今回は、MAGES.から発売されたニンテンドースイッチ向けタイトル『岩倉アリア』をプレイ!本作は、旧華族の屋敷に住み込みで働く北川壱子と、屋敷の娘である岩倉アリアの二人を巡る、女性同士の強い絆を描くリアルファンタジー・サスペンス アドベンチャーです。
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華族を取り上げたゲームと言えば、ビンタ決闘アクションゲーム『薔薇と椿』を思い浮かべますね。でも『岩倉アリア』はビンタで戦わないと思います。しないよね?
◆深窓の令嬢との出会い
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1966年、北川壱子は中卒で入社した建設会社を退職し、就職前に過ごしていた養護施設に出戻っていた。その日は、施設の運営資金を集めるためのバザーに売り子として参加していた。悪趣味な柄の食器やくすんだタオルなど、どう見ても売れそうにないものの中に、壱子が描いた一枚の水彩画があった。
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彼女の絵を見た施設の職員に、賑やかしのためにバザーの商品として並べられてしまったようだ。彼女自身は、絵を描くのは好きだけど誰にも褒められたことはなく、あくまで趣味の範疇であり、ゴミみたいな商品の中でも「特に売れなさそうな物」と自分の絵を卑下している。何も売れずにぼーっとしていると、一人の男性が声をかけてきた。
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その男性、岩倉周は、壱子の描いた絵を二千円で買い取ってくれた!
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価値があるのかないのかわからない自分の絵に値段をつけてもらえるのって嬉しいよね。僕も初めて絵の依頼を受けたときは嬉しさ余って詐欺を疑っていたよ。
しかも、住み込みの女中として壱子を雇ってくれるとのこと。よかったね、壱子!
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そして一週間後、壱子は周の屋敷にやってきた。これまで壱子が暮らしていた場所とは空気すら違う、まるで日本ではないような豪華な屋敷だ。
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冒頭で孤児が大きな屋敷に招かれるシーンがあると、どうしてもホラーゲームを想像してしまう。壱子、ちゃんとドスは呑んできたか?
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さらに屋敷の中は鹿鳴館もかくやといった豪華さで、度肝を抜かれる。
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それにしても、周の良い人っぽさが逆に怪しく感じてきたな。話を聞くと、通いの使用人は他にもいるけど、住み込みの使用人は壱子だけらしい。これは貞操の危機!かと一瞬警戒するも、娘と同居しているのを思い出して顔を赤くする。
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そして2階に上がり、周の娘であるアリアを紹介される。小さい子どもかと思っていたけど……腰まである長い髪にスカートから覗く細い足首。絵画を思い起こさせるような、背の高い美しい女性だった。
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おビンタはしない!
◆屋敷に隠された謎と深まる百合……!
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物語を進めていくと、屋敷内を探索するパートが登場する。各部屋に隠されたキーアイテムを見つけると、屋敷の謎や登場人物たちの秘密に近づけるのだ。
本作にはエンディングが9つあり、選択次第で本編の33年後である1999年における環境が変化する。9つの未来の中には「なにがあったの!?」と驚くような結末があるかもしれないな。
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33年前の僕が今の僕を見たら「なにがあったの!?」と言うだろうな……。そんな悲しいことは置いといて屋敷を探索しよう。
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岩倉家専属の料理人である宮内スイは、壱子と同い年の女性だ。さっぱりとした性格で、壱子とすぐに打ち解け合う。
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アリアは、出会った頃は突き放すような態度を取ったり、誤解から軽蔑の眼差しを向けてきたりしていた。
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少しずつ打ち解け合い、一緒に夜の散歩に出かけたり……
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おそろいの服を着せてもらったりする。ハッ!これは濃厚な百合が始まる気配!
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僕は、主人公が男性でも女性でも自身を投影し、主人公になりきってプレイするタイプなんだけど……本作は駄目だ!百合の間におっさんが挟まるのを避けるため、自己投影は厳禁……!
全てのエンディングを見るのに13時間ほどかかりました。
設定の重さを感じさせるシリアスなシーンや流血描写もあり、キツイ気持ちでプレイしているときもありましたが、それを乗り越えた先にあるエンディングは満足できるものでした。
オートやスキップ機能などのシステム的な要素はしっかりしており、クイックセーブのスロットも多いので、気になったシーンからやり直しやすくて嬉しかったです。
ボリュームやシステム面での不足は無く、ビジュアル、音楽、どれも僕の好みにピッタリ合う百合アドベンチャーでした!
『岩倉アリア』はニンテンドースイッチ向けに配信中です。