先月行われた東京ゲームショウ2023のアークシステムワークスブース内のステージイベントにて、10月12日に発売する『ダウンタウン熱血物語SP』内に収録される格ゲー風ミニゲーム「Fighting of Double Dragon 2023」のメディア対抗戦が行われました。
ありがたいことにGame*Spark編集部からも参加させていただき、当日は白熱した戦いを繰り広げられました。お相手していただいたメディアの皆様、ありがとうございました。Gamerや電ファミニコゲーマーの方でも同イベントレポートが掲載されているので、そちらもぜひご覧ください。
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順位に応じて賞品も贈呈されたのですが、惜しくも4位になってしまったGame*Sparkはこんなものをもらいました。でもこれ……何?? どうやらアークシステムワークスの方もご存知ないようで、「会社の倉庫に眠っていたコントローラー?」とだけ説明されました。
本稿では、このいただいたマシンを開封して調査。謎に包まれた本機の正体を解き明かします。
いつの時代のハードウェアなんだ……やけに色褪せたパッケージ
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まずは、パッケージをチェック。『DOUBLE DRAGON』のロゴを掲げていますが、日光の当たる場所で保管していたのか、かなーり色褪せています……。
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パッケージにはブラウン管で遊ぶ様子のイメージが載っており、かなり古いものなのでは……!?と推測。
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しかし、左下を見てみると「30 YEARS ANNIVERSARY」の文字が。全体的にクラシック感漂う製品ですが、ホントはいつのものなんだ……!?
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はやる気持ちを抑え、丁寧に開封。入っていたのはスティック1本と2つのボタンがついた本体と説明書……えっ、それだけ!? しかも本体に直接付けられた出力ケーブルはHDMIではなく、昔懐かしいRCA端子。かなり久々に目にしましたね……。
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電源はACアダプタなどではなく、まさかの単3電池3本。ここまで来るともはや不安なほどにクラシックですね……!開封にドライバーが必要で、地味に手間がかかります。
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説明書も折りたたまれた1枚の紙で、やや簡素な作り。ますます謎が深まってきました……。
箱記載のメーカー名を頼りに調査!
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謎があればネットで調べたくなるのがWebライターの性。編集部員と協力し、箱に載っていた「MSI Entertainmnent」という社名を手がかりに調査を実施します。ゲーミングPCメーカーのMSIと名前が被っているためやや調査は難航したものの、それらしい情報を発見しました。
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MSI Entertainmentは2008年に設立されたゲーム関連製品の販売会社で、任天堂ライセンス周辺機器をはじめとした様々なデバイスを販売していました。現在は活動を終了しているのか、SNSの投稿は途切れ、公式サイトもドメイン切れとなっています。
『ダブルドラゴン ネオン』の発売元であるMajesco Entertainmentとの関係もあったようですが、CEOのモリス・サットン氏がかつて勤めていたこと、Kinect用ソフト『NBA Baller Beats』で協業していたこと以外は不明です。
謎の『ダブルドラゴン』ゲーム機には「30 YEARS ANNIVERSARY」という文字があったため、初代『ダブルドラゴン』の発売年である1987年から計算すると、おそらく2017年前後に復刻機のひとつとして発売されたものと考えられます。他にも『ロックマン』や『フロッガー』、『ミズ・パックマン』などを収録したバージョンもあったようです。
レッツプレイ!
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謎の『ダブルドラゴン』ゲーム機の正体は、2017年頃にアークシステムワークスからのライセンスを受けたMSI Entertainmentが海外で発売したPlug & Play方式のゲーム機であることがわかりました。おそらく発売時にMSI Entertainmentから提供されたあと、倉庫に眠っていたのでしょう。HDMI端子を採用していないところは、レトロ感の演出としても意図されていそうです。
詳細がわかってスッキリしたところで、それでは実際にプレイしてみよう!……と思ったものの、編集部のモニターにはRCA端子を挿せるジャックなどありません。
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なんとかできないか……と捜索してみたところ、Game*Spark編集部用の倉庫の奥からソニーのPS3向け3Dディスプレイ「CCECH-ZED1J」を発掘!無事に出力され、プレイできる状態になりました。
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収録されているのはNES版準拠ですが、コントローラーがひとつしかないためか、対戦モードである「MODE B」は削られています。他には、タイトル画面のコピーライト表記がテクノスジャパンではなく©ARC SYSTEM WORKSになっていることにも気づきました。ちょっとレアバージョンかも?
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まずは、メディア対抗戦に出場した編集部員・Jがプレイ。右がスティック、左がボタンという普通のコントローラーと真逆のレイアウトに戸惑いつつも、すんなりと基本をマスターしていきます。
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序盤の難所であるアボボ戦も、ベルトコンベアを利用して落とすという攻略法に気づくJ。もしかして、ベルスク上手い……?
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本作はレベル制を採用しており、敵を倒せば倒すほど経験値が増加、レベル(左下のハートマーク)が増えていきます。レベルが上がれば使える技も強くなり、どんどん多彩な技を繰り出せるようになるわけです。
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レベル3になるとA+B同時押しで繰り出せるジャンプキックが強いことを発見したJは、サクサクとステージを攻略していきます。
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Jを含む我々は、「普通に遊べる」ことにやや驚きました(当たり前ではありますが)。右にスティックがあるという特殊なレイアウトも意外にすんなり受け入れることができ、思わず熱中してしてしまいました。
正直、プレイするだけなら「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」や『くにおくん ザ・ワールド クラシックスコレクション』など収録されたバージョンのほうが断然遊びやすいでしょう。しかしながら、ワクワクしながら開封し、本機の謎を解明したところまで含めた体験を味わった筆者と編集部員、そしてJにとって、ひとつの特別な思い出をもたらしてくれたことは間違いありません。
なおスクリーンショットキャプチャのために筆者が帰宅してからプレイしようとしたものの、タイトル画面からスタートボタンを押すとグレーの画面になってしまい動作不能に……。どうやら役目を終えたことを察したのか、力尽きてしまったようです。思い出をありがとう、謎の『ダブルドラゴン』マシン!
我々にひとときの楽しみを与えてくれた『ダブルドラゴン』マシンは力尽きてしまいましたが、アークシステムワークスの『くにおくん』と『ダブルドラゴン』はまだまだこれからがアツいんです。
10月12日にはFC名作『ダウンタウン熱血物語』のリブート版である『ダウンタウン熱血物語SP』がPC(Steam)/PS4/ニンテンドースイッチ向けに発売予定。進行するごとにレベルがあがり多彩な技が出せるようになる育成要素や3日間の行動によって分岐するEDなどユニークな機能を多数備えているほか、メディア対抗戦で使用した2D格ゲー風ミニゲーム「Fighting of Double Dragon 2023」も収録されています。
加えて、そして11月9日発売『ダブルドラゴンコレクション』には、初期3部作や幻のプレミアソフト『アドバンス』など計6本が復刻。ベルスクを盛り上げるぞ!という心意気を感じさせます。現代的な作品が遊びたい方も、昔のものをたっぷり遊びたい方も、ぜひこの2作を手にとってみてはいかがでしょうか。