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都知事選そっくり!?何でもアリのカオスな1930年代選挙シム『Evil Democracy: 1932』で遊ぼう

東京都知事選挙は、日に日に盛り上がりを見せています。

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都知事選そっくり!?何でもアリのカオスな1930年代選挙シム『Evil Democracy: 1932』で遊ぼう
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東京都知事選挙は、日に日に盛り上がりを見せています。今回の都知事選は過去最多の候補者数ということで、まるでお祭りのような様子も見受けられます。「候補者の乱立」を問題視する声もありますが、条件さえ満たせば誰でも立候補できるのは民主主義が機能している証と言えるのではないでしょうか。

もっとも、だからと言って普通の人が気軽に選挙に出馬することはなかなか難しいと思います。というわけで今回は、Steamで配信されている選挙シミュレーター『Evil Democracy: 1932』をプレイしてみましょう。

資金集めに機関紙の発行も

1930年代は、まさに「暗転の時代」でした。世界恐慌の闇が地球上を覆い、困窮した人々は起死回生のための全体主義政党に期待をかけるようになります。その代表例がドイツの国民社会主義ドイツ労働者党、アドルフ・ヒトラーの率いる「ナチス党」です。

『Evil Democracy: 1932』は、そのタイトル通り1932年のドイツ総選挙、もしくは1935年のイギリス総選挙、1936年のフランス総選挙をいずれかの政党で戦い抜くという内容です。

注目すべきは、やはり1932年のドイツ総選挙。史実ではナチスが国政第1党に躍進しましたが、ゲームではナチスを率いてプレイすることはできません(当然だ!)。ナチス以外の政党の党首になり、ナチスとボヘミアの伍長を敗北させるというのがこのゲームの目的です。実在の政党だけでなく、自分でエディットすることも可能です。

日本人にはかなりとっつきにくい内容で、チュートリアルをやっても「?」な部分が残るほど難解だったりもします。まずは、政党指導者になってくれる人材をスカウトして資金集めをさせます。何だかんだで選挙活動は資金がないと始まりません。

次に、新聞記者を雇ってビラと機関紙を作ります。この機関紙に載せるネタも、記者に作らせる必要があります。政党指導者へのインタビュー記事や他党の誹謗中傷も掲載でき、それを新聞配達の子供に配らせます。

もうね、これだけでだいぶ生々しいんですよこのゲーム!

棍棒を持ったお兄さんを各選挙区に派遣!

もちろん、機関紙を発行するだけでは大衆の支持を得ることができません。全国各地にこちらの息のかかった扇動者を派遣し、政党の主張や思想を拡散してもらいます。

それだけでなく、後ろ手に棍棒を持った活動家を各地域に送り込み、他の政党の活動や集会にお邪魔してやることも。ヘイヘイヘイ!

同時に、政党の教義を固めていく仕事も欠かせません。中道よりも右か左か、或いは極右や極左のイデオロギーも政党の教義=公約として採用できます。ただし、それぞれの党のカラーにそぐわない教義を選んでしまうと支持者が減る場合も。

こうして地道な選挙活動を行い、時には鉄拳と棍棒に物を言わせながらやっていくのですが、ドイツでのプレイの場合はちょび髭の政党がやたら強い!少し油断すると、鉤十字マークの支持率がどんどん上がっていきます(ただし、ゲーム内では鉤十字マークは削除されています)。

「ドブ板活動」の重要さ

そんな『Evil Democracy: 1932』ですが、筆者はこのゲームを数年前から少しずつプレイしていました。

その中で強く実感したのは、日本語翻訳の進化です。まだ怪しい部分やボギャブラリーが適当ではない部分が見受けられますが、たとえば実在の政治団体「鉄兜団、前線兵士同盟」は、以前は「スチールヘルメット」と不自然なカタカナ直訳がされていました。そのあたりを改善できただけでも高評価に値します。

また、このゲームは「選挙活動で支持率が上下する」ことの緊張感をよく表現しています。選挙告示前の支持率と投票日直前の支持率が変動する現象は、21世紀の現代でもよくあります。日本語では「ドブ板活動」と呼ばれる手法は、いつの時代も極めて有効な(同時に体力と時間を大きく消費する)やり方です。

「民主主義」を確認できるゲーム

静岡市在住の筆者は、5月に行われた静岡県知事選挙の投票もちゃんと済ませました。

筆者の場合、気になる候補者や下馬評ではリードしていると言われる候補者の選挙事務所に足を運んで、可能であれば本人から話を聞くようにしています。そうしないと見えてこない部分がたくさんあるからなのですが、その最中に筆者は「戦後日本に生まれて本当に良かった」と毎度のように実感します。

A候補の事務所を訪れた直後にB候補の事務所に行っても、「あいつはスパイだ!」とか言われてA候補の選挙スタッフに殴られることはまずないからです。

一方、本作で再現されている1930年代の選挙は、現代のそれよりもだいぶ暴力的で「何でもアリ」な要素も見受けられます。何と、選挙後に票数を操作することも可能なのです。 お、恐ろしやっ!!

そんな『Evil Democracy: 1932』をプレイすると、「民主主義とは何ぞや?」ということが見えてくるかもしれません。

『Evil Democracy: 1932』は、PC向けにSteamで配信中。現在はサマーセール中で、通常価格1,220円のところ49%オフの622円で配信しています。

《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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