ゲームのデベロッパーとパブリッシャーは違う……ということは、ゲーマーの皆さんであればすでにご存知かと思います。しかし、そのデベロッパーがどんなスタジオで、どんなものまで作っているのかまでを詳しく知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。
本記事では、任天堂とSIEの開発会社に続き、Xbox Game Studiosが抱えるゲームスタジオを振り返り。意外と知らないXbox作品の裏側に詳しくなっちゃいましょう。なお、超巨大なゲーム企業であるため、今回は現役のXbox Game Studios直下スタジオのみ取り扱い、ベセスダ(ゼニマックス)やActivision Blizzardは次回以降に解説します。
343 Industries(アメリカ)
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Xboxの大黒柱といえば、『Halo』。コンソールにおけるFPSの礎を築いた作品のひとつで、20年以上続く老舗シリーズです。かつてはBungieが開発していましたが、2007年に独立を発表し、2010年の『Halo: Reach』を最後に本シリーズを卒業します。
そんなBungieに代わって『Halo』シリーズを開発する新たな社内スタジオとして2007年後半に設立されたのが、この343 Industriesです。社名は同シリーズに登場するAIロボット「343ギルティスパーク」から取られています。
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343 Industriesとして最初に開発した作品は『Halo: Reach』のマップパックDLC。その後は初代リマスター『Halo: Combat Evolved Anniversary』や『Halo 4』といったメインシリーズはもちろん、見下ろしSTGの『Halo: Spartan』シリーズや、RTSの『Halo Wars』シリーズ、アーケード向けガンシューの『Halo: Fireteam Raven』などをさまざまなスタジオと協業しながら開発してきた、筋金入りの『Halo』専門スタジオです。
The Coalition(カナダ)
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もうひとつ有名なXbox作品といえば、『Gears of War』です。『Unreal』に続きEpic Gamesの名を世に広めた名作シリーズのひとつですが、その跡継ぎとなったのが、このThe Coalitionです。
同社は、2010年2月にZipline Studiosとして設立されました。Facebookにて『Relic Rescue』というパズルゲームをリリースした後、Mirosoft Game Studios Vancouverに改名し、基本プレイ無料のフライトシム『Microsoft Flight』を開発しました。
その後、Black Tusk Studiosにまたまた改名。2014年にマイクロソフトが『Gears of War』のIPを買収し、同社がメインで開発することが明らかになります。元Epic Gamesでシリーズのエグゼクティブプロデューサーを務めていたロッド・ファーガソン氏もシリーズプロデューサーに迎え、2014年には現在のThe Coalitionという名前で始動します。かなりコロコロと名前が変わっているんですね。
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『Gears of War: Ultimate Edition』や『Gears 4』などメインのシリーズ作はすべて開発しています。2020年の『Gears Tactics』からはメイン開発タイトルを出していませんが、『Halo Infinite』の開発に参加するなど活動自体は継続。そろそろ新作がほしいところ……!
ちなみに、話題を集めたPS5/Xbox Series X向けUE5技術デモ『The Matrix Awakens』も実はThe Coalition開発なんです。知ってましたか?
Mojang Studios(スウェーデン)
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Mojang Studiosは、「世界で一番売れているゲーム」という最強の称号を持つ『マインクラフト』のデベロッパーです。元々Notchことマルクス・ペルソン氏とロルフ・ヤンソン氏がMojang Specificationsという名前で2007年に設立し、MMORPG『Wurm Online』を開発。ヤンソン氏と離れた後はMojang ABとして法人化、2020年にMojang Studiosとしてリブランドされます。
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初期メインクリエイターが抜けた後も追加コンテンツをコンスタントに配信します。加えて『ディアブロ』ライクな『Minecraft Dungeons』、アクションストラテジーの『Minecraft Legends』、位置情報ゲームの『Minecraft Earth』などIPを利用してさまざまなゲームを世に送り出しています。
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基本的には『マインクラフト』で成功を収めてきたスタジオですが、一部例外の作品も。オンラインカードゲームだった『Caller's Bane(Scrollsから改名)』や短時間で楽しめるカジュアルストラテジー『Crown and Council』などが存在します。前者はサーバーごと、後者はSteamにて無料配布されています。快適に遊ぶ環境を整えるのは簡単ではありませんが、ぜひチャレンジしてみては?
Obisidian Entertainment(アメリカ)
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Obsidian Entertainmentは、かつてInterplay Entertainment傘下で『Fallout 2』や『Icewind Dale』などを手掛けたBlack Isle Studiosの元社員が集って2003年に立ち上げた会社です。
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立ち上げ当初は主に人気RPGの続編を多く手掛けることが多く、BioWareから継いだ『STAR WARS Knights of the Old Republic II: The Sith Lords』や『Neverwinter Nights 2』、Gas Powered Gamesから継いだ『Dungeon Siege III』、ベセスダ・ソフトワークスから継いだ『Fallout: New Vegas』など幅広く開発していますが、開発元が変わったにもかかわらず、多くの作品で高い評価を得ています。そもそもBlack Isle Studios自体にそうした強みがあったため、その精神を引き継いでいるのかもしれません。
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一方でオリジナルのRPGも多く、SFアクションRPG『Alpha Protocol』や一人称視点の『アウター・ワールド』、昔ながらの斜め見下ろし視点な『Pillars of Eternity』や『Tyranny』などかなり実力のあるRPGメーカーといえます。
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2018年のマイクロソフト買収後はRPGのみならず、小さくなった人間が裏庭を冒険するサバイバルクラフト『Grounded』や中世の写本のようなグラフィックのアドベンチャー『Pentiment』を開発し、作品の幅を広げます。『Avowed』や『The Outer World 2』などを含め、今後の成長が楽しみなスタジオです。
inXile Entertainment(アメリカ)
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MS傘下のRPGメーカーといえば、inXile Entertaimentも欠かせません。同スタジオは、『Fallout』シリーズ生みの親であるブライアン・ファーゴ氏によって2003年に設立されました。初期は『バルダーズ・ゲート ダークアライアンス』のエンジンを使用した『The Bard’s Tale』や2人協力プレイの『Hunted: The Demon’s Forge』といったARPGや『チョップリフター』の3Dリメイク『Choplifter HD』などを手掛けます。
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RPGメーカーとしての色が増していくのは、意外にもここ10年くらいのことです。『Fallout』の前身となった終末世界RPGの24年ぶり続編『Wasteland 2』が2014年に発売したことを皮切りに、クラシックRPGの系譜を復活させるスタジオとして力が入ります。
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例を挙げると、初代『Wasteland』のリマスターと完全新作『Wasteland 3』、「D&D」ベースで『ディスコエリジウム』も影響を受けたと言われる難解RPG『Planescape: Torment』精神的続編の『Torment: Tides of Numenera』、80年代版『The Bard’s Tale』三部作の続きとなる『The Bard’s Tale IV: Barrows Deep』やスピンオフ『The Mage’s Tale』といった作品が挙げられます。ディープな洋RPGファンの方は身体が反応したのでは?
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買収されたのはObsidian Entertainmentとほぼ同時期で、RPGラインナップを強化したかったのかもしれません。ただ、ほとんどが公式日本語化されていないのがやや残念。ひとまず、『Wasteland 3』を日本語対応してほしい……!FPS視点になった完全新作『Clockwork Revolution』にも期待です。
Rare(イギリス)
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1985年に設立された、おそらくXbox Game Studiosの中では最古参のゲームスタジオです。90年代から00年代は任天堂とパートナーを組み『スーパードンキーコング』『ゴールデンアイ007』『バンジョーとカズーイの大冒険』『パーフェクトダーク』など数々の名作を生み出しました。
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2000年代初頭ころには任天堂との関係がやや悪くなり、2002年にマイクロソフトに買収されると、『グーリーズ ~Grabbed by the Ghoulies~』や『カメオ:エレメンツ オブ パワー』、『あつまれ!ピニャータ』などハイペースで新規IPを開発します。
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かつてのファンだったユーザーが喜ぶ作品も多数リリースしており、N64の問題作をリメイクした『コンカー: Live and Reloaded』や人気FPSの続編『パーフェクトダーク ゼロ』、マシン組み立てゲームに変貌した『バンジョーとカズーイの大冒険 ガレージ大作戦』や初期作が遊べるコレクション『Rare Replay』などが発売。これらの多くは、今でもXboxコンソールやクラウドゲーミングで日本語版がプレイできます。
近年では主に運営型タイトル『Sea of Thieves』が主となっており、作品リリースのペースはゆっくりめです。アクションアドベンチャー『Everwild』を開発していることも明らかにしていますが、そろそろ続報がほしいですね……!
Ninja Theory(イギリス)
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2000年にJust Add Monstersという名前で設立されたスタジオ。初期の頃は資金繰りに苦労していたようですが、さまざまな困難を経てSIEで『ヘブンリーソード』、バンダイナムコで『Enslaved: Odyssey to the West』、カプコンで『DmC: Devil May Cry』と大手パブリッシャーのアクションゲームを開発し、成功を収めました。
マイクロソフトに買収されたのは2018年ですが、関係自体は初代Xboxで2003年に発売したスタジオ第1作目『カンフーパニック(Kung Fu Chaos)』から始まっていました。同作はスタジオの自信作でしたが残念ながら売上は不振。続編の開発も進んでいましたが、資金提供が打ち切られる……というほろ苦い過去を持っています。
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しかしながら現在はハイクオリティでありながら尖ったゲームを生み出すスタジオに成長しており、精神科医監修のもと作られたメンタルヘルスがテーマのアクションアドベンチャー『Hellblade: Senua's Sacrifice』は高評価を受けています。続編である『Senua’s Saga: Hellblade II』も5月21日に発売予定であるほか、まだベールに包まれた実験的ホラーゲーム『Project: Mara』を開発中です。
まだまだあるぞ!Xbox Game Studiosの仲間たち
ここからは、上記までで紹介したスタジオ以外を駆け足でご紹介します。
Double Fine Production(アメリカ)
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2019年にマイクロソフトが買収した、『Pychonauts』や『Brütal Legend』、『Iron Brigade』や『Broken Age』といったちょっとクセのあるゲームをたくさん生み出すアメリカのゲームスタジオです。海外人気はかなり高いのですが、日本語に対応していない作品が多いのはやや残念。iam8bitと共同で「Day of the Devs」というイベントも開催しています。
World’s Edge(アメリカ)
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マイクロソフトの老舗名作RTS『Age of Empires』シリーズを統括し、復活させるという使命の下、2019年に生まれたスタジオとなります。メイン開発スタジオであるForgotten Empires(こちらはMS傘下ではない)などスタジオと協力しつつ、シリーズの完全版やDLC、コンソール移植などを手掛け、ついには最新作となる『Age of Empires IV』を送り出しました。
現在は、『Age of Mythology: Retold』と『Age of Empire Mobile』を開発中です。
Turn 10 Studios(アメリカ)
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『Forza Motrorsport』シリーズを開発するスタジオ。設立当初はゲームパブリッシングを担当したことがあってもゲーム開発をしたことがない……というスタッフが多かったそうですが、見事長寿シリーズへと成長しました。
Playground Games(イギリス)
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リアル志向からカジュアルなテイストになったスピンオフ『Forza Horizon』シリーズを手掛けるスタジオ。美麗なオープンワールドを走り回るドライブ体験は本家シリーズにも負けない人気です。
現在は360時代のアクションRPGをリブートした『Fable』を開発中です。開発歴からはまだ仕上がりがイメージしづらいですが、期待して続報を待ちましょう。
Compulsion Games(カナダ)
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元Arkane Studiosのスタッフにより2009年に設立されました。パズルアクション『Contrast』や一人称アドベンチャー『We Happy Few』など、レトロな雰囲気の作品が特徴です。現在はアメリカ南部が舞台の新作ファンタジーアクション『South of Midnight』を開発しています。
Undead Labs(アメリカ)
Xbox Game Studiosのゾンビサバイバル『State of Decay』シリーズを開発するスタジオ。同シリーズのみならず、他スタジオ向けの技術協力を行うスタジオも構えています。近年は社内のよからぬ文化が報道で明るみになり、最新作『State of Decay 3』の開発が難航中。今後の先行きが気になります。
The Initiative(アメリカ)
2018年にMS内部の開発スタジオとして設立されました。Crystal DynamicsやRockstar Games、SIE Santa Monica Studioといった大手ゲーム会社に在籍していたスタッフを多数集め、レアのFPSシリーズをリブートする『Perfect Dark』を開発中。少し難航しているようですが、期待の作品です。
Xbox Game Studios Publishing(アメリカ)
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Xbox Game Studiosのパブリッシング部門。Stoicの『Towerborne』やOxide Gamesの『Ara: History Untold』、 Avalanche Studiosの『Contraband』など非MS傘下スタジオが開発するXbox Game Studios発売ゲームをサポートする役割です。
マイクロソフトが巨大企業ということもあり、傘下のスタジオもかなりの数存在します。次回以降は、ベセスダ・ソフトワークス(ZeniMax Media)傘下のスタジオと、買収がついに完了したActivision Blizzard傘下のスタジオも解説していきます。
ここで紹介したスタジオの作品の多くはXbox Game Passでプレイできるので、改めてスタジオのことを知った今プレイすればさらに知識が深まるかもしれません。