2024年8月30日にPS5/Xbox Series X|S/PC向けにスター・ウォーズ初のオープンワールドゲーム『スター・ウォーズ 無法者たち(Star Wars Outlaws)』がリリースされます。
Game*Spark編集部はユービーアイソフトにご招待いただき、ゲーム・ディレクターのMathias Karlson氏とナラティブディレクターのNavid Khavari氏にインタビューを実施。女性主人公”ケイ・ヴェス”や本作の魅力について語っていただきました。
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ーー本作はいつ頃開発が始まったのでしょうか?また、開発中の興味深いエピソードや苦労した点はありますか?
Mathias Karlson氏(以下、Mathias):2021年頃にルーカスフィルムとの話し合いがまとまりました。それ以来、本当に素晴らしい道のりでした。まさに夢が叶ったと言えるでしょう。「スター・ウォーズで何ができるのか?」というところから始まり、オープンワールドのスター・ウォーズゲームを作ることになりました。そして、ならず者の世界観を定め、キャラクターを定義し、舞台となる場所、私たちが作り出す新しい場所、タトゥイーンのような馴染みのある場所を決めていく…本当に刺激的な旅でした。
Navid Khavari氏(以下、Navid):「ああ、スター・ウォーズの世界だ!究極の遊び場だ~!」とファンなら誰もが夢見ることでしょう。しかし、私にとっては興味深い挑戦でもありました。若い頃からずっとスター・ウォーズのファンでしたがその一面を横に置き、開発にあたり「私たちは何を新しく持ち込めるのか?」という視点を持つ必要がありました。チームにとって、この世界観をどのように拡張していくかという点はとても刺激的でした。
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ーースター・ウォーズには多くの女性キャラクターが登場しますが、ケイをこの世界観において他の女性キャラクターと一線を画す存在にしているものは何ですか?
Navid:ケイをユニークにしているのは、彼女の独特な視点です。ジェダイの物語は経験済みですし、シスの物語、反乱軍の物語も見てきました。しかし、ケイはカント・バイトのストリートで育った泥棒であり、ペットの相棒であるニックスと共に何もない中で生き延びようと必死でした。
彼女は、「帝国の逆襲」と「ジェダイの帰還」の間の時代に起こる巨大な出来事に対して、非常に地に足のついた視点を持っています。そして、彼女にはそれだけではない一面もあります。
私たちはケイを「機知に富んだ負け犬」と例えてよく話してきました。彼女は常にサイコロを振り、突破口を見つけ出す人物です。私たちにとってこれらの要素が組み合わさることで、ユニークなキャラクターが生まれました。また、彼女は裏社会の新人でもあります。ゲームをプレイしていく中で、皆さんにもそれを体験していただければと思います。彼女はまた自分の周りで起こっていることに畏敬の念を抱いているのです。
Mathias:それが彼女を多くの人にとって共感できる存在にしていると思います。ゲームを旅として捉えるなら、彼女は多くの精神力、大胆さ、機知、野心を持っていますが、ジェダイではありません。特別な訓練を受けた兵士でもありません。彼女はプレイヤーであるあなたと共に成長していくのです。
新しい能力を手に入れ、船を手に入れ、スピーダーを手に入れ、銀河を旅する。そのすべてが、キャラクターと世界の両方に溶け込み、非常に自然なものとなっています。プレイヤーであるあなたは新しいものをアンロックしていく中で、ケイと一緒にその成長を感じることができるでしょう。
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ーーストーリーの中でいくつかのシンジケートと協力し評判を得るという要素がありますが、シンジケート同士で対立することもあるようです。この点はどのようにバランスを取っていったのでしょうか? 各シンジケートで最大の評判を得ることは可能ですか? また、ストーリーにどのような影響がありますか?
Mathias:「シンジケートからの評価」は帝国という常に存在する脅威の下、裏社会をどのように渡り歩くかという物語とゲーム体験の核心です。そして、「渡り歩く」というのが、ここで重要なキーワードです。
裏社会は栄枯盛衰の繰り返しです。ハットに好かれるために全力を注ぎ込む必要はありません。時には誰かに好かれることをすれば、誰かに嫌われることもあります。しかし「評価」は決して失われることはありません。必ず道は開けるので、プレイヤーとして、今の自分のニーズとモチベーションに合ったものを選ぶということが重要になるでしょう。すべてのシンジケートから同時に好かれるのは難しいですが可能です。
Navid:「渡り歩く」というのはまさに重要なキーワードです。旅のさまざまな側面は、どのシンジケートとより親密であるか、どの評判を得ているかによって影響を受けます。ハット、クリムゾン・ドーン、あるいはアシガ一族などです。
しかし、私たちはケイの旅が焦点の定まったものになるように、ストーリーの中で重要なイベントを必ず用意するようにしました。つまり、プレイヤーが影響を与え渡り歩けるのはそれらの瞬間の間の出来事なのです。
ーーつまり、ストーリーはリニアですがオープンワールドを探索したり特定のエリアだけをプレイしたりすることもできるということでしょうか? オープンワールドは1つだけでそれ以外のエリアはいくつかのミッション用として存在しているのでしょうか?
Mathias:このゲームには、ジェットコースターのような、魅力的で深い物語が用意されています。しかし、その周りには多くの自由があります。プレイヤーは決して一本道に縛られることはありません。
ケイの主なストーリーは、カント・バイトから始まり、裏社会とオープンワールドに囲まれた世界を旅することになります。そこには、プレイヤーが自由に探索し、さまざまな方法で関与できる機会が豊富に用意されています。ゲームを進めていくと、船を手に入れ、自分だけのスピーダーを手に入れ、ブラスターのモジュールを戦闘や世界の探索のためにアップグレードしていくことになります。
世界の自由度、帝国やシンジケートとの関わり、右に行くか左に行くか、Aを選ぶかBを選ぶかによって生じる結果…それらすべてが、ゲームの核心となっています。
ーー物語についてですが、「渡り歩く」が重要なポイントであるとおっしゃっていました。エンディングは1つだけでしょうか? それとも、マルチエンディングですか?
Navid:エンディングは1つだけです。ケイの物語を語り、自然な流れと推進力のある物語にするためにはそれが重要でした。
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ーー3つのデモをプレイしました。1つは、宇宙空間でTIEファイターと戦う宇宙戦闘のデモです。すぐに戦闘が始まり、操作に慣れるのに苦労しました。チュートリアルのようなものはありますか?
Mathias:もちろんです。あなたがプレイしたのは3つの異なるクエストの一部です。それらはすべて、メインストーリーの一部です。ゲームが始まると成長と学習の旅が始まります。いきなり深みに放り込まれることはありません。
3つの異なるデモで見たものは、ゲーム体験の多様性を味わえるものだったと思います。キジーミの雪の降るストリートで、他のシンジケートのために遺物を盗むために潜入し、帝国の宇宙ステーションに侵入するシーンから脱出して初めて宇宙船に乗り込むシーンまで、すべてがシームレスにつながりゲームとして一体化しています。
Navid:まさにプレイヤーが『無法者たち』で体験するであろう、幅広い体験を表現したかったのです。私が特に気に入っているのは、チームがチュートリアルをキャラクターとストーリーに根ざしたものに仕上げていることです。
トレイルブレイザー(ケイの宇宙船)の操縦方法を学ぶチュートリアルも常に彼女のキャラクターに基づいています。ストーリーにも根ざしています。最初は彼女も新人であり、トレイルブレイザーのような船を操縦したことがないのです。そのため、プレイヤーは「わあ、これが私の船なんだ」という、恐怖、高揚感、興奮を体験することになります。それは、常にエキサイティングなものです。
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ーーケイは1つのブラスターとニックスだけを使用しますが、他の武器は登場するのでしょうか?敵が落としたブラスターライフルやマシンガンを使うこともできましたが1度きりでした。
Mathias:ケイの能力、ブラスターとニックスはまさにゲームの心臓部です。それはまるで三位一体のようなものです。ケイとニックスは協力して新しいことや新しい方法を学んでいきます。
ケイの象徴的なブラスターは、これまでスター・ウォーズに登場したことがありませんでした。さまざまなモジュールを装着することで能力が向上していきます。見た目は同じブラスターでも、戦闘と世界の探索の両方で、ゲームプレイに多くの多様性をもたらします。
拾える武器もあります。遮蔽物に立てかけられていたり、ストームトルーパーが重い銃を落としたりします。それらは、ゲームプレイにさらなる深みと多様性をもたらすものです。しかし「機知に富んだ負け犬」であるケイが、「どうしよう、この状況をどうやって切り抜けよう?」とその場にあるものを拾って使い状況を打破したあとにまた手放し、常にニックスとブラスター、そして彼女の代表的なツールであるスライスキットやロックピックに戻っていく、そんな彼女の姿を表現するためのものです。
Navid:これはまさにスター・ウォーズらしい表現でもあります。キャラクターにも根ざしています。スキルやアップグレードの多くは、裏社会やオープンワールドを探索し、ケイが出会う新しいキャラクターから学び、彼女のツールセットを拡張していくことで得られるのです。たとえばタトゥイーンには著名なブラスター使いがいて、ケイがそのキャラクターを訪れることで強くなれます。
ーーキャンペーンをクリアした後、ニューゲームプラスやエンドゲームコンテンツはありますか?
Mathias:エンドゲームやニューゲームプラスなどについては、まだお話できる段階ではありません。私たちはシングルプレイヤーの旅を提供することに集中しています。しかし、ケイのジェットコースターのような旅、メインキャンペーンのストーリーをクリアした後も、プレイヤーは自由に探索を続けることができます。「ストーリーが終わる前に、すべてをやらなければ、すべてを見なければ」と感じることは決してありません。
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ーースター・ウォーズは非常に深く広大な世界観ですが、スター・ウォーズをプレイしたことも見たこともない人もいます。そのような人々にどのようにアプローチし、スター・ウォーズの世界観を伝えていくのでしょうか?
Navid:スター・ウォーズは、その核心において成長と変化という人間の旅を描いています。私たちにとって、ケイがこの裏社会の新人であるという設定がすべてをシンプルにしてくれました。彼女は、プレイヤーが出会うことになる多くの種族、キャラクター、世界、惑星に対しても、新人なのです。
私たちは常に、「スター・ウォーズを全く知らない人でも、コントローラーを手に取ってプレイできるか?」ということを念頭に置いてきました。そして、ケイの旅はまさにプレイヤーにそれを促すものだと思います。
Lucasfilm Gamesと協力していた時も、伝承、舞台設定、スター・ウォーズの歴史という豊かな側面にも気を配っていましたが、スター・ウォーズの核心は常にキャラクターが歩む個人的な旅にあるという点を、特に重要視していました。
キャラクターは出会う人々や周りの世界からどのように変化していくのか?どのようなスキルを身につけていくのか?それは、すべての人にとって魅力的な物語だと思います。
Mathias:私たちにとってスター・ウォーズの大ファンもこれまでスター・ウォーズに触れたことのない人も楽しめるゲームを作ることは非常に重要でした。そして、人間でありならず者であるケイの共感性、少しばかりの負け犬…いや、かなりの負け犬生活からスタートし、成長していく姿は、多くの人にとって魅力的だと思います。
ーー最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
Navid:日本のプレイヤーの皆さんに『スター・ウォーズ 無法者たち』を体験していただけることを、心から楽しみにしています。長い間温めてきた作品なので、皆さんの反応や体験談を聞くのが待ちきれません。
Mathias:全く同感です。長い間、私たちが作り上げてきたこの世界に皆さんと一緒に足を踏み入れることができることに興奮しています。8月30日に皆さんと共有できることを楽しみにしています。
『スター・ウォーズ 無法者たち』は、PS5/Xbox Series X|S/PC向けで2024年8月30日にリリース予定です。