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「ゲーミングデバイス」……ゲーマーだったら心踊る響きです。我々ゲーマーという生物は、日々「ゲーミング」と名の付いた製品を探しています。ゲームをするときに使うことになるマウスやキーボード、ヘッドセットなどをお気に入りのメーカーのゲーミングデバイスで揃え、環境を作っていくのはゲーマーにとってひとつの小さな「目標」といってしまってもよいでしょう。世は、いつまで経ってもゲーミングデバイス戦国時代なのです。
そんなゲーマーにとって最近注目を集めているのは、なんと言ってもゲームストリーミングです。TwitchやYouTubeなどを用いた配信はもちろんのこと、近年ではDiscordなど通話ツールをつかった友人間のゲーム配信なども親しまれています。そんな中で目にすることが多くなってきたのが「ゲーミングカメラ」、そして「ゲーミングマイク」といったストリーミング/ボイスチャット向けのデバイスです。
そんな中、ゲーミングデバイスの大手である「Logicool G」ブランドからゲーミングマイクの新製品である「Yeti GX」と「Yeti Orb」という2つの新商品が発表されました。ということで今回の記事ではその2つのマイクをご紹介。主に「Yeti GX」にフォーカスし、Logicool G担当者によるデモンストレーションについてのレポート、そして実際に試用してみたインプレッションをお届けしていきます。ボイスチャットやストリーミングをしてはいるが、そろそろ音質にもこだわりたい……と考える方はぜひチェックしてみてください。
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こちらが「Yeti GX」です。Game*Spark編集部に届いた製品の実際の写真となります。マイク本体の大きさはやや小ぶりで、缶コーヒーをやや太くしたぐらいです。
外装や端子は極めてシンプル。光る「G」のロゴがワンポイントになっていて、ややミニマルなデザインでかっこいいです。価格は32,780円(税込)とのことで、筐体からもどことなく高級感を感じられます。
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「Yeti GX」本体を裏から見るとこんな感じ。マイクのゲイン(音量のようなもの)をコントロールするためのホイールと、ミュートスイッチがついています。ホイールの中心部は発光するようになっており、たとえばミュート時は赤く光るなど、マイクの状況が一目で把握しやすくなっています。
ホイールを押下するとオーディオロック機能が発動し、ホイールを上下してもゲインが動かなくなります。またホイールはLogicool Gのゲーミングマウス「G403」と同一のものを利用しているらしく、ファンに嬉しい仕様ですね。
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底部には、ソフトウェア「Logicool G HUB」を用いて色を変えることができるLEDリングがついています。配信者の場合は映像で映えるカラーリングにしてもいいですし、あんまりこだわりがない場合はもちろんオフにもできます。端子はUSB-Cのみで、XLRなどには出力できないようです。
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XLR端子とはこういう感じのやつで、バンド経験があったり放送部や演劇部だったりすると見たことがあるかもしれないですね。「Yeti GX」にはXLR端子がないので、基本的にはオーディオインターフェイスなどを間に挟むことができず、直接USBでPCと接続します。「ヴォーカル録音」的な用途にはあまり適していないということでもあるので、完全に「ゲーミング」用途に割り切った作りですね。
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スタンドからマイクを取り外すとこんな感じ。スタンドはさらに底部を取り外すことができて、マイクをマウントする上部をマイクスタンドやマイクアームなどに取り付けられます。
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マイクにも同じ口径のネジ穴が開いており、このアダプターを使うことでスタンドと同じように一般的なマイクアームなどに装着可能です。要は「スタンドのマイクをマウントする部分ごと、マイクアームにつける」か「マイク本体のみ、アームに装着するか」を選べる、ということですね。マイクアームには上から下げたり下から狙ったりなど様々な設置方式があるので、そういった様々な方向に対応できるよう、ということでしょう。
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「Yeti GX」の最大の特徴は、ゲーミングマイクとしては珍しい「ダイナミックマイク」であること。マイクには主に「コンデンサーマイク」と「ダイナミックマイク」の二種類があり、よく言うのがコンデンサーマイクのほうが繊細な音を拾える(もちろん一概には言えませんが)ということで、個人的にも音楽用途の録音で用いるならコンデンサーマイクのほうが好まれている印象があります。
逆に、ポッドキャストの録音用途などではダイナミックマイクが用いられることも多くあります。代表的な製品としてはShureの「SM7B」や「MV7」などが挙げられるでしょう。いずれも人気製品なので、Twitchの配信などで「見たことがある」という人も多いと思います。
「Yeti GX」はダイナミックマイクの特性を生かし、そういった「繊細な音」ではなく声を集中的に拾うような仕様になっている、とのこと。内蔵型ショックマウントも搭載で、ノイズを廃して声が聞きやすいことに注力されているようです。筆者も一般的な「ゲーミングマイク」という製品がコンデンサーマイク中心で展開されているのを常々「なんでだろうな」と思っていたので、我が意を得たりという感じでした。
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続いて、実際に筆者が「Yeti GX」を持ち帰ってDiscordでの通話で試用してみました。普段使っているダイナミックマイク(購入時は25,000円ぐらいのもの)と比較するなどしてGame*Sparkの編集者に通話音質を比べてもらいました。
まず、Discord上のノイズキャンセリングを切った状態であっても、ショックマウントや「G HUB」上で動くBlue Voiceを用いたノイズキャンセリングはかなり優秀とのこと。ただし効きが強いせいか、ややアタック感(音の出始め)が減衰したような印象がある、との感想もありました。
通話や配信などではアタックでボリュームが出過ぎることが問題になる場合も多いので、まさに「ゲーミングマイク」といった性能だと思います。このあたりはちゃんと設定すれば気にならないようにできるでしょう。
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Blue Voiceではノイズリダクションのほか、ディエッサー(サ行の不快な部分を抑えるもの)を調整できる点が優秀だと感じました。その他、おまけ的な要素としてエフェクトやサンプラーなども搭載しています。
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筆者の既存マイクと比べつつノイズリダクションを試したりなどした通話の感想として、編集者の意見をまとめると「Yeti GXのほうが通話で聞き取りやすいのは間違いない」とのことでした。
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最後に、同時に発表された「Yeti Orb」に関してもご紹介。こちらは実際には試用していないため、あくまでプレゼンテーションを受けた印象となりますが、まず「見た目がめっちゃかわいい」というのが特徴です。「Yeti GX」とは異なり、コンデンサーマイクとなっているよう。Logicoolの担当者に音声通話越しで「Yeti GX」と交互に使用してもらったのですが、「GXより音質が悪い」とはまったく感じませんでした。むしろ人によっては「GXよりOrbのほうが音質的に好み」と感じることもありそうです。これは性能の良し悪しではなく、コンデンサーマイクの特性上そう感じられるのでしょう。
ただ内臓ショックマウントの搭載などもあり、配信者が話すために使うとなると「Yeti GX」のほうが優れているようでした。「Yeti GX」はゲーム配信や通話、音声収録などに特化して作られており、まさに「ゲーミングマイク」の名にふさわしい商品だと思います。今後ラジオ収録などにも利用していきたいと思っているので、音質が気になっている方はぜひ聴いてみてください。