2024年3月30日、大阪の梅田スカイビルにて開催された「ゲームパビリオンjp2024」。開場から来場者も多く、盛況なイベントとなっていました。会場内で展示されていた作品から、本記事では村焼きロリ系恋愛アドベンチャー『厄災メモワール』をピックアップしてご紹介します。
会場だからこその出会い
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イベント会場を巡る楽しみのひとつに、想定していない出会いというものがあります。
声をかけられて初めてプレイしたタイトルが非常に印象に残ることも少なくありません。今回、そうしてゲームパビリオンで出会ったタイトルが『厄災メモワール』です。声をかけられて、ブースを覗いた際の掲示物からは到底思いつかないキーワード「村焼き」という言葉のインパクトに惹かれ、プレイすることにしました。
このクセの強さこそインディー作品の魅力
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本作品は3日間で仲間を集め、世界を滅ぼすことが目的となっています。目的自体はロクでもありませんが、ゲーム冒頭から一転してライトな雰囲気を醸し出しています。主人公となるプレイヤーの名前を入力した後の導入もサッと進み、「なぜ世界を滅ぼしたいのか」といった理由もよくわかりません。
しかし、ひとまず3日間の中で仲間を集めて「村焼き」という目的だけはハッキリしていますので、マップから学校を選んで向かうことにしました。
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学校には、明らかに戦力になるかどうか怪しい少女がいました。しかし、仲間を集めるためには手段を選んでいられません。勧誘のため話しかけることで彼女の好感度を上げることにするのですが……選択肢も一筋縄では行かない上、マルチエンドにもなっており、選択肢次第ではバッドエンドに直行するなど油断なりません。
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どの選択肢でも独特な文章による会話でゲームは進行していきますが、本作品の魅力はどの選択肢を選んでも展開が読めないことに加え、一定でない独特な文体にあります。ADV作品といえば「シナリオの展開」「コンセプト」など。そしてどの媒体でも同じ「読みやすさ」のほか、「文章の統一感」も非常に重要です。
しかし本作品にはこの「統一感」がほとんどなく、その雑然としたテキストがカオスな展開に更にエッセンスを加えています。ですが、このカオスこそ、商業作品には見られないインディー作品の大きな魅力です。
試遊では最終的にひとつのハッピーエンドに辿り着いて終わったのですが、そのハッピーエンドに繋がるまでの流れもあまりに予想がつかないものであり、選択肢を選んだ筆者も会場で戸惑ってしまいました。
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本作品は無料で公開(PLiCY、ノベルゲームコレクション)されていますが、筆者のアンテナにも引っかかっておらず、オフラインイベントの会場だからこそ出会えた作品といえるでしょう。本作品はブラウザでもプレイ可能になっておりますので、OSやデバイスを問わず楽しめます。
世界を滅ぼすために村を焼くのか、思いとどまるのか……気になった方歯、ぜひ本作品が持つ独特の魅力を味わってみてください。
Game*Spark掲載「ゲームパビリオンjp」取材記事はこちら!