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eスポーツに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからのeスポーツシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【eスポーツの裏側】。前回の連載では、一般社団法人日本eスポーツ連合(以下、JeSU)で理事を務め、横浜市をホームタウンとしてeスポーツ事業を展開するVARRELの代表取締役社長でもある鈴木文雄氏にインタビューを実施。「League of Legends Japan League」を立ち上げるなど、日本のeスポーツ黎明期から携わる鈴木氏から見た日本のeスポーツシーンの変化やJeSUが開催する「日本eスポーツアワード」の裏側について話を伺いました。
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第40回目となる今回は、『beatmania』シリーズや『DanceDanceRevolution』シリーズ、『GITADORA』シリーズ、『pop'n music』シリーズなどの数多くのリズムアーケードゲームを提供しているコナミアミューズメント esports推進室 室長の植松斎永氏にインタビューを実施。同社が開催する「BEMANI PRO LEAGUE(以下:BPL)」の盛り上がりやコミュニティに寄り添ったeスポーツ大会の運営方法についての裏側に迫りました。
[インタビュアー:森 元行]
――植松様の簡単な自己紹介をお願いします。
植松斎永氏(以下、植松)コナミアミューズメントで2020年に発足されたesports推進室で2021年から室長を担当している植松です。2020年までは『GuitarFreaks』や『DrumMania』などのアーケードゲームタイトルをサウンドクリエイターとして担当していました。
――2020年にesports推進室が発足されたとのことですが、それまで大会などはありましたか。
植松以前から「BEMANIトップランカー決定戦」や「KONAMI Arcade Championship」という形で、ゲームセンター/アミューズメント施設の一番のツワモノを決めるゲーム大会を10年以上に渡り開催していました。BPLの立ち上げ当初、コナミグループでは先行して野球ゲーム(『パワフルプロ野球』)とサッカーゲーム(『ウイニングイレブン』)がeスポーツとしての取り組みを進めているタイミングで、『beatmania』でも本格的なeスポーツプロリーグを立ち上げられないか、という企画の骨子が立ち上がりました。
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もともと音楽が軸足にあるゲームですので、イベントとして他にない、新しい体験としてのeスポーツとは?と検討した結果、「音楽×esports」というコンセプトの元、インタラクティブ性の高いDJによる音楽演出・シーン演出で最大限に試合を盛り上げるeスポーツを開催できたら面白いのでは?ということで今のBPLが形作られました。
――タイミング的にはコロナウィルスの影響で緊急事態宣言が出たタイミングですね……。
植松正直、大変な部分も多かったです。元々はオフラインで有観客、みんなで盛り上がって音楽ゲームを楽しむという取り組みを想定していたのですが、実施が難しくなり収録番組として進めることにしました。初年度は「3密」を避けることを徹底しながら、しっかり手指消毒もして、エンジニアもしっかりと距離を取って……という形で実施しました。2022年からは決勝戦のみ有観客で開催することができ、東京ドームのプリズムホールで観客のみなさまに集まって頂きました。チケットは即完売だったと記憶しています。
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2023年の3月には渋谷のヒカリエホールにて、同年10月には品川インターシティホールにて有観客で大会を実施しました。2024年の3月20日には船橋アリーナにて大会が開催されます。現時点ではチケットは販売終了しているのですが、この記事が掲載されている頃には再販を始めているかと思います。
――いろいろなリズムゲームを運用していますが、リーグがあるタイトルは。
植松現在は『beatmania IIDX』 と『SOUND VOLTEX』、『DanceDanceRevolution』
の3タイトルがリーグ化をしています。この3タイトルはそれぞれに競技性をしっかり持たせられるタイトルであるからという理由で採用しています。
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――BPLの運営は他のゲームタイトルとは少し違った運営をしていますね。
植松BPLでは、ゲームセンター/アミューズメント施設のオーナー企業様(「GENDA GiGO Entertainment」や「ラウンドワン」など)がチームを運営しています。なので「ROUND1」対「GiGO」みたいな形にもなります。意外にこの運営方法も知られてなかったりするので、ぜひこの機会に興味を持って頂きたいです。
参戦企業/チーム(五十音順)
共和コーポレーション/APINA VRAMeS
GENDA GiGO Entertainment/GiGO
レジャラン/GAME PANIC
マタハリーエンターテイメント/SILK HAT
タイトー/TAITO STATION Tradz
ラウンドワン/ROUND1
山﨑屋/レジャーランド
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「ゲームセンター/アミューズメント施設にたくさんの人が集まる」ということを最大化させていきたい、そのためにはやはりオーナー企業様やオペレーター様達と一緒にこの座組でプロリーグを盛り上げるとゲームセンター/アミューズメント施設も盛り上がるよね、という議論は立ち上げのタイミングからしていました。アミューズメント業界全体を盛り上げる施策であれば、店舗を運営する法人の皆様にチームを持ってもらい、eスポーツの活性化によって、コナミだけでなく業界全体が盛り上がる構造にしたいという思いから生まれたアイディアです。
BPLのプロ選手は、アミューズメント施設のオーナー企業様が運営するチームに所属する形になります。選手がプロチームに所属し、ユーザー同士とは別のコミュニティ形成によるチーム間の交流やライバル意識が生まれることによって、さまざまなシナジーが生まれていると感じています。
プロ選手を決める際には、まず「プロになりたい人」を募集をして、一人一人のゲームタイトルにおけるスコアのデータを確認して、1on1の面接を行います。その後、プロ野球のドラフトと同様にゲームセンター/アミューズメント施設のオーナー企業様を集めてドラフト会議を行います。こちらのドラフト会議の様子は動画で配信していますのでぜひ見てみてください。
――なるほど。ドラフト会議を経て、リーグに突入していくのですね。
植松『beatmania IIDX』では7月から月に一度の試合が開催されて、10月にファイナルを迎える、というサイクルで回しています。本当は誰でも気楽に参加できる大会というのもあるべきだなと思っているのですが、まずは格式高くしっかりバシッとやっていこうと。
――数年間、プロリーグを運営してきて周りの反響はいかがですか。
植松選手エントリーは初年度から定員数を大きく上回る応募を頂いており、注目度の高さとユーザーの期待度の高さを感じました。一方で賞金総額の大きな大会含め、さまざまなコンテンツで世界大会が既に行われている状況でもあり「ビジネスとしてはどうなのか」「スタープレイヤーはほんの一握り」という、一般的な興行ビジネスにも似た現象も課題として認識しています。
――リズムゲームのeスポーツリーグと言われても、なかなかピンとはこないかもしれません。
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植松「音楽は言語の壁を超えて、万国共通である」ということをまずは信じています。加えて、そこにゲームの要素を加わることで「eスポーツはさまざまな障害を超えていく」と言われていることと合致すると思っています。「行けばきっと楽しい」をコンセプトに、純粋にイベントとして「とりあえず行けば何か楽しいことがある!」という”フェス”のような形態を目指しています。そこに行けば『beatmania』があって、DJがかける音楽があって、同じ話ができる友達がいて。将来的に、全国にあるさまざまなゲームセンター/アミューズメント施設のどこに行っても「BPLが楽しめる!」「そこには一緒に楽しめる仲間がいる!」、そのために、まずはBPLでその体験を最大化して、人生でトップ3に入る感動体験に仕上げたいと考えています。
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――選手やファンはどのようなユーザーが多いのでしょうか。
植松『beatmania IIDX』 は本当にそのゲームを極めてるユーザーさんが多いです。『SOUND VOLTEX』の方はもう少し年齢層が若く18 歳~30歳といったところでしょうか。
著名人では、「BEMANI PRO LEAGUE ZERO」で監督としてTEAM MIRINを率いたでんぱ組.incの古川未鈴さんや選手として活躍されたyunocyさんも『BEMANI』シリーズの『beatmania IIDX』をかなりプレイしてくださっています。
――BPLの魅力とは何でしょうか。
植松各タイトルが好きなユーザーさんはもちろんですが、何より、多くの楽曲が収録されているので音楽好きな方にも楽しんでもらえると思います。また『SOUND VOLTEX』では曲を作って頂いたクリエイターの方が実況解説などをしているので、例えば、サウンドクリエイトをしている方も楽しめると思います。クリエイターさんが大会終了直後に新曲を発表して、その流れで発表されたばかりの新曲での試合を行うこともあり、そういった時は非常に盛り上がりますね。見どころはたくさんあるので、ぜひ!
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――BPLの目指している姿を教えて下さい。
植松音楽にはいろいろな可能性があると考えています。嬉しい時に聞く曲、悲しい時に聞く曲、元気付けられた曲。音楽との出会いによって価値観が変わったりもします。BPLでは積極的に音楽を流していますので、そういう音楽に出会える場、という一面もありますし、そもそもリズムゲームが面白いよね、というエンタメとして楽しんでいただける場、そして、仲間で集まって一緒に何か一つのゲームを楽しむ場、その空間自体がそもそも面白い場。もっと大きい規模で3,000人や5,000人が集まってみんなで音楽とゲームを楽しもうよ、というような場を目指しています。
――ここ数年で日本のeスポーツの注目度はいろいろな変化をしてきました。この変化をどのように捉えていますか。
植松ただ単に「eスポーツ」という言葉を活用していれば若者やZ世代にリーチできます!というフェーズは超えてきたかな、と捉えていますし、きちんと各タイトルやリーグ毎の特性が出始めてきていると思います。見方を変えると「eスポーツ」という大きい括りではなく「各タイトルごと」にそれぞれの「文化」が醸成されてきていると見ています。
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――最後にこの記事を読んでいる読者に対してメッセージをお願いします。
植松BPLはまだまだ発展途上です。本当は選手にもっといい思いをしてもらったり、もっと一緒に高いところに登っていきたいという思いはあるのですが、現実的には選手に負担をかけてしまったり、視聴者の皆さんからも色々な気づきを頂きつつも、「音楽はいいよね」、「ゲームは楽しいよね」、「すごいプレイを見たいよね」という気持ちが無くなることはないと思うので、一緒に引き続き盛り上げていきたいです。
BPLを見たことがない方には「音楽がいっぱい揃ってます」ということと、eスポーツと言っても他のタイトルとは全く毛色の違う熱いチーム戦がここにある、というところを見ていただければなと思います。それを体感できる場所はみなさまの街にありますので、ぜひ近くのゲームセンター/アミューズメント施設にも足を運んでみてください。過去のおすすめ動画もまとめてみましたので、ぜひ以下より見てみてください。
おすすめプレイリスト「BEMANI PRO LEAGUE -SEASON 3- SOUND VOLTEX 全試合」
――ありがとうございました。
◆読者プレゼントのご案内
インサイド、Game*Spark、e-Sports Business.jpの各Xアカウントをフォロー&対象のポストをリポストをしていただいた方の中から抽選で3組6名様(各メディアにつき1組ずつ)に、3月20日(水)に千葉県・船橋アリーナで開催される「BEMANI PRO LEAGUE SEASON3」の現地観覧チケットをプレゼントします。
対象のポストは下記リンクをご確認ください。
締切:2024年3月19日(火)正午
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