注意
本記事には、ゲーム内容のネタバレが含まれます。事前情報無しで本作を遊ぼうと考えている方は、ブラウザバックをおすすめします。
今回はCC ARTSがデベロッパーを、Hyperstrangeがパブリッシャーを担い、2023年10月16日にSteamにてWindows PC向けにリリースした、見下ろし型2DローグライトACT『EMPTY SHELL』をご紹介します。
『EMPTY SHELL』とは?
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本作は、日本のとある島にあるという研究施設の廃墟を舞台に、襲いかかる異形の化け物たちを撃退しながら探索していくローグライトACTです。探索には無数のボランティアを突撃させますが、なに死んでしまった? 大丈夫、代わりならいくらでもいる。
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画面は白黒、見下し型の視点でキャラクターを操作するので、まるで何かの記録映像を見ているかのような気分を味わえるのが面白いポイント。しかしそのレベルデザインは高難度で、最も簡単な難易度に設定しても割と死んでいきます。Steamストアのタグにあるように、本作はローグライト・ローグライク要素が含まれ、開発者の好みなのか、その味付けはかなり濃いものになっていると感じますね。
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マップは一部似た構造もありますが、基本的には向きと順番すべて毎回ランダム生成。我々プレイヤーはあちこち歩き回りつつ、敵に襲われたりタスクをこなしたりしては、マップ最奥で待ち構えるボスに美味しく頂かれます(死亡)。死亡するとキャラ・装備・マップ等すべてがリセットされ、再びそのレベルをやり直す羽目に。当然ながら手持ちアイテムも全ロスト。心にヒビが入る音が聞こえたような気がしますね?
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しかしそれでも諦めない。挫けそうな己を叱咤激励しつつ、また最初からあちこち探索して、コツコツアイテムを集めて、ひいひい敵を倒して、タスクをこなしてそうやってボロボロになりながら最奥で再びボスに殺された時の気持ち。
まだだ……まだ終わらんぞ……砕けた心をかき集めつつ、早速紹介してまいりましょう。
操作・設定・言語
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本作の操作はキーボード&マウスおよびコントローラーに対応しています。どちらを選んでもプレイフィールに大きな差はないので、好きな方を選ぶと良いでしょう。個人的には、後者の方が武器を使用する際の手応えが好みでした。その他項目については、グラフィックとサウンドなどオーソドックスな部分が調整可能です。
本作は走査線などの画面エフェクトが強いので、それらも調整できるようになっているのがありがたいですね。ただし個人的には、カメラの距離感をもう少し近くに設定できる項目があったら良かったと感じます。
なお言語については、日本語にバッチリ対応。プレイ自体に支障はありませんが、翻訳がやや硬い印象です。雰囲気重視なのは理解しつつも、ゲーム中に手に入る日記などの文章が少し読みづらいように感じました。
本編開始
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さあ始まりました『EMPTY SHELL』。トップ画面からして既にエフェクトばしばしで、新規ゲーム選択後に流れる時系列の記録も雰囲気抜群です。難易度の選択画面ですが、「簡単」を選んでも軽やかに殺される難しさでした。
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いよいよ探索開始。このようにボランティアにはそれぞれ名前と性別そして年齢が表示されます。命がティッシュペーパーのごとく消費されていく本作において、こういった人物情報は、操作キャラクターに対する重みを与えてくれます。
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「タスクリスト」は、そのマップ(レベル)における目標であり、全て達成しない限り次のマップへは進めません。
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実際の操作画面はこんな感じ。画面左上には体力ゲージとアーマーゲージが表示され、右上にはスコアポイントと資金、その下には現在装備中の武器(残弾数)が並びます。
操作キャラクターは画面中央におり、攻撃時のエイムや地形によってカメラがズームイン/ アウトします。もともとUIが小さいせいか、カメラが引き気味に表示されるのは少々遊びづらかったですね。
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マップ内にはこのようにアクセス可能なオブジェクトがランダムで転がっており、チュートリアルだったり、誰かの日誌だったり、アイテムボックスだったり、ショップだったりします。
基本的にアイテムは可能な限り持ち運んだ方が攻略の助けになりますが、上限が8個(アップグレードで枠追加有り)なので、インベントリ内の取捨選択に頭を悩ませることに。銃器と弾薬だけで既に2スロット埋まりますからね。
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マップは室内や野外など様々なロケーションが用意されており、たいてい異形の化け物がうごめいています。その道中には多くの死体(残骸?)が転がっており、現場の凄惨さをよく演出しています。こういう現場を探索して何が起きたのかを考えるのは楽しいですね。
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敵の種類は見た目から行動まで様々で、ゆっくり近づいてきたり、全力疾走で突っ込んできたりします。さらに「人だったもの」と形容すべき異形も登場しますが、ゲームの進行によってその異形ぶりは増していき、悪夢でも見ているんじゃないかと思ってしまうような外見の怪物も現れるようになります。荒い画質で小さい表示にも関わらず、ここらへんのインパクトある演出は見事だと感じました。
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そんな化け物どもに対応すべく、こちらは銃と近接武器を振り回して立ち向かいます。たいていの敵はそんなに難しい相手ではないのですが、自爆・銃持ち・大型などのタイプは攻撃を避けるのに手一杯になりがち。そこへさらに複数の敵が現れて追い込まれると、アーマーを着込んでいてもあっというまにHPまで溶けて美味しく頂かれます。
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何度か死亡しながら攻略の糸口を学習していったのですが、弾を節約するため、ほとんどのザコ敵は近接武器(できれば斧)で処理したほうが安全でした。ただし初期装備はボランティアごとにランダムで支給されるため、ハズレ装備を引くと戦いがしんどいことに。その度に筆者は初期位置周辺でわざと死亡を繰り返して、当たり装備のボランティアの引きを狙ったりもしました(鬼の所業)。
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そんな事情から、こういったアップグレードショップでは、体力回復・アーマー回復といったアイテムよりも先に、まず斧やマチェットといった近接武器の購入に走るボランティアこと筆者。買い物の際に使用するお金は、敵を倒すことで取得可能です。
そうなんです、こういった「お金を落とす」ところからも敵は「施設にいた人間の成れの果て」を連想させます。たまにとんでもねえ見た目のバケモノから大量にお金が落ちてきた時は、Oh……という気持ちになりましたね。何度も繰り返しになりますが、本作のこういった演出は最高です。
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マップを開いて現在位置を確認しながら、しらみつぶしに各部屋を探索していく筆者。マップ構成は毎回ランダム生成で、「ボス部屋」の位置含めてすべてがリセットされます。
そのため死亡しても、すぐボス部屋に向かって再戦……といったことは不可能で、まずは各タスクをこなさなければならず、全ての配置が入れ替わった各部屋を調べ、先々で襲いかかる敵を撃退する必要があります(一部の中ボス戦は省略されていたりして助かりましたが)。
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本作がローグライク・ローグライトの流れを汲むゲームであることは重々承知していますが……個人的にこういった部分は、難易度による歯ごたえというよりは、不親切なゲームデザインという印象です(記事執筆時点におけるゲームのバージョンでは)。ボスにすぐ再挑戦できるのであれば「よし、次は負けないぞ!」と気持ちを切り替えやすいのですが、死亡の度に探索・タスク・ザコ敵との戦闘という全てをやり直してから再戦という段取りには「はぁ……また最初からか……」とストレスの方が上回りました。
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せめてマップ構造のリセットをON/ OFFの選択式にするか、または何かしらの引き継ぎ要素が強化されれば、まだ遊びやすいかもしれません(前任者の死体から回収できるアイテムを増やす等)。しかしそうすると、理不尽なレベルデザインだからこそ持つ本作の魅力が削れてしまいますし、バランスの取り方が難しいところです。ここらへんについては、本作のDiscordチャンネルでも少々触れられており、開発者も「難しさは保ちつつも、プレイヤーをイライラさせないような調整をしてみる」ということで、本記事執筆中に回復システムに関わるアップデートが実施されたり。
おわりに
本作の不気味な雰囲気に加え、歯ごたえのある戦闘は非常に面白く、間違いなく楽しめたのですが、正直に申し上げると、ボス戦死亡で最初からやり直しになった時は、久しぶりに「もうプレイしたくにゃい……」という気持ちにもなった不思議なゲーム体験でした。でも遊んじゃう。
ともあれこのあまりにも尖ったストロングスタイルの高難度は、多くのプレイヤーをふるい落としつつも、人によっては「これを待っていたんだよ……!」と深々と突き刺さることは間違いないでしょう。全国の腕に覚えがあるゲーマーの皆さんはゲームの秋ということで、是非挑戦してみてはいかがでせうか(丁寧な表現)。
タイトル:『EMPTY SHELL』
対応機種:Windows PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:Windows PC
発売日:2023年10月17日
著者プレイ時間:4時間
サブスク配信有無:記事執筆時点においては、無し。
価格:1,400円(2023年10月31日まで1,260円のセール中)
※製品情報は記事執筆時点のもの
スパくんのひとこと
苦労して辿り着いた最奥のボス戦で死亡すると精神的にキツいスパね。装備ロスト、マップ構造リセットで心が……折れ……