505 Gamesは、Rabbit & Bearの手がける新作JRPG『百英雄伝』を、PC (Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One(Game Pass対応)/ニンテンドースイッチ向けに2024年4月23日発売します。現在一部プラットフォームでは、デラックスエディションを含め予約受付中です。
本作は『幻想水滸伝』シリーズの元スタッフが開発しているRPG作品。多彩な種族や文化が入り交じる「オールラーン大陸」を舞台に、それぞれの信念や想いを持つ3人の主人公と100人を超える英雄たちが、戦乱や陰謀へと立ち向かう冒険を行います。
2020年に開催されたKickstarterキャンペーンでは、同年のビデオゲームジャンルで最高額となる支援となる記録を達成。2022年には、本作の前日譚を描くアクションRPG『百英雄伝 Rising』(開発:ナツメアタリ)もリリースしています。
本記事では、発表からおよそ4年の開発を経てついにリリースされる『百英雄伝』の先行プレイレポートをお届けしていきます。
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懐かしくもゴージャスで美しい世界
今回の先行プレイプレビュー版では、主人公のひとり・ノアを操作するゲームの序盤を体験できました。物語はノアが出身地の村から、諸国連合の警備隊に参加するシーンからスタート。警備隊長の獣人ガオウ、鋭い雰囲気を持つ女性剣士ミオ、元気一杯の格闘娘リャンが仲間に加わり、さっそく初任務へと赴くことになります。
この世界では、人々に魔力を与える「魔導レンズ」が存在し、ときにその力を巡って争われてきた歴史があります。今回、とある遺跡で特別な魔導レンズが発見され、諸国連合と強大な軍事力を持つ「ガルディア帝国」が共同で調査に当たることになり、ノアはそのメンバーとして参加することになります。
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ここで帝国士官で主人公のひとり・セイたちが合流し、探索チームは6人パーティーに。基本操作を学びながら遺跡へと向かいます。戦闘や移動、探索に関してはとてもオーソドックスなRPGシステムで、敵との戦闘はランダムエンカウント式が採用されています。
最初はぎこちなかったノアやセイたちとの関係は、強力なボスとの戦闘、ダンジョンギミックの突破、思わぬトラブルなどを通じて変化していきます。そして、調査隊が発見した特別な魔導レンズ「原初のレンズ」によって、物語が大きく動き出していくのです。
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実際にプレイしてまず感じるのは、2Dのドット絵で描かれたキャラクターたちの活き活きした雰囲気と、微細に描かれた3D背景の融合によって醸し出されるゴージャスな世界でした。キャラクターの個性を感じさせるような、多彩な動きのアニメーションがとても印象的です。
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敵味方入り交じる戦闘はやりごたえ抜群!
本作の戦闘はターン制のコマンド選択方式。プレイヤーは各ターンごとにキャラクターの行動を指定するか、行動をお任せするかを選択可能です。敵と味方の行動順は画面上部に表示されていますが、特別なアクションによっては順番が入れ替わることもあります。
戦闘では基本的な武器攻撃のほか、それぞれが持つ魔導レンズによる技や術も使用できます。技の場合はターン毎に溜まるSPを、魔法の場合はMPを消費する必要がありますが、MPは自動回復しないので魔法の使い所を見極めることが大切です。逆にSPはターンで増えていく代わりに上限が決まっているので、技は気軽に使えます。
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ゲームが進めば、特定のキャラクターの組み合わせによる「英雄コンボ」も使えるようになります。発動には対象キャラ全員のSPとターンを消費しますが、強烈なダメージや効果を持っている心強い攻撃です。プレビュー版で使用できる英雄コンボには、戦闘での使用回数などはありませんでした。
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また、戦闘によってはフィールドオブジェクトを作動させる「ギミック」が用意されています。例えば壁に隠れて敵の攻撃を避けたり、隠れている敵を狙ったりと、状況によってさまざまなギミックがあり、上手く利用することで戦闘を大きく有利に展開できます。
戦闘はかなり敵の攻撃が強烈で、油断すると仲間たちは簡単に倒されてしまいます。回復アイテムや魔法はもちろん、敵の行動前に集中攻撃する、防御行動を活用するなど、しっかりと筋道を立てて仲間を生かす戦略を立てることが大切です。倒れた仲間は戦闘後復活しますが、その戦闘での経験値は入りません。
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ボス戦では、強力な攻撃の予備行動への対策なども対策必須。じっくりと考えて最適の行動を導き出す、コマンド戦闘の楽しさがぎっしり詰まっています!
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英雄達は性格も能力も個性抜群!
体験版ではノアを中心とする仲間たちの活躍が描かれ、その道中で多くのメンバーが加入します。本作は前衛3人、後衛3人の最大6人パーティー制で、本拠地でメンバーを交代可能です。編成では「サイズの大きい仲間は2人分の枠を取る」というルールもあります。
各メンバーは魔導レンズを利用したさまざまな能力が使用でき、ゲーム内では「ルーン」の入れ替えによってステータスをアップさせたり、新たな力や耐性などを身につけることも可能です。魔法適性があるキャラであれば、水や火など属性ルーンによって使える魔法が変化します(体験範囲では使える魔法は各キャラ共通)。
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ルーンはレベルが上がれば複数装備できるようになりますが、装備できるルーンの種類は決められています。また、武器は街の鍛冶屋で性能を上げ、防具は店や宝で入手したものを付け替える仕様です。個性を伸ばすか、足りないものを補うのか。ルーンや装備はもちろん、仲間の組み合わせによってもチームのバランスは大きく変化します。
また、今回のプレビュー範囲では触れられなかったものの、ゲーム内には本拠地を発展させるシステムも用意されています。ゲーム内では本拠地発展用の木材などの素材を収集できるポイントがあるほか、料理の食材などもあるため、プレイを進めていくことで新たな体験と出会えそうです。
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お人好しのノア、生真面目なセイ、ムードメーカーなリャン、正義の魔法少女メロールなど、登場するキャラクターたちは個性抜群。戦闘やイベントでもボイス付きで魅力的な姿をたっぷり味わえます。開発では100人超のメンバーが「いかに生き生きと描き、活躍させる場を用意できるか」を考えているとのことなので、冒険と共に賑やかになっていく本拠地の発展も楽しみです。
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『百英雄伝』は、とてもオーソドックスでやりごたえのあるRPGの醍醐味を楽しめるだけでなく、現代のゲームだからこそ実現できたグラフィックやアクションなどが融合した「とてもゴージャスで、どこか懐かしいRPG」が体験できます。仲間の編成や育成、やりごたえのある戦闘など、プレイヤーごとの戦略が活かせそうなシステムも好印象です。
奥行きによって描写が変化するマップ内は、キャラを動かしているだけでも変化があり、隠された宝箱探しや素材集めもテンポよく楽しめます。ストーリーもキャラクターの個性や世界観が魅力的に描かれており、体験範囲が終わった今も、筆者は続きが気になって仕方ありません。
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なお、2024年2月に、本作の脚本・ゲームデザインを務めていた村山吉隆氏が急逝されたことが公式サイトにて発表されました。魅力的な『百英雄伝』の企画をスタートした方であり、ユーザーの声が届く発売直前に亡くなられたことが残念でなりません。
今回のプレビュー版は長い範囲ではなかったものの『幻想水滸伝』の生みの親が新たに作り出した、RPGの楽しさをたっぷりと味わえました。いよいよ発売日も間近に迫った『百英雄伝』という素晴らしい作品を、多くのユーザーが楽しめることを祈っています。