中国のデベロッパーXDは、基本プレイ無料タクティクスRPG『鈴蘭の剣：この平和な世界のために』を2024年にPC/モバイル向けに配信予定です。
本作は、中世のファンタジー世界を舞台にした作品。クラシカルなピクセルアートと最新の3D技術を融合させたグラフィックが特徴で、さまざまな謀略が渦巻く引き込まれるストーリーや遊びやすく奥が深い戦略バトルを楽しめます。やりこみ要素も豊富に用意されています。
プレイヤーは傭兵団の団長として部隊を育てながら、さまざまな戦場に立ち向かいます。「定められた運命を変える力」が重要な本作では、プレイヤーの選択が展開を大きく変えるマルチエンディングシステムを採用。『タクティクスオウガ』『戦場のヴァルキュリア』など多数の作品を手掛ける崎元仁氏の音楽も物語を盛り上げます。
本記事では、Steamにて配信された『鈴蘭の剣：この平和な世界のために』体験版のプレイレポートをお届けします。
運命に抗う主人公の物語
今回の体験版ではメインストーリーを中心としたプレイが可能。現時点で日本語字幕には未対応ですが、音声は吹き替えされており、劇中のストーリーでは小清水亜美さんや鈴代紗弓さんら豪華声優によるフルボイスの演技を楽しめます。
本作の物語は、主人公が牢屋で目を覚ますシーンから始まります。自分がなぜここにいるかも思い出せないまま、新たな囚人が連れられてきます。ここで「入れ！モタモタするな！」という一般兵のセリフですらボイス付きなのに驚きます。兵士たちの策謀によって主人公は他の囚人と共に殺されそうになりますが、危機一髪の場面で他の囚人を助けに来た女性・ラヴィアによって助けられます。
ここで最初のチュートリアル戦闘が始まります。基本的な移動や攻撃、スキルの使い方などを学び、唯一生き残った主人公はラヴィアの仲間のマイヤとファカールと一緒に牢屋からの脱出を目指すことに。しかし、待ち構えていた兵士によってラヴィアは殺され、残された3人もやがてクーデターの波に飲み込まれて最期を迎えてしまいます……。
死んだはずの主人公ですが、意識の底から語りかける声に応えて、いつの間にか不思議な空間にいることに気づきます。そこを守る猫曰く、ここは“主人公の願いを叶える場所”であり、危険な星の海の先にある「道標」を目指せば運命を変えることができるとのこと。
マイサとも再会して力を合わせながら【運命の輪】を入手した主人公は、あの日に死を迎えた牢屋で、再び運命へと挑みます。そうして無事に街を抜け出した主人公は、ラヴィアが率いる傭兵団「鈴蘭の剣」へと参加して大いなる運命に立ち向かうことになるのです。
コンパクトながら戦略性の高いバトル！
ゲーム内のバトルは高低差のあるマップで行われ、キャラクターごとに行動順が決められています。ユニットは職業ごとに属性が設定され、それぞれ得手不得手を考えながら行動しなくてはいけません。戦闘では敵を全滅させる、目標を倒す、規定ターン数生き残るなどさまざまな勝利条件があります。
ユニットは通常攻撃のほかスキルが使用可能。スキルにはクールダウンが設定されていますがいずれも強力で、ノックバック効果などの追加効果を与えるものもあります。また、キャラごとの特性もあり、スキルとの組み合わせでさまざまな戦術も狙えます。ただし、基本的に敵の数が多く相性ダメージが大きいので、下手に突出すると危険です。
戦闘では地形を利用することが重要です。マップ内には攻撃を加えると周囲にダメージを与える火薬樽や移動を阻害する柵などがあり、上手く使えば大幅に戦況を好転できます。また、ノックバックで敵を穴に落としたり、敵の進路を燃やして燃焼ダメージを与えるなどの戦略も狙えます。
マップの大きさを含め戦闘はコンパクトに纏まっています。いかにして自軍を有利にするかをしっかり考え、地形やスキルを活用しなくては一気に敵に攻め込まれてしまいます。マップによっては、岩を転がして一網打尽できるようなギミックも用意されています。
なお、主人公はメインストーリーでは「指揮官」として扱われます。ストーリーが進むと指揮官としてのスキルが使えるようになり、罠やダミーなどを仕掛けたり、仲間を回復することができるようになります。指揮官専用画面で地形や戦力を見るというUIも、個人的に好みです。
複数のストーリーで物語を体験
『鈴蘭の剣』体験版での物語は、「愚者の旅路」「運命の螺旋」の2つのモードを中心に進行していきました。「愚者の旅路」はいわゆるソーシャルゲームにあるタイプで、スタミナを消費しながら入手した仲間や装備でステージを攻略していきます。
ユニットはレベルやランク、装備などがありレア度によっていろいろな違いもあるようです。今回の体験版では初回10連ガチャでレジェンダリーのマイサが出たものの、これはストーリーに関わるチュートリアルのようなものだと思われます。「愚者の旅路」モードはごく序盤のみ遊べましたが、この範囲だと低レアのキャラでも十分戦力になりました。
「運命の螺旋」はストーリーモードのような内容で、さまざまな国や勢力、そして主人公の所属する傭兵団【鈴蘭の剣】による物語が描かれます。このモードでは仲間キャラクターがガチャではなくストーリーとともに加入するので、いろいろなキャラクターを操作しながら楽しめます。
体験版では、序盤に「【鈴蘭の剣】の本拠地がある街を発展させる」という目標が用意されています。戦闘クエストや仲間の派遣などを進めて発展度を上げると、いろいろな施設がアンロックされ、仲間の育成や回復ができるようになります。また、時間が進むとイベント戦闘が発生し、ストーリーが進行していきます。なお、こちらのモードに「愚者の旅路」で育成した仲間を連れて行くこともできるようです。
開発元によれば、このモードを繰り返して街の発展や育成、ストーリーなどを変えることもできるようです。また、このモードを進めるためには「愚者の旅路」も進める必要があるようで、2つのモードは密接に結びついています。
『鈴蘭の剣：この平和な世界のために』体験版では、とても遊びやすく、コンパクトで戦略性の高いバトルが楽しめました。戦場があまり大きくないからこそ、敵にどう対処するか、どれだけ有利になるかを考えながら、“あるものを活かすゲームプレイ”を志すことが重要です。
「運命の螺旋」は王道なスタートと驚きの展開、そして運命を変えるテーマの本作の物語がマッチして非常に丁寧に進行していきます。クエストもそれなりに歯ごたえがあり、いろいろな仕掛けやイベントもあるので戦闘もストーリーも楽しめるのは良い部分だと思います。
ただし、あくまで体験版であり、メインの「愚者の旅路」に関してはあまりプレイできませんでした。そのため実際の課金部分や深い育成に関しては判断できませんが、タクティクスRPGとしては十分楽しめる作品になっているのでは、というのが現時点での印象です。ゲーム画面もBGMも良いため、雰囲気の良さも抜群です！
カジュアルで奥深い戦略バトルが楽しい！運命を描き出す今後のストーリー展開にも期待スパ。
タイトル：『鈴蘭の剣：この平和な世界のために』
対応機種：PC（Steam）/iOS/Android/TapTap
記事におけるプレイ機種：Steam
発売日：2024年予定
記事執筆時の著者プレイ時間：8時間
価格：基本プレイ無料
