武器を撃ちまくってステージを突破する「ラン&ガン」系アクションゲームは80年代より続くジャンルです。近年では『Cuphead』や『マイティ・グース』などインディーを中心にヒットした作品も見られます。
一方で大手が発売するラン&ガンゲームは現代では少なく、シリーズが止まっているものもしばしば……。そんな中、金字塔である『魂斗羅』が正統派な2Dアクションとして見事なリブートを果たし、経験者から初心者まで満足させる作品に仕上がっています。
本記事では、3月12日に発売した『魂斗羅 オペレーション ガルガ』のレビューをお届けします。PC版をXboxコントローラーを使用してプレイしており、コナミデジタルエンタテインメントから提供されたゲームキーを利用しています。
「狙い」と「避け」が超重要!
本作は、ACやファミコンなどで発売されたシリーズ第1作目『魂斗羅』をベースとしたリブート作です。謎のテロリスト集団「レッドファルコン」によって占拠されてしまったガルガ島を舞台に、ビル・ライザーとランス・ビーンの2人からなる海兵隊最強の“魂斗羅部隊”が真相に迫るべく、脅威に立ち向かっていきます。公称では本作はリメイクとなっており、第1作目をベースに新たな展開が描かれます。
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ゲームプレイの流れは、2D横スクロールのステージでザコ敵を倒しながら進み、最後に待ち受けるボスに挑むというものです。Xで射撃、Bでジャンプを行えるほか、Y/Bでダッシュも可能。RTで立ち止まって右スティックを動かすことで精密なエイミングができます。
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ステージ中に現れるポッドを破壊すると武器が手に入ります。武器には連射速度の早いマシンガンや3WAY射撃ができるスプレッドガン、威力が低めな代わりに狙わなくても敵を追尾するホーミングミサイル、複数の敵を貫通できるレーザービームなど全6種。そのうち最大2つを装備できます。それぞれ性質が大きく異なるので、状況やプレイスタイルにあわせた武器を選択することになります。
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武器には特別な機能があります。ひとつは同種の武器を入手することでアップグレードすることが可能で、一度だけ性能がアップします。マシンガンであれば発射レート上昇、スプレッドガンであれば5WAYへの増加など、より敵を倒しやすくなります。一方でデフォルトではダメージを受けるとダウングレードしてしまうので、緊張感も高まります。
もうひとつは、LTを長押ししてオーバーロードさせるというもの。オーバーロードさせた武器は壊れてしまうものの、画面内に非常に強力な攻撃を繰り出すことができ、不利な戦況を覆しやすくなります。
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本作で重要なのは、「狙うこと」と「避けること」の2つ。走りながらの射撃だけでなく、立ち止まってRTで固定エイムをすることも重要です。苛烈な攻撃の中、正確に狙って倒さなければいけない……という緊張感や、1対多の戦闘を次々といなしていく爽快感があり、360度射撃ができるようになった本作ならでは魅力を感じられます。一方で立ち止まる頻度も多く、原作のような常に十字キー右と射撃ボタン押しっぱなしで進むような爽快感はやや薄れています。
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画面上には多くの敵が登場して弾を撃ってくるので、ジャンプやダッシュを活用して避けることが必要です。弾速は遅めなのでしっかりと見れば基本的にかわすことができるようになっています。しかし思わぬところから敵が出現したり弾が見えづらい場面があったりと、やや納得感のないミスを誘発する場面があり、後半はより顕著になります。ここはもう少しブラッシュアップがほしいと感じさせられる部分でした。
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ロケーションはFC版おなじみのジャングルから始まり、ガルガ諸島に元から住んでいた人々が暮らす村や謎の実験施設、果ては電車の上などバリエーション豊富。大作AAAゲームほどリッチなビジュアルではありませんが、3Dなりにステージごとにまったく異なる風景が広がります。
アクション面でもただプラットフォームアクションをするだけでなく、崖を上へ上へと登ったり、車両に乗ってチェイスしたりと手に汗握るシチュエーションが多数展開。ボス戦も使い回しはなく、それぞれが違う特性や仕掛けで攻撃してきてプレイヤーを飽きさせません。
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一方で、チェックポイントの置き方には工夫が欲しかったところ。本作は1ステージが長く、クリアまで8分から長ければ20分近くの時間がかかります。それ自体は濃密な体験をもたらしてくれるので悪くはないのですが、ボス戦の手前にチェックポイントがないことが多いところは気になる点です。
全体的に難しめな本作ですが、ボス戦だけでも十分辛口なので、再度苛烈な道中をプレイさせる必要性を感じません。また、キャラチェンジなどを行うと進行度がリセットされてしまうという問題もあります。このあたりはもう少しスマートな作りにできたのではないでしょうか。
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グラフィックは3Dになっても操作のレスポンスの良さはピカイチ。ジャンプやしゃがみ、左右への向き直りは無駄なモーションもなく一瞬で発動できるので、本作のゲームプレイには非常にマッチしています。時折粗が見えるものの、「避け」「狙い」というラン&ガンが持つ醍醐味をしっかり持っており、リブートとして正しい作りと言えるでしょう。
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物語にはあまり深みはなく、旧作ファンがニヤリとさせられるような要素は多数あるものの、後味はかなりあっさりとしています。ただ、キャラクターデザインや性格は魅力的なものも多いので、どのキャラも1回は使ってみたくなるように感じさせてくれます。
初心者でも遊びやすい、しかし難易度も高い
久々の正統派2Dラン&ガンとして骨のある出来となっている本作ですが、ジャンル初心者および現代のゲームシーンに配慮した作りも欠かしません。原作ではシビア過ぎた“一撃死”ですが、本作ではHP制を選択できるようになっており、デフォルトでは2回までの被弾が許されます。本作でシリーズ初導入されたというわけではありませんが、復活にあたって間違いなく必要なものだったといえるでしょう。
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だからといって、難易度が低くなってしまっていないのが本作のミソ。しっかりとプレイヤーを殺しにくる激しい作りになっており、熟練のアクションファンは満足できるはずです。
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どうしても突破できないとなっても、打開策はあります。それはステージクリアなどで貯まっていく「魂斗羅コイン」を貯めて強化パークをアンロックしていくというもので、HP増加や開始時にデフォルトで武器所持などの強化を最大2つセットすることができます。
難しく何度も挑まされるうちに魂斗羅コインが貯まっていき、難易度が徐々に下げられるようになる……という作りは、一度『魂斗羅』らしい辛口さを味わってほしい!という開発者の意図が感じられて好印象です。魂斗羅コインの貯まりがやや遅めであるという問題はありますが、いちアクションゲームファンとしてこのデザインは支持したいと思わされました。
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ストーリー以外のモードも遊びがいのあるものが用意されています。ストーリーモードでは最大2人プレイですが、サクッと遊べるアーケードモードでは最大4人までに広がり、仲間とワイワイ楽しめます。オンライン要素がないのが玉に瑕ですが、幸い近年ではPSであればシェアプレイ、SteamであればRemoteplay Togetherや仮想ローカルマルチ環境を築ける環境があるので、プラットフォームによってはさほど問題にはならないでしょう。
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チャレンジモードでは、特定武器限定やタイムアタック、敵の大群と戦うなどさまざまな課題が課せられたミッションに挑むことができ、本編とは一味違ったゲームプレイを楽しめます。ストーリーモードが難しすぎてどん詰まりした……というときは、アーケードやチャレンジで息抜きして、ついでに魂斗羅コインを貯めるという遊び方をすれば大きなストレスにはならないはずです。
『魂斗羅 オペレーション ガルガ』は、2Dラン&ガンアクションの金字塔としてあるべき姿の作品として、現代に蘇っています。シリーズが持っていたアクションの面白さや手に汗握るシチュエーション、それぞれ違う仕掛けを持ったボスなどの魅力をしっかり受け継ぎながらも現代向けにアップデートし、今遊ぶ2Dアクションとして筋の通った作品になっています。
それだけに、一部の雑で納得感のない敵配置やチェックポイントの配置などはもう少し磨き上げられたのではないか……と歯がゆい思いをさせられるのは残念な部分。ともあれ、『魂斗羅』シリーズの新たな一歩として、今後に期待したい作品になっています。
良い点
・『魂斗羅』が持つ爽快さや歯ごたえを再び味わえる
・古い部分は積極的に現代化し、遊びやすくアップデートしている
・何度もチャレンジすれば強化していける仕組み
悪い点
・ブラッシュアップ不足で納得感のない一部の敵や弾
・チェックポイント頻度に問題あり