10月4日、『魔界戦記ディスガイア7』のSteam版がついにリリースされました。本作はすでに1月26日にPS5/PS4/ニンテンドースイッチ向けにリリースされており、海外コンソール版と時期をあわせてのPC展開となります。
本記事ではそんな『魔界戦記ディスガイア7』のプレイレポをお届け……とはいっても、すでに発売から半年以上が経過して、本作は良作であると言われたりもしています。
ですので、こちらではどちらかというと“熱い『ディスガイア』ファン”の方々のみではなく、新しく始める方や「昔ディスガイアめっちゃ遊んでた! 最近は離れてるけど……」という人に向けお送りしていきます。
実を言うと筆者自身、『ディスガイア』シリーズのぬる目なファンでした。昔に『ファントム・キングダム』で「魔界」という世界観にはまって以降、派生作品もふくめてそれなりにシリーズを追ってはいたものの……いつのまにか脱落。『魔界戦記ディスガイア7』も発売時には買えておらず、今回久しぶりに魔界入りを果たした人間です。
Steam版を待ち望んでいた方はもちろん、「Steam版発売を機にいっちょやってみるか!」と考えている人の『ディスガイア』復帰への足がかりになれば幸いです。
◆コメディ多めでテンポ良いストーリー!『ディスガイア』ノリでありつつも、知らない人でも遊びやすそう
まずストーリーで感じたのは「設定の紹介が最小限」ということ! 『ディスガイア』シリーズの魅力といえば、数多く広がる魔界や、魔人、魔神といった存在の数々。長く続くタイトルだけあって、蓄積された世界観を前に尻込みする人もいるのではないでしょうか。
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しかし本作の舞台は「日ノ本魔界群」から始まり、悪魔の価値観に反した「日ノ本魔界群」特有の“武士道”という考えや、それが廃れた様、そしてなにより「この作品はコメディ成分が強めです!」と言わんばかりのギャグで、「前提を知らなくともわかる流れ」で進行していきます。思わず「懐かしい!」と叫んでしまいたくなる『ディスガイア』なノリ!
もちろん、ミクロな視点から始まってマクロな事態に物語が展開するのが『ディスガイア』シリーズの恒例です。ナンバリングタイトルであっても、基本どのシリーズから始めても楽しめると言えるでしょう。
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この世界で、アンチ武士道な「フジ」と武士道LOVEな「ピリリカ」が出会い、「始祖の七振り」という武器を集めるため行動するというのが大雑把な流れ。困窮に喘ぐ武士(戦士 男)が「イワシのしっぽだけ……、しっぽだけでもいいから……」と喋っていたり、シリーズファンがピクリとするような小ネタが散りばめられつつも、(『ディスガイア』の)王道といった印象で話が展開していきます。
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ちなみに「日ノ本魔界群」には「鰯魔界」が存在しています。ちなみに、本作はDLCで過去作の主人公たちが参戦するDLCシナリオも用意されているので、イワシが気になった方はぜひチェックしてみてください。
「日ノ本魔界群」ではなぜか「暗黒議会」システムが議員ではなく“力士”の勝負によって決着がつく形になっていたり、お馴染みの嘘予告も健在だったりと、気楽に笑える『ディスガイア』は健在でした。
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◆堅実でハチャメチャなSLG! 骨太でやりごたえありなバトルシステム…しかしキャラ治療費はお高め
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バトルは実に堅実なSLGと言える手触り。本作のジャンルは「史上最凶のシミュレーションRPG」であり、もちろんクリア後のやりこみ要素でとんでもない桁数のダメージをはじき出していく強化が可能です。本シリーズに触れたことが無い方は「『ディスガイア』ってあの億とか兆のダメージが出るやつでしょ?」と認識されているかもしれませんが、少なくとも『ディスガイア7』においては大半の過去作と同様に、かなり堅実でシビアな戦いが繰り広げられます。億とか兆の領域に踏み込むのは、まさしく「やりこみ要素」においてでしょう。『ディスガイア』シリーズの楽しみは、莫大なダメージを与えるだけではないのです。
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筆者の遊んだ範疇では、メインストーリーですらシビアな戦いの連続と感じられました。ストーリーをレベル上げなしでクリアできるわけではないのはもちろんですが、本作は過去作と違って治療費がかなり高い! レベル上げの段階から「いかにしてキャラを死なさないか」ということに考えが寄るほどです。治療費を払わないため、クリア前にヒールをかけまくる始末です。
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もちろん本格的なレベル上げを実行すればこれらは些事になりますが、「メインストーリーではギリギリの戦いをしたい」タイプの筆者にとっては嬉しい厳しさです! あえて「堅実なSLG」と言ったのは、メインストーリーでのはちゃめちゃでありながらも丁寧に計算されたゲームバランスがあってこそ。『ディスガイア7』は久しぶりに遊ぶファンに、十二分に応えてくれるものでしょう。
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そして「久しぶりに遊ぶ」ことへの言及で忘れてはならないのが汎用キャラクターの多さです。キャラが3Dとなってリリースされた『ディスガイア6』では22種となっていましたが、本作での汎用キャラは、なんと45種にまで増量!気になって『ディスガイア5』の汎用キャラ数はどうだったかと調べたところ43種(DLC、アサギ除く)でしたので、3Dでありながらも歴代相当のキャラ数が用意されています。
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そして忘れてはいけないのが新要素でしょう。今回はメインストーリーで入手できる「始祖の七振り」をもっているキャラなどは「神討モード」に変わることが可能です。強化されたうえ、固有の必殺技を使用可能とあってわかりやすく主人公的なムーブが可能ですね。
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また、“弩デカ魔ックス”がやばい。これはさすがに「堅実なSLG」ではなく「史上最凶のシミュレーションRPG」としての側面が派手に出たものと言えるでしょう! ゲームにて、時々あるステージにおさまらないボスキャラがステージ外に登場するという状況を、敵はもちろんプレイヤーサイドも使えてしまいます。そしてこれは汎用キャラでも実行可能! 好きなキャラで盤面を殴りつけたりすることが可能です。
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新システムが相変わらず度肝を抜いてくれるものの、根幹はしっかりと『ディスガイア』しており、発売後の高評価も頷ける『魔界戦記ディスガイア7』……かつてシリーズを遊んだことのあるゲーマーなら間違いなく楽しめる出来と実感できました。本稿執筆のため急ぎ足でプレイしましたが、筆者はこれからゆっくり遊ぶ予定です。「いつかやる予定」と遊びそこなう前にSteam版を購入、あるいはウィッシュリストに投入してみてはどうでしょう。
『魔界戦記ディスガイア7』はPS5/PS4/ニンテンドースイッチ/Steam版向けに販売中です。