みなさん、ロボットは好きですか?僕は大好きです。Steamにも非常に多くのロボットアニメがあり、「メカ」タグには多くのロボット作品が並んでいて、見ているだけで楽しくなってしまいます。
個性的なロボ、魅力的な世界、独特なシステムなど、ロボットを主軸にした作品はとても多彩なものがあります。そんなめくるめくロボットの世界をピックアップして、多くのロボット好きに紹介してみよう、というのが本企画です。
今回はPiranha Gamesが2021年5月27日にリリースした『MechWarrior 5: Mercenaries』を紹介します!
「メックウォーリアー」は歴史的シリーズ!
『MechWarrior』シリーズは、1980年代から続くアメリカのボードゲーム『Battletech』の世界観をベースとしています。人類が宇宙への進出に成功して隆盛を極めた遙か未来、勃発した数百年に及ぶ長期間の戦争によって科学力が大きく衰退しながらも今も5つの大国による闘いが続いています。
ビデオゲームとしての歴史も長く『MechWarrior』シリーズ第1作は1989年にPC向けに発売。シリーズ初期作は日本でも展開され、第1作をベースにした作品がスーパーファミコンやPC98に向けて『バトルテック』名義で発売されたほか、海外メガドライブ向けに発売された作品も『バトルテック3050』として発売されました。PC向けにはシリーズ作品が日本語版パッケージでリリースされています。
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そんな『MechWarrior』シリーズですが、ナンバリングタイトルとしては2000年発売の『MechWarrior 4: Vengeance』から止まっていました(2002年にスタンドアロン拡張Mercenariesが登場しています)。シリーズ作品としては『MechWarrior Online』が2013年に基本プレイ無料としてリリースされ、今もサービスが続いています。また、ストラテジー『BATTLETECH』もSteamで配信中です。
『MechWarrior 5』は、2009年に一度発表されたもののプロジェクトがキャンセル。その後、2016年に再び開発がアナウンスされ、2019年に予約受付を開始、同年12月にEpic Gamesストアでリリースされました。現在はPC(Steam/GOG.com/Microsoftストア)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox Oneなど多くのプラットフォームで配信されています。
現在はゲーム本編のほか、ゲーム内に新たなキャンペーンやミッション、メックなどを追加する6つのDLCをリリースしています。また、2024年にはシリーズ最新作『MechWarrior 5: Clans』がリリース予定です。
傭兵として名を馳せながら父の仇を討つ復讐劇
『MechWarrior 5: Mercenaries』は、メインとなるストーリーキャンペーンと、好きな機体や戦場などを設定できる「インスタントアクション」の2つのモードが用意されています。さらに、DLC「Heroes of the Inner Sphere」を導入することでキャリアモードも追加されます。
メインストーリーの物語の舞台となるのは31世紀。プレイヤーは陰謀によって壊滅させられた傭兵部隊の後継者となり、父の仇を討つためにも新たな傭兵部隊を結成することになります。復讐を遂げるため、宇宙を旅しながら終わらない紛争に身を投じていくことになるのです。
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ゲームとしては各勢力からの依頼を受けてお金や傭兵団としての名声を稼ぎ、自身の部隊を強化しながらストーリーを進めていく方式。序盤にチュートリアルやいくつかのミッションをクリアすると、自由に宇宙を移動できるようになり、さまざまな星系でミッションや買い物ができるようになります。
本作の醍醐味はプレイヤーがパイロットだけでなく“傭兵部隊を率いる立場”としても活動するというところにあります。そこには非常に自由な、無骨な戦いの日々が待ち受けているのです。
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重厚・無骨なメックの魅力を堪能しよう!
『MechWarrior』ならびに『Battletech』に登場する人型兵器メック(バトルメック)は、ゲーム内の歴史上で登場以降、戦争の主力となっている強力なロボット。しかし、長らく続く戦争の影響によって技術が停滞している現在のゲームの世界ではそれなりに貴重な存在になっています。
そんなメックを、これまで『アーマード・コア』シリーズなどの作品を遊んだ人が初めて触ったら驚くかもしれません。何しろ「緊急回避」のような素早い行動はできず、はっきりいって鈍足と言ってもいいレベル。「ジャンプジェット」などのパーツを装着すれば多少のアクションはできますが、かなり行動は制限されます。
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そういったメックでの戦闘で、基本的に敵の攻撃を避け続けるというのは難しいもの。そこで重要なのがダメージコントロールです。メックは腕や胴体、脚部など複数パーツで別個のHPがあるため、なるべくダメージを受ける場所を散らすことでパーツ破損などを防ぐのです。
これは攻撃時にも応用できるもので、敵のメックと戦う際にパーツを集中して狙うことが重要です。武器を持つ腕を破壊すれば被弾率は下がりますし、脚を破壊すれば敵を集中攻撃する事もできます。強敵相手でも遠距離攻撃で削ったり、集中砲火したりと、多彩な倒し方があるのです。
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そしてメックでいちばん重要なのが熱管理の項目。メックはあらゆる行動で熱が上がり、オーバーヒートすれば一時的に行動不能になってしまいます。適度に休ませたり、熱を抑えるパーツを装備したり、なるべく効率的に相手のメックや戦車を破壊したりと、上手く立ち回りましょう。
視界とマシンの方向なども独特な挙動ですが、慣れてくれば不思議なくらい馴染んだ行動ができるようになります。生きるために、明日の糧のためにどうやって戦うか、どうやって被弾を減らすか。それを考えるのも大切です。
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部隊を管理しながら傭兵部隊として戦い抜け
ゲーム内ミッションはそれぞれの勢力同士の争いの形式になっていて、内容によって2つの勢力の評判が変化していきます。評判が上がれば依頼時の交渉によって稼ぎやすくなったり、支配地域で優遇されたりと、さまざまな恩恵が得られます。もちろん、評判が悪くなればその逆も起こり得るのです。
ミッションとしては「相手勢力の重要拠点を破壊する」「特定のパイロットを倒す」「拠点を侵攻から守り抜く」「規定数の敵を倒す」などの種類があり、それぞれ難易度も大きく異なります。多くのミッションは目標達成後に脱出ゾーンにたどり着けばクリアとなり、ミッションによっては追加報酬が得られる特殊任務も発生します。
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ゲームが進むとミッションに最大4人まで出撃できるようになります。序盤に仲間は1人加入してくれますが、それ以外のメンバーは宇宙を旅して雇い入れなければなりません。もちろん、彼らが乗る機体や武装も準備する必要もありますし、給料も支払わなければなりません。また、本作は惑星間を移動するだけでもお金がかかります。
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本作はシステム上部隊の評判を上げることが必須になりますが、そのために受ける仕事に制限はありません。仕事を受けながら部隊を鍛え、どこかの星で良いパーツやメックが売り出されていたら駆けつけ、ときには懇意にしている勢力を敵に回すような仕事を受ける。そんな自由な傭兵生活を送れるのが、なによりも大きな魅力です。
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戦いを求めるロボット乗りへ
とても無骨で重厚なメックの操作感と、傭兵部隊としてさまざまな戦場を駆ける自由度、そして自分だけでなく仲間の機体の管理までしなければならない『MechWarrior 5: Mercenaries』。比較的独特なシステムではありますが、遊んでみると決して難しくない作品です。
プレイヤーは傭兵として多くの戦場で戦い、稼いだ金や拾ったパーツなどを元にメックをカスタマイズしていきます。武器もエネルギー兵器からマシンガン、キャノン、ミサイルランチャー、格闘など多彩で、補助パーツを含めればかなり自在なカスタマイズも可能です。
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パーツのやりくりやカスタマイズなどは『アーマード・コア』シリーズが好きな人であれば馴染みやすいと思います(もちろん高機動戦闘などはできませんが……)。とにかく宇宙を旅しながら戦い続けることにもなるので、ひたすら戦いを求める人にもピッタリの作品です。
とにかく無骨な世界観や雰囲気が魅力的。気が付けば傭兵仲間たちにも思い入れが生まれ、こいつらと一緒に戦いたい!となってくるものです。戦闘によって武器や回避といったスキルも成長していくので、自然とメックカスタムの方向性が定まってくるのも面白い部分ですね。
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傭兵稼業やその背景にある世界など、個人的には「エリア88」のような魅力もあるのではないかと思います。また、メックデザインはいろいろな作品の影響があるようですが、これは『Battletech』の話になれば絶対に出てくるところではありますね。
『MechWarrior 5: Mercenaries』をプレイするとメックや世界観の“重さ”に驚き、そして、きっとワクワクするのではないでしょうか。筆者は「メックの購入・修理代や移動費に悩みながら仕事を受ける」という雰囲気が好きで、一種のロールプレイのようにぼやきながらやりくりするのが大好きです。
メインストーリーはもちろん、こだわり抜いた戦場を自在に作って楽しみたい人には「インスタントアクション」が大きな魅力。作った設定は共有も可能です。4人までのCo-opもできるので、フレンドとワイワイ砂塵にまみれることもできますよ。
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『Battletech』から続く、数百年に及ぶ宇宙間の闘争という世界観も魅力十分(これは長い歴史の中で変わっていくものもあるようですが)。ビデオゲームだけでなくTRPGのルールブックなど、世界観をダイレクトに味わえるコンテンツも多く、知れば知るほど楽しめるコンテンツなのは間違いありません。
Game*Sparkでは、2023年12月に開発者インタビューを実施しています。今後の展開や日本語対応への可能性などにも聞いていますので、こちらもご覧ください!
UPDATE(2024/04/21 23:00):一部の表現をわかりやすく追記・編集しました。