
『Life Is Strange』や『TELL ME WHY』で知られるストーリーベースのアドベンチャーゲームを数多く生み出してきたDON'T NODが、最新作となる『Jusant』をリリースしました。等身大の人物たちに焦点を当ててきた彼らが今回送り出してきたのは、崖登攀アドベンチャーでした! 今回は、そんな『Jusant』(フランスの航海用語で、引き潮をさす)の魅力を一足先にお届けしたいと思います。
本作はだだっ広い砂漠に聳え立つ巨大な塔をひたすら登っていくクライミングゲームです。LTが左手、RTが右手になっており、出っ張りやヘリを掴んで離すを繰り返していきます。直近のゲームだと『アンチャーテッド』シリーズや、古いものだと『未踏峰への挑戦』を思い出しましたね(あんな確実に折れてるような角度には曲がりませんが)。

場所によっては高所からロープを下ろしてラぺリングをしたり、長く垂らしたロープをターザンのごとく振り回してジャンプアクションをしたりと、思ったよりもずっとプラットフォーマーっぽい遊びが盛り込まれておりました。「あそこまで行くにはどう登っていけばいいんだろう?」と辺りを見回して正解のルートを見つけるのが好きな人にはたまらない作りになっています。
途中から相棒のバラストという生物も加わり、彼の力で自然を目覚めさせることで登攀ルートはさらに拡張されていきます。頭にお尻が付いているみたいな見た目ですが、やるときはやるヤツなんですね!

今作で注目したいのは、何と言ってもその絶景。終わりの見えない塔から見える眼下の砂漠や、塔のあちこちに見られるかつての生活の記憶が残る廃墟など、たったひとつのロケーションしかないゲームとは思えないほど変化に富んでいます。
超高画質なグラフィックというわけではありませんが、苔や岩の質感は充分に説得力があり、不思議な世界に迷い込んだ気分を盛り上げてくれます。
そもそも戦闘もなければ落下死もなく、カラビナを装備しない限り崖から落ちることもないので、自分のペースで登山ができます。一瞬の気の緩みで落とされる心配がないので、アクションゲームは苦手という人でも大丈夫です!

また、いわゆる環境ストーリーテリングについても見所があります。先述した通り、どうやらこの砂漠に聳える塔はその昔は漁師町だったらしく、そこら中に船や筏の残骸があります。当時の人々を思わせる手紙も残されていますが、そのほとんどはすでにジュサント(海が干上がってしまった事件)が起きてからのものです。
他にも、各地を探索することで、ビアンカという少女が残していった手記も読むことができます。彼女は水不足に悩む塔での暮らしに困って、雲の上を目指す遠征隊に参加したようです。彼女の物語を追いかけることで、海が干上がった問題や、雲の上に何があったのかなどといった大きな謎がちょっとずつ明かされるため、先が気になってどんどん進んでしまいます。


その他細かい点として、音楽の作りもグッドでした。物を蹴ったり、壁にぶつかったりする時の小さなSEや、全編を通して流れる環境音楽も多種多様で、非常に聴き心地が良かったです。
気になる点として、ロープがこんがらがったときの挙動がおかしくなったり、次に行くべき場所がわからなくなったりする点はありましたが、そこまで大きな問題だとは思いませんでした。絶景をゆっくり登りながら、ここで暮らしていた人々に想いを馳せましょう!
ストーリーと雰囲気が良くて、さらにロープアクションも面白いスパ! 隙が無いスパ!
タイトル:Jusant
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2023年10月31日
価格:3,050円(PC/Xbox Game Pass対象タイトル)
¥1,089
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
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