2023年11月29日、独立系ゲーム開発スタジオのROCKFISH Gamesの公式Xアカウントが、同日に発表されたドイツ・ハンブルクのゲーム開発会社Fishlabsの人員削減のニュースを受けて、「素晴らしい人材を常に探しています」と積極的な人材募集をアナウンスしました。
Fishlabsから解雇されるのは約50人。2013年に同社を買収した親会社PLAIONによる決定で、Xには「15年以上にわたり、Fishlabs のチームは最も愛されているゲームやクリエイティブなプロジェクトに心と魂と努力を注ぎ続けてきました。私たちは自分たちが築き上げたチームを常に誇りに思っています」とメッセージを残しています。
古巣に差し伸べられる元創設者らの救いの手……作ってるゲームジャンルも一緒でみんな幸せ?
これに対してROCKFISHは「非常に悲しいニュースです」「当社では、募集中の職種を積極的に採用しています」とXに投稿。実はROCKFISHを2014年にスタートしたMichael Schade氏とChristian Lohr氏の2人はそもそもFishlabsの共同創設者です。


2人は先述の買収劇直後に退社。Fishlabs時代に得意としていた宇宙フライトシムジャンル路線をそのまま続け、『EVERSPACE』でPC&コンソールゲーム開発に参入し、現在にいたるまで手堅い経営を行っています。一方で、Fishlabsも2人が独立した後も宇宙フライトシムの制作を続け、近作『CHORUS』も高い評価を博しています。今回の投稿は、創業者2人が約10年近くかかわった古巣のピンチ、そして両メーカーが得意とするジャンルに多くのノウハウを持つ人々に対し、(クリスマス前に)救いの手を差し伸べたと取ることも可能でしょう。
クリスマス直前でもゲーム業界では厳しい人員削減
既報の通り、2023年の海外ゲーム業界はスタジオ規模の大小を問わず非常に厳しい状況に置かれ、リストラのニュースが相次いでいます。
今回のリストラもFishlabsを買収したPLAION、そのPLAIONの親会社たるEmbracer Groupの再編が大きく影響していると、海外メディアのPocket Gamer Bizは分析しています。Embracerは傘下に100を超えるスタジオを擁するスウェーデンの大手ゲーム企業ですが、第4四半期の悲惨な財務状況と株価の45%下落といったニュースにより、今年6月にコストの10%(約7,430万ドル)削減を目的としたリストラプログラムを発表。
Pocket Gamer Bizは当時「Embracerは現在、17,000人近くの従業員を雇用しており、その数は年末までに減少するだろう」と予測し、10月にはハンガリーの子会社Digicが従業員の10%にあたる約35人を解雇。Fishlabsも同様の対応を今回迫られたものとみられます。