔内を闊歩する「ナイトメア」からの脱出要素も本作では健在。ナイトメアは基本的に不死身のモンスターであるため、迷宮内で遭遇してしまったら逃げることになります。逃走中はミニマップも無効化されるため(難易度「EASY」を除く)、緊張感はかなりのものです。
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また、戦闘メンバーとなる血式少女たちは戦闘で返り血を浴びると基本的には「ジェノサイドモード」となり、パワーアップするのですが、被ダメージの集中などで「穢れ」が溜まった血式少女がいると……
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その血式少女は「ブラッドスケルター化」し、敵味方構わず強力な攻撃を放つ暴走形態となります。ブラッドスケルター化を解除するには基本的にはパーティに同行している血式少年の「命がけ浄化」(使用後高確率で気絶)しかないので、ブラッドスケルター化する前に血式少年はちょくちょく血式少女に「浄化」(連発しなければデメリットほぼなし)しておきたいところです。
なお、本作のザッピングルートの1つである「赤ずきんルート」は血式少年が同行せず、「ブラッドスケルター化」が発生すると即ゲームオーバーになってしまいます。拠点に戻ったり、特殊な薬を使ったり(浄化はされるがSPがしばらく減り続ける)で浄化は行えますが、このルートでは血の管理により注意が必要になります。
血晶と返り血でダンジョン農場育成!?強力な武具は血を吸って咲いた花から獲れる
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ゲームがある程度進むと、ダンジョン内に血晶を埋め、モンスターから得た返り血を肥料として与える……という「ブラッドファーム」という機能が使えるようになります。
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この機能を使うとダンジョン内に若葉アイコンで示される植物が表示されます。この植物は戦闘を繰り返すことによる時間経過で成長します。
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大きく花が開けば収穫が可能。
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時には特殊効果が付いたことが示された接頭辞や、大きなプラス修正値付きの武具が拾えることがあり、DRPGの魅力の一つであるトレジャーハンティングの楽しみがこのシステムに集約されています。どんどんダンジョンを農場化して、血に飢えた花を咲かせましょう!
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その他、キャラクター別に割り振られた職業とスキルポイント振りによる成長要素、拠点でのヒロインとの好感度要素など、既存シリーズで好評だった要素もしっかり実装されています。
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筆者はこの記事を書いている時点ではまだ第2章の中盤を進行している途中ですが、すっかりこのゲームの虜になっています。バラバラになった血式少女・血式少年たちはどう集っていくのか、地上を制圧している処刑台少女とはいったい何者なのか、これまでのシリーズに登場しなかったが、何食わぬ顔してパーティキャラクターとして潜入している数名の正体は?そして、監獄塔を制覇した後の地上に希望は残っているのか?このゲームのストーリーの先が気になりつつ、一旦このプレイレポートの筆を置こうと思います。
本作のもう一つの可能性?『恋獄塔めありーすけるたー』
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さて、本作にはタイトル画面からLB・RBボタンを押して(マウスではタイトル画面の左下・右下のアイコンをクリックして)切り替えられる別ゲームも実装されています。その名は『恋獄塔めありーすけるたー』。10人+αの血式少女たちが、主人公ジャックの誕生日祝いをめぐってのドタバタを描く短編ギャルゲーです。短編ギャルゲーです。大事な事なので、二度言いましたよ。
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こちらは陰惨なシーンの多い本編とは打って変わって、朝から主人公を起こしに来るヒロインなど、どこまでもさわやかな学園生活を描いたギャルゲーになります。一部ヒロインの言動や登場人物に不穏な世界観が見え隠れしますが、それは見なかったことにしよう。うん。
何はともあれ、短編ギャルゲーながら個別エンドをしっかり実装していて、本編では決して見せることのなかった血式少女たちの意外な、そして甘々な一面を見ることができるゲームに仕上がっています。電波ソング付きという無駄に凝ったOPムービーと合わせ、殺伐としたゲーム本編の箸休めには丁度良いかもしれませんね。
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また、家庭用版では予約特典でのみ配信された『恋獄塔めありーすけるたー true end』もSteam版に収録されています。こちらはヒロインたちとの海辺のデートで水着姿を拝める内容となっておりまして、眼福でございます。
スパくんのひとこと
主人公のジャック君、苦労人スパね……最後には報われてほしいスパ!(あ、恋獄塔の方のジャック君は爆発しろスパ)
タイトル:神獄塔メアリスケルターFinale
対応機種:PS4/スイッチ/PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2023年9月13日(Steam)
著者プレイ時間:17時間
サブスク配信有無:無
価格:4,500円(税込)(2023年9月20日まで3,600円(税込))
※製品情報は記事執筆時点のもの