映像制作スタジオCorridor Digitalの投稿したAI技術を利用してゲームキャラの顔を実写風にする動画に批判的な意見が集まっています。
視聴者の共感得られず、現職アーティストからは痛烈批判
動画はAI顔認証技術Insight FaceとAI画像ジェネレーターStable Difffusion XLを組み合わせ、ゲームキャラクターのレンダリングをより写実的にするというもので、『メタルギアソリッド2』のソリッド・スネークや『Starfield』のサラ・モーガンなど多くのキャラクターを用いて検証しています。Corridorの共同創設者ニコ・プリンガー氏は動画内で「現時点ではまだ誰もそれを実行していない、ゲーム グラフィックスの未来をお見せしようと思います。」と意気込み、同技術が「プレイヤーとの強い一体感を呼び起こすでしょう。」と語っています。
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そんなスタジオ側の様子とは裏腹に動画の視聴者たちからの反応は芳しくなく、評価の高い動画コメントはその多くが否定的でした。主だったものでは単にシミやしわを消して肌を均質にしただけで場違いに見える、リアリティよりもゲームそれぞれの個性やスタイルがより重視される良い事例であるとの意見が上がっています。
また、実際に業界で活躍するアーティストもSNSの投稿を通して苦言を呈しています。『Apex Legends』のシニアキャラクターアーティスト、リズ・エドワーズ氏は「考えなしな、ディテールのためのディテールでハロウィーンのチープな仮装のようなスネークが出来上がった」と痛烈に批判。3Dキャラクターアーティストのジョージ・クルード氏は「アーティストの理念を安っぽいビデオフィルターで塗り替えて笑っている姿を見るのは、熱を出した時の夢を見てるような気分だ。」と嫌悪感を示しました。
謙虚さと配慮にかけた発信に問題があったか
中には実験的試みとしては面白いとする意見もあるほか、動画終盤では実験の結果に、照明やテクスチャリングへの配慮や、人間的な表現が欠けていることを認めていますが、視聴者にその思いは届いていない様子。新しい技術に挑戦することは悪いことではない一方、その発信方法には謙虚さと配慮が必要でしょう。
※UPDATE(2023/10/6 16:22):『MGS』に関するモデルについてキャラクター名を修正しました。